魔王メイドエクリナのセカンドライフ

かつて“世界を滅ぼしかけた《魔王エクリナ》。
復讐に燃え、力を振るい、絶望の象徴だった彼女は――
ただ一人、自らを止めた男・セディオスと出会い、「守る者」として生まれ変わった。

長い戦いの果てに神を討ち、すべてを失った彼女が、
今、望むのは――ただひとつ。
「静かな日常」と「愛すべき家族の笑顔」だけだった。

今ではメイド服に袖を通し、主のために紅茶を淹れ、館を整える日々。
彼女が求めるのは、血の繋がらぬ“家族”と静かな安寧だけ。

主であり、かつての敵――剣士セディオス。
天真爛漫な雷の少女ライナ。
冷静沈着な炎の才女ルゼリア。
そして無垢なる術具士ティセラ。
血の繋がらぬ者たちと囲む食卓こそ、彼女の“第二の王座”である。

紅茶を淹れ、掃除をし、時に杖を取る。
世界を滅ぼす気も、救う気もない。
だが――彼女の安寧を乱す者があるならば、
魔王は再び、闇を振るう。

「我が世界は、この館の中にある。それで充分だ。」

滅びの魔王が選んだのは、戦いではなく“穏やかな暮らし”。
それでも迫る災厄を、愛する家族と共に退ける。
――優しく、気高く、美しき《魔王メイド》のセカンドライフ。