結びの言葉
結びの言葉
是知者 村結縁 村呑是地 是者成贄
これで資料は以上となります。
無事、日暮れ村との縁を結ぶことが出来ました。
おつかれさまでした。
村上
村長からの電話
『あー、もしもし?久しぶりだな。え?お前のお母さん?相変わらず村の境をうろついてるみたいだな。安心しろ、まだ持っていかれたりしてないから。
最近ジジイとババアしかいねえからよお、こっちは女が足りなくて困ってるんだ。それで、村を広くしようと思ってるんだ。どうやってやるかって?簡単だよ。村を有名にすりゃあいい。え?意味がわからない?じゃ、面白い話してやるよ。
お前のババアがな、ああ、怒るなって。お母さん、な。お母さんが、お前が出てってすぐに村の境の桃の木を切ったみたいでな。あ、そうそう。日の出村の方面の木な。そしたらな、俺らが動ける範囲が広くなったんだ。別にだからどうってことないし、俺たちも気にしてなかった。でもな、ある日男が迷い込んで来たんだよ。ああ、そうそう、あのエロ小説書いてるやつ。そいつはすぐ出てった。でも、あいつが村を出入りできるなら俺らも村を出入りできるようになるかもってことで、とりあえず、関係のありそうな桃の木をもっと切ったんだ。でも、無理だった。俺らは出られなかった。どうしようってみんなで知恵を絞ってな。ほら、外の奴らに電話で相談ってのも無理だろ?繋がんないから。もうどうしようもないんじゃないかって、俺らは諦めかけた。そんなときだよ、ガキが迷い込んだのは。
なんだろうな、桃の木が村の活動を封じる結界だったんだろうな。それがだいぶ減ったせいでガキも入れたんだ。エロ小説好きのマセガキに村のことを聞いたって言ってたな。そいつはすぐヘマして持ってかれたんだが、そいつを探したいってことでテレビ取材のやつが入ってきた。その頃にはなんというか、村の力が強くなってきた気がした。わかるんだよ、村と一心同体だからな。証拠にな、どこにも繋がらなかった電話がテレビ局にはつながったんだ。面白えだろ?
最近は日の出村にも行けるようになってる。村とおんなじ空気をしてるよ。日の出村のやつは、最近村の空気がおかしいって言ってた。そらそうだよ。でな、そこの奴ら、みんな日暮れ村のことを知ってるんだ。不思議だろ?それでな、俺思ったんだよ。村のことが噂になってる地域を日暮れ村が呑み込んでるんじゃないかなって。桃の木はその活動を封じるためにあったんだろうな。テレビ局も呑まれたんだよ、多分。だから電話がつながった。でもそこに足を運ぶことはできない。飛び地になってるから。
もうわかったろ?なんで村のことを広めろって言ったか。
やるよな?お前も村の男なんだよ。逃げられると思うなよ。
できれば若い奴らが多いところを呑み込みたい。二十代くらいがいいな。男は労働力に、女だったら巫女にもできる。
ま、無理だったらお前のお母さんをヤマビトに捧げればいいし。どうなるんだろうなあ?ババアだからヤマノコは産めないかな?じゃ、そういうことで。ノルマも設けるから。』