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女神な彼女  作者: なつみかん


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第二十七話 女神様は1000万円で降臨

「1000万っす!」

夢野がズバリ言うと教室が静まりかえった。


「先ずは女神様を乗せて、パレードする動力神輿っすね」

動力神輿。テレビのパレードで見かけるような

豪華な装飾の自走式の台車だ。

「アレがざっくり200万……かかるらしいっすね」


ハナコさんはぽけーっと聞いている。

お金の話には疎いらしい。


「次に道路関係のやつですが

 街中を封鎖なんてできないんで

 今、パレードしてる路面を追って封鎖になるっす。

 どう考えても警備員さん4〜50人は必要っす。

 仮設のバリケードとかも買わなきゃっすし

 それで計算すると……200万くらいっすね」


た、高い……

神輿を作って一日走らせる「だけ」で

もう400万だと……?


「続いて、屋台とかお店っすね

 神社の近くの公園でやろうと思うんすけど

 テント買って、机も買って、発電機も欲しいっすよね

 更にガス、水は公園の借りればいいとして

 後はたくさん出るゴミ回収、合わせて150万っすね」


「えっ、出店って

やりたい人を募集して、出店料もらうんじゃないの?」

来人が眉を潜めて言う。


流石にビビるよな、高校生が扱える金額じゃないし


「理想はそうっすけど、

 実績ゼロの『初めてのお祭り』っすよ?」

夢野が冷徹に現実を突きつけた。

「人が集まるかどうかも怪しい段階で、

 店を出したがる業者がいると思うっすか?」


 「ここは最悪の場合

 自分たちで店を回すと仮定して予算を組むべきっす」


厳しい……現実は、俺が思っていたよりずっとシビアだ。


「まだまだあるっすよ!

 宣伝と演出費用っすけど100万くらいっすね」

「チラシ作って、ポスター作って、SNSで拡散して

 提灯とかイルミネーションとかも欲しいっすもんね」


「え、SNSは自分達でやるんじゃ……」

「それに、天道ガールズが

 やってくれるって話だったような……」

ひなたが恐る恐る聞いてくる。


さすがのひなたもビビりだした。

あと、天道ガールズって呼び方も一般化してきたな。


「お姉様、天道ガールズの拡散力は

 同世代前後には刺さるっす。

 けど、それだけじゃ足りないっす」

夢野の講義は止まらない。


「子供には分かりやすいポスター。

 お年寄りには自宅に届くチラシ。

 そして現役世代にはSNS広告。

 全方位に網を張らないと、人は動かないっすよ」


「そ、そっか……全世代が参加できなきゃ

 『お祭り』じゃないもんね……」

ひなたも、その圧倒的な正論に

納得せざるを得ないようだった。


夢野のロジックは完璧だ。

完璧すぎて、絶望の二文字が脳裏をよぎる。


「最後に保険と雑費、後は追加の人件費っすね

 イベント用の保険あるんで入るっす

 雨なんか降ったら困るんでその対策もっすね

 これが合わせて150万」


「人件費って

 僕のファンの子たちじゃ間に合わないのかい?」

お?天道は動揺してないな、淡々と疑問をぶつけている。


「天道ガールズは当日パレードしてる予定っすよ」

「誰が当日の出店をやって、トラブル対応して

 ゴミを拾うんすか?

 もう全然、美子達だけじゃ足りないっす」


「これでもギリギリなんすよ」


俺は無言で黒板を数字で埋めていく。


「まぁ……ざっくりでこのくらいっすね」


「いやー、無理だろー」

来人が机に突っ伏して嘆く。


「無理じゃないっす!やるんすよ」

「女神様、消えちゃうかもなんすよ?」


「そうは言ってもさー」

来人も頭を掻きながら考えてるみたいだ。


そうは言っても高いよなー……

黒板に金額を書きながら、気づく……あれ?


「なぁ夢野、1000万かかるって言わなかった?」


「……言ったすよ?」


「今のところ合計800万なんだけど……

 これで全部って言ったよな?計算間違い?」


「……いや、合ってるっす」


「え、だって200万余るよ?」


「あー、あのっすね」

夢野が、少しバツが悪そうに視線を泳がせた。

「神社に、結構広いスペースがあったじゃないっすか」


「うん。建物はボロいけど

 土地だけは無駄に広いよね」


「あそこにっすね……美子の

 『巫女ドルステージ』を作りたいっす!」


「……はぁ!? こんなにお金がかかるって時に

 何言ってんだよ!」


「違うっすよ、ダンス、いいじゃないっすか!

 盆踊りみたいなもんっすよ!」


「盆踊りは仏教だろ、ジャンルが違う。

 ……というか、私情だろそれ」


「巫女だって舞うっすよ! 祭りの華っす!

  今なら『祭りの設営経費』って名目で

 どさくさに紛れて予算を通せるチャンスっす!」


「えぇ……いや、しかし……」


「太郎くん、長い目で考えてほしいっす。

 あそこにステージがあって

 巫女ドルが活動していれば、参拝客も増えるはずっす

 歌って踊って、ハッピーで楽しい神社にするんすよ!」


「楽しい神社、いいねぇ」

お金の話も終わり

ハナコさんが会話について来たみたいだ。


「太郎くん、美子ちゃんの夢も叶えてあげようよぉ」

「ハナコも頑張るからぁ」


……ハナコさんの祭だし、

ハナコさんに言われると何も言い返せない

俺は渋々、黒板に『巫女ドルステージ、200万』

……と書き足した。

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