学校の怪談
昭和の頃、
小学校の夏休み、肝試しは当たり前の行事だった。
夏休み、子供の頃
夜の小学校に忍び込んだことがある
昭和五十年代、そういう時代だった
暗い校舎を彷徨う
3階の音楽室のピアノは鳴らない
薄明かりの中で歩く廊下の不気味さ
妙に足音が響く
階段を上がる
4階の理科室の扉を開ける
骸骨標本が、暗闇で白く光っている
ここで目的を達した
幽霊などいない
ほっとして1階に向かう
廊下を歩く
後ろから足音が聞こえる
足を止めると音も止まる
誰かいるの!
誰も答えない
うわ~!
恐怖 、悲鳴をあげながら
階段を下り続ける
気づく
後ろから、複数の足音が聞こえる
足音が増えていく
どんどん後ろに迫ってくる
必死に、1階まで階段を降りる
そして
廊下を、全速力で玄関扉まで走る
向こうには、友だちが待っている
扉を開けて外に出た
と
凄い音がして扉が閉められた
扉のガラスに
無数の、子どもの手のひらが見えた
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戦前から続く古い小学校で
戦禍で、たくさんの児童が亡くなったらしい
運動場の片隅に、今でも慰霊碑がある