表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王メイド・エクリナのセカンドライフ  作者: ひげシェフ
第十章:遠き地での出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/247

◆第214話:水面に浮かぶ都市◆

技術都市フォルネアを出立して丸一日。

エクリナ、ティセラ、ガンゴは自動馬車に揺られ続けていた。

車体はガタガタと鳴り、地を疾駆する。


――朝が過ぎるころ、水都ヴェルミオラの門前に到着。


ガチャン――。

自動馬車の扉が開く。


中から、呻きながらガンゴとティセラが降りた。

「……もう乗らん……」

「なんでこんな目に……」

師弟ともども青ざめている。


「いい朝だな……潮の香りがする」

流麗な所作で降りるエクリナ。まるで何事もなかったかのように爽やかな顔であった。


乗客を降ろした自動馬車は、円筒の頭部をこちらへ向ける。

「ピピピ……ガガガ――」

「ゴリヨウ、アリガトウゴザイマシタ。ソレデハ、ヨイタビ、ヲ」

そう告げると、爆音と砂煙を残して走り去った。


「ごほ、ごほ……なんとか着いたな。まずはヴァレンシアと合流だ、言いたいことが山ほどある!」

少し元気を取り戻すガンゴ。


「この街は初めてですね」

「ああ、楽しみだな」

ティセラとエクリナは、新たな土地に高揚していた。


 ◇


入国審査を無事に終え、門をくぐると大きな橋。

その先――湖上に連なる城壁が見える。


「これは、中々大きな橋だな」

「凄いですね、まるで湖に街が浮いているようです!」

エクリナとティセラが目を見張る。


「ここは諸外都市や国との貿易拠点だからな。ここから珍しい術具や新鮮な魚介が運ばれていく」

ガンゴは橋の先に広がる湖上都市を顎で示した。

「広く、守りも堅い。ヴェルミオラはそういう街だ」


「なるほどな。……しかし、少し遠いな」

「それなりに歩く必要がありますね」

歩きたくない二人である。


「はは、心配するな! 送迎の人力車がある」

ガンゴの指先――馬車よりは一回り小さい、二段の引き車が並んでいる。


「あんな大きな車を人が引けるのか?」

エクリナの疑問に、

「魔導術具だからな。引く力を補助してくれるんだ。負荷はほぼ無いに等しい」

とガンゴ。


「では、あれに乗りましょう!」

興味津々のティセラ。


「よし、話してくる」

ガンゴは人力車の引手へ歩み寄り、硬貨を渡して交渉。手を振って合図を送ってくる。


「では、乗るか」

「ええ!」

エクリナとティセラは顔を見合わせ、人力車へ向かった。


 ◇


コトコトと軽やかな音を立て、人力車が進む。

下段にガンゴ、上段にエクリナとティセラが腰掛ける。


「安心する速度だな……」

「本当ですね……」

自動馬車の乗り心地を思い出し、ガンゴとティセラがしみじみと感じていた。


「潮の香りが強くなってくるな」


鼻で大きく香りを吸い、肺を満たす。

海風を受け、エクリナが目を細めていた。


やがて城壁前の入口に到着。防衛用の鉄柵は上がっていた。


「警備が厳重だな」

「街ではなく”都市”だからな。天然の大水堀と合わせれば、無敵の城塞都市だ」

門構えを見上げるエクリナに、ガンゴが応じる。


内部は多様な街並みだった。

石造りの家や商店はもちろん、漆喰、木造、見たことのない意匠の塔まで混在する。

海を介した交流はこの街に異国の文化を柔軟に取り込み、進歩を促してきたのだ。

屋台が立ち並び、人声が交錯し、活気が熱を帯びる。


――以前訪れた交易都市アヴェリアを超える大きさ。

もはや”都市”ではなく”国”のように思えた。


「「……」」

言葉を失うエクリナとティセラ。


「まあ、そうなるよな。儂も慣れるまで時間がかかったわ」

ガンゴが苦笑する。


「ふ、まずは楽しまねばな」

エクリナも笑みを漏らした。


運河と湖に抱かれた都市、水都ヴェルミオラ。

喧騒の奥では、まだ見ぬ音色と人の縁が、すでに動き始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ