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女神な彼女  作者: なつみかん


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第一話 ハナコ降臨

パンパカパーン♪


軽快なラッパ音が鳴り響く


屋根をすり抜けてフェミニンな

神々しいお姉様が降りてきた。


ご丁寧に、頭の上に輪っかが乗って

背中に羽根まで生えている。

衣装もなんだか、布をまとった様な神っぽいそれだ。


「おめでとうございます〜、華那古命はなこのみこと

 お願い叶えるキャンペーンですぅ」


意味がわからない…

家でダラダラ過ごしていたはずなのに

なんなの?この非現実な環境は?


「お名前は〜?」


女神がにっこり笑って聞いてくる。


「か、神守太郎かみもりたろうです…」


「あらあら〜ピュアな反応ですねぇ

 ハナコ、好きですよぉ、純情な男の子ぉ」

「ハナコは、華那古命、ハナコでいいですよぉ」


もう赤面するしかない…金髪で青い瞳

おまけにナイスバディ

男の夢を布1枚で包んだようなその姿

オマケに羽と輪っかのオプション付きだ。


「今はキャンペーンなんですよぉ、ラッキーですねぇ」


「…キャンペーン?ですか?」


「はい〜、あなたの前の方は億万長者になりましたよぉ」


女神は人差し指を口元に当て考える、セクシーだ…


「まぁ…年末ジャンボみたいなものですかねぇ」


そう言ってヘラッと笑った。

その笑顔を見て、俺は深く考えるのを辞めようと思った。


「あ、そうそう…一応、注意事項ですぅ」


「あっはい…」


「願いはひとつ、取り消しも不可ですよぉ

 じっくり考えてくださいねぇ」


「なるほど…」


「あと、他の人に危害を与えるのもダメですぅ

 呪いとか復讐系は辞めてくださいねぇ」


ごもっともだな、そんな事を願うつもりもないし

でも何がいいんだろう…富?…名声?…力?…この世の全て?

なんかしっくりこないなぁ…


「それでぇ、どうしますぅ?」


「どう、って?」


「願い、ですよぉ〜、今日はあと一件くらい回って

 高天原たかまがはらで、ダラダラしたいんですよねぇ」


くそぅ…雑に扱われている、なんだろう、この気持ち…


クラスの女子に、数合わせでカラオケに誘われる様な気分だ…

この人には、そんな気ないのかもだけど

そーゆーのが一番、心にくるんだからな!


そんな事を思ってると、女神は手をポンッと叩き


「そうだ、顔、カッコよくしませんかぁ

 なんかちょっと冴えないし…」


ここで俺の男心は崩壊、この女神…

俺の気にしてるところを…!


でも美人だ、こんな綺麗でしかもナイスバディのお姉さん

俺の前に現れるなんて金輪際ない、断言してもいい。


「彼女に…」


「はい〜?」


「彼女になってください!!」


俺はダメ元で告白してみた。


「いやいや〜、さすがにそれはちょっとぉ……え?」


突然、女神が金色に輝きだし、目が眩む!


「えー?うそ、うそうそ、ヤダー!」


眩い光が過ぎると、部屋は一気に静かになった。


さっきまでの神々しいかった女神が

急に日常の異物みたいに見える。


笑顔でニコニコしてるけど

額に青筋が見える…ような気がする。


「あらあら〜、やってくれましたねぇ〜」


女神?が、俺に向けて手をかざす…


「何…してるんてすか?」


「いえいえ〜、ちょっとだけ、

 あなたを醜い豚に変えようと思ったんですけど…

 やっぱりチカラ消えてますねぇ」


「ぶ、豚!なんでそんな事を…」


「ちょっとした、神々の遊びですよぉ

 もう神じゃないんですけど…」


「え?どうして?」


「あなたが“彼女になって”って願ったから

 ハナコ、彼女にジョブチェンジしちゃったんですよぅ…」

「神通力も、消えちゃいました〜。

 だから高天原にも帰れません」


「…なんかスミマセン」


「スミマセンじゃ済みませんよぅ…

 ちゃんと責任取ってくださいねぇ」


「責任…っすか?」


「当たり前じゃないですかぁ、

 ハナコ、帰る家なくなっちゃったんですよ?

 …あなたのせいでぇ」


た、確かに俺のせいだな…

てか本当に彼女でいいんだろうか?

今更、聞けない…


「わかりました

 とりあえず人間として生活するって事でいいんですよね?」


「はい〜、あと、あなたの彼女としてですぅ」


ドキッとする、

やっぱり彼女なんだ…凄いぞ、俺!


「…じゃあ、とりあえず手をつないだり…」


「今って、そういうムードじゃなくないですかぁ?」

「ダメですよぉ、女心、ちゃぁんと、勉強しないと」


…ごもっとも、でもこれからどうしようかな?


「ずっと部屋にいる訳にも行かないし

 そのカッコじゃ変っすよね?」


「そうですかぁ?ウズメちゃんに

 イケてる〜って、勧められたのに〜」


「ウズメちゃんは知らないけど

 とりあえずここでは、変っすよ」


とりあえず、服買いに行かないとな、

あ…服を買いに行く服がない…

どっかの2ちゃんで見たようなコメントだな…


「とりあえずですね、俺の服、貸しますんで、

 これ着て服買いに行きましょう」


ちょっとオシャレな、俺のシャツを渡す。

俺の唯一の、いい感じのシャツだ。

ハナコさんの手前、なんか見栄をはって渡してしまった。


「え〜、みんな、こんなの着るんですかぁ」


「仕方ないじゃないですか

 これでもお気に入りなんですよ?」


「あっ、でもこれ、着れませんよぉ」


「へ?サイズは大きいくらいかと…」


「ほらぁ、これ…」


そう言ってハナコさんは羽をバサバサさせた。


「あ…それって飛べるんですか?」


「神通力が、あれば飛べますぅ、今はただの飾りですねぇ」


「…輪っかも?」


「はい〜、でもクルクル回して遊べますよぉ」


そう言って、輪っかを回している。

楽しくなさそう…


「えっと…太郎くん、ハサミ、ありますかぁ?」


「ありますよ、はい」


何も考えず、反射で渡してしまった…

…ジョキ、ジョキ

俺のシャツが切られて行く…


「ハナコさん…なんてことを…」


「え?これ着るんですよねぇ?こうしないと、着れませんよぉ」


さようなら…俺のお気に入りのシャツ…


「じゃあ、着替えますねぇ」


そう言ってハナコさんは布っぽいやつを脱ぎ始める…


「ちょっと待った!」


「ふぇ…?なんですかぁ?」


「いきなり着替えないでくださいよ!恥ずかしじゃないですか!」


「なんで太郎くんが、恥ずかしがるんですぅ?」


「いや、分からないけど!慣れてないっす!そういうの」

「とりあえず部屋の外いるんで

 着替え終わったら呼んでください!」


「まったく…裸を見る覚悟もないのに

 "彼女"なんて願わないで欲しいですねぇ…」


うぅ…なんだか、負けた気分だ…

こんな気持ちで廊下に立つなんて、小学校以来だぞ…


「もういいですよぉー」


部屋に入ると、シャツにジーパンの

ボーイッシュなハナコさんになっていた。

羽と輪っかはあるけど…


俺が着てた服だと思うと、ドキドキするな…

付き合うって、こーゆー事だろうか。


いや、冷静に、まだ慌てる時間じゃない

ハナコさんは服がなかっただけだ。


「じゃ、じゃあ、ウニクロ行きましょうか?」


「ウニクロぉ〜?」


「まぁ…服屋っすよ、近所にあるんで」


「仕立て屋さん!楽しみですぅ」


「まぁ仕立ててあるんすけどね」


そんな話をしながらウニクロへ

えっと………何から買えばいいんだっけ?

どんな服を買えば………


「太郎くん?」


「はいっ!」


「どうかしましたかぁ?」


「いえっ!なんでもっ!」


アタフタしてると後ろから声が…


「たーくん?」


振り向くと、キャップを被った、ひな姉がいた


「お知り合いですかぁ?」


「はい、近所に住んでるひな姉です。宮下ひなた」


ひな姉は、俺にグイッと近づき


「この人のシャツ、たーくんのだよね?」

「どうして、この人が着てるの?」

「そもそも、この人誰なの?」


矢継ぎ早に質問してくる。何から答えればいいのやら…


「ハナコは、太郎くんの"彼女"なんですよぉ」


「今はこっちで、話してるから黙って……はぁ!!」

「なにそれ!どういう事なの?」

「なんでこんなに、年上のお姉さんと付き合ってるの!?」


「ちょっと、ひな姉、落ち着いて!」


俺はここまでの事情を、ひな姉に説明した。


「…なるほど、よく見れば羽も生えてるし輪っかもあるし…

 おかしいと思ったのよね…」


そこは最初に気づこうよ…


「でも、たーくんが彼女になって欲しいって

 言ったんでしょ?」


「まぁ、そうだけど…」


「ハナコさん的には、どう思ってるんですか?」


ドキッとする…ハナコさん、俺の事、どう思ってるんだろ?


「ハナコは、ですねぇ…」

「非常に言いにくいのですがぁ…」


ハナコさんが、ピンクに染めた頬に手を当て、言い淀む。

これは…キタ!キタのか!


「さっきまで神でしたし、所詮下々の者

 くらいにしか思ってませんねぇ」


……今日ほど悲しかった日があるだろうか…いや無い


「ふーん…」


ひな姉は、少し落ち着いたみたいだ…良かった〜


「…で、服、買いたいんでしょ?」


「うん、そう」


「たーくん、女の子の服なんて知らないでしょ?」


「そ、そんな事…あるけど」


「じゃあ、たーくんは離れてて、あたしが服選ぶから」


そう言って、背中を押されて2人から離される。


…下々の者かぁ

あっ、そうだ切られたし、シャツ買わなきゃ

トボトボとシャツを買い、店の外で待つ…


買い物…長いなぁ…


「おまたせー」


ひな姉が明るく店から出て来る。

その後ろから、ハナコさんが…

ロングスカートが、よく似合う大人の女性って感じだ。


「似合いますかぁ?」


激しく上下に首を振る。

俺はもう下々の者でいいかもしれない…


ひな姉か、隣に立ちキャップを深く被る。


「たーくんはさ、綺麗な人なら誰でもいいんだね」


口を尖らせて言う、何故か胸がチクッとした。



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― 新着の感想 ―
一番心に残ったのは、やはり**太郎の「願い」**の瞬間。 富でも力でもなく、衝動的で不器用な想いを選んだことで、物語が一気に“人間側”へ落ちてくる。 神だった華那古が居場所を失い、太郎と同じ高さに立つ…
一番心に残ったのは、やはり**太郎の「願い」**の瞬間。 富でも力でもなく、衝動的で不器用な想いを選んだことで、物語が一気に“人間側”へ落ちてくる。 神だった華那古が居場所を失い、太郎と同じ高さに立つ…
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