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女神な彼女  作者: なつみかん


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第二十一話 ギスギスとコノハさん降臨

ソフトの試合の次の日の日曜、

朝、自宅の部屋にいると

ひなたからメールが来る。


『昨日はありがとう

 あの時の肘の怪我、病院で検査受けるんだけど

 一人じゃ不安だから、一緒に行って欲しいかも』


昨日の怪我か、大したことないといいけど…

隣にいる、ハナコさんに聞いてみる。


「ねぇ、ひなたからメール来てさ、

 病院行くんだけど…」


「そっかぁ、いってらっしゃぁい」

ニコッと笑って一言で済ます。


「え…いやほら、ハナコさんは行かないの?」


ハナコさんは、神器「しゃべれるくん」を

取り出し、メールしながら


「ハナコは、お友達と遊び行くのぉ」

「太郎くんも、ひなたちゃんと仲良くしてきてねぇ」

こっちを見ずに神器をカチカチ操作している。


「仲良くってなんだよ、なんか冷たくない?」


「そんな事ないよぉ、いつも通りだよぉ」


「………」

お互い無言になる。空気が重い…

昨日の事、気にしてるのかな、

弁明するにも、実際に抱きしめてた訳だし…


しばらくすると玄関のチャイムがなる。

玄関を開けると、着物を着た

とびきりの美人が立っていた。

桜柄の着物の艶やかさも去ることながら

黒く艷やかな長い髪、

立ち姿や表情から気品が溢れている。

言葉を失い立ち尽くしていると、


「こんにちはえ。

 うちは木花咲耶姫命このはなさくやひめのみこと言います。

 コノハ、て呼んでもろたらよろしおす」


あ、そうか、女神様、ハナコさんの友達か…

そりゃこんな完璧美人がウチに来る理由ないもんな。

ハナコさんもウズメさんも、壁から来たから

玄関から来るのは想定外だった。


「ども、神守(かみもり)太郎です」

後頭部を押さえながらお辞儀する。


「近ごろの民草はんは、

 礼儀いうもん、どこかに置いてきはったんやろか」

コノハさんは、眉を潜めながら言う。


…あれ?これ、怒られてる?

そんな微妙な雰囲気の中、親父とハナコさんが来る。


「コノハちゃん、久しぶりぃ〜」

ハナコさんは、コノハさんに抱きつき、

コノハさんはハナコさんの頭を撫でる。

「お久しぶりどすなぁ。お変わりおまへんか?」


親父は俺に寄ってきて、

「誰だ?あの美女は?」


「誰って…ハナコさんの神トモだろ?

 木花咲耶姫命って言ってたよ」


「木花咲耶姫命…!」

親父は、ウズメさんのトラウマからか

声を殺して驚いている。


「知ってるの?」


「お前、木花咲耶姫命も知らんのか?」

「当主、引き継いだんだから

 古事記くらいは読んどけよ」


「あぁ…ゴメン、」

「いろいろ、忙しくて…」


「木花咲耶姫命はな、天孫降臨(てんそんこうりん)した瓊瓊杵命(ににぎのみこと)のお嫁さんだ」

「とにかく綺麗で、あと三つ子産んでるから

 安産とか子育ての神様とか言われてるな」


「なんか、よくわからない単語だらけなんだけど」


「天孫降臨てのはな天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫が

 この世を治めるために来たって話だ」

「天照大御神は、太陽を司る最高神の女神

 このくらいは太郎も知ってるだろ?」


「うん、聞いたことある」


「だから、その孫の瓊瓊杵命は

 神様界のエリートって感じだな」


コノハさんは、聞こえていたようで

ハナコさんを撫でながら、

「まぁ、エリート言うても、

 うちには関係おへんのどすけどねぇ。

 ただ……お優しいお人やったさかい、

 それだけで好きになりましたん」


「へぇ…旦那さん、凄い人なんですね」


「太郎、それだけじゃないぞ」

「木花咲耶姫命の

 姉の磐長姫命(いわながひめのみこと)は不老不死だ」


「おお、てか一応、神様も寿命あるんだ!」


「その辺、どうなってんだろうな、ワシにもわからん」

「ただ、磐長姫命の顔は…」


「ご主人…」

コノハさんが、笑ったまま親父に圧をかける。

緊張が伝わり、息ができない…

「姉の話は、そこまでにしときまひょ。

 あまり、よろしおへんさかい。」


「は、はい、調子に乗ってスミマセン」

親父は一気に無表情になり、奥の部屋に逃げ帰る。


「じゃあ、ハナコ達は遊び行ってくるねぇ」

ハナコさんが笑顔で出ていこうとする。


「ちょっと待ってよ」


「ん?なぁに?」


「遊び行くのはいいんだけどさ、

 やっぱり、俺が、ひなたと病院行くからなの?」


「えぇ、関係ないよぉ…たまたまだよぉ」


「でも、ひなたの話してからメールしてたよね」


ハナコさんが固まる。

コノハさんが、ため息をついて

「なるほど…そういうことどすなぁ。」


「太郎さん、

 あんまり女の子に詮索するような

 聞き方は、よろしおへんえ。」


「あ…はい…」

確かにそうだ…そんなのハナコさんの自由だよな…


「コノハちゃん、ありがとぉ…」


「ありがとう、やなんて……ねぇ」

コノハさんは、少し面倒くさそうに言う。

「まったく、

 あんたらの道楽に付き合うことになるとは

 思てへんかったわ」


「ほな、行きましょか」

そう言って、二人は出ていってしまった。


玄関に残ったのは、静けさだけだった。

なんでこんなに上手くいかないんだろう…

でも、今は――ひなたを待たせている。


俺は考えるのをやめて、靴を履いた。

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