◆第6話:ライナの冒険日記(朝から夕方編)◆
朝――
陽の光が差しこむ頃、ライナは勢いよくベッドから飛び起きた。
「よーっし! 今日も元気に出撃だーっ!」
寝癖全開、パジャマ姿のままキッチンへ直行。
「王様~っ! 朝ごはん食べたら森へ食材取りに行ってくるねっ!」
「寝巻きのまま叫ぶな! まず着替えよ!」
エクリナの怒号を背に、パンを口にくわえたまま、ライナは森へ駆け出した。
昼――
森の中を軽快に走り回る。木の実を摘み、キノコを見つけ、小動物の足跡を追う。
「おっ、これは食べられるやつ! こっちは毒キノコ!……わかってるもん!」
木陰に腰を下ろし、空を見上げる。
(ふふん、あの頃よりずっと平和になったなぁ……でも、王様とみんなが守ってくれるから、こうして思いっきり走れるんだ)
(昔は必死で生きるだけだったけど、今は“誰かのために持ち帰る”のが楽しいんだよね)
夕方――
両手いっぱいの戦利品を抱えて館へ帰還。
「たっだいまーっ! シカも取ってきたよ! ちょっと重いけど大丈夫ーっ!」
ふらつく彼女を裏口で迎えたエクリナが、ため息まじりに支える。
「……我がいなければどうなっていたか。まったく、目が離せぬ」
けれど口元にはかすかな笑み。
「王様、今晩はハチミツジビエシチューにしようよっ!」
「また甘味全開か!……しかし、うぬが選んだ食材ならば、腕を振るわねばな」
夕暮れのキッチンに、ライナの元気な声とエクリナの鋭いツッコミが響き渡る。
騒がしくも温かなその時間こそ――彼女たちが守り抜いた日常だった。




