日暮れ村内部資料
村民からのビデオレター
「○○、村から出られた?お母さんあんたのことが心配で。なんかいい情報は見つかった?祓い屋さん見つけたら連れてきてね。お母さん?お母さんもそっちに行けそうよ。村長さんが綻びを大きくしてくれてね、そこから出られそうなの。あ、そろそろサイレンなっちゃうから、これで動画おしまいにしちゃうね。」
都市伝説雑誌の記事 異空間トンネル
最近日の出村にある○○山には桃の木で作られた結界がある。しかし、その結界は不完全である。という都市伝説が流行している。
筆者は○○山に向かい、このうわさが本当か調査をした。
しばらく歩いているとトンネルが現れた。幻覚か?と思ったが触ることが出来る。覗いてみるとトンネルの先は薄暗く、よく見えない。目を凝らすと大柄なヒトのようなものが歩いているのが見える。髪は長く、手はだらんと垂れている。
筆者はトンネルをくぐろうとしたが現地のお年寄りに止められてしまいそれは叶わなかった。
日暮れ村にある ヤマビト博物館パンフレット
『狩り』は毎日夕方四時四十四分に行われます。山にいる動物だけでは空腹を満たせないヤマビトが定期的に街にやってきます。でも大丈夫。動かなければ狙われません。
ヤマビトは頭を食べます。これを持って行かれる、と表現します。
持っていかれたらどうなるかって?諦めましょう。首から下はヤマビトの子分になるようです。
理由は分かりませんが、「また死ね」と唱えると何とかなるようです。なんででしょうね。
青年の日記
〇月〇日
白い獣を食べた。
好奇心に負けてしまった。
返り血がついている。
当然村の人には問い詰められた。
口からはスラスラ嘘が出てくる。
神は私を恨むだろうか。
〇月〇日
村総出で神社を破壊したらしい。神社近くの桃の木を全て切ったと聞いた。
私のせいだ。神様が私を殺そうとしたなんて言わなければ。
〇月〇日
何かが山を降りてきた。私のせい?
〇月〇日
村は変わった。定期的に何かが徘徊し、逃げ惑う人を捕食している。村の空気もおかしい。村自体が呼吸しているような気がする。
桃の木小学校で使用される教科書の内容
むかしむかし、この村には神様がいました
大層美しい神様は村を守ってくれました
白い獣は神様の子分でした
村人たちは、子分を食べないと約束していました
しかし、ある青年がその約束を破りました
村人たちに怒られたくなかった青年は嘘をつきました
神様が裏切ったと言う嘘を。
村人たちは彼の言葉を信じ、怒り狂いました
神社を壊し、周りの桃の木を切り倒しました
神様は死にました
すると、山から何かが降りてきました
日暮れ村はこの日から生き物になりました。
我々はその日から村の一部となったのです。
女子中学生向け、性教育パンフレット
皆さんは適齢期に入りましたので、あいのこの儀に参加する機会があると思われます。
そのため女性の皆様のために、儀式の説明をいたします。
オスのヤマビトさまはあなた達より大きいです。逆らってはいけません。
ヤマビト様のために貞潔は守りなさい
あなたたちはヤマビト様と交わると言うお役目を与えられます
ヤマビトが性器を挿入したらあなたは喜ぶべきです。
観覧している男性の士気にも関わります。
妊娠している間は小屋に篭ります。
他の巫女様と仲良くすること
出産の様子は一切記録に残っておりません
先輩の巫女様に従うこと
高校家庭科 ヤマノコ鍋
男子諸君にはヤマノコ鍋の作り方を習得していただく
ヤマノコの締め方
ヤマノコにはよく見ると黒い点が二ついています。そっちの方が頭です。
ヤマノコの締め方にはいくつか種類があります。
①石で頭の辺りを殴打する
頭蓋骨が未発達なため簡単に締められます
②頭を切り落とす
首の骨は柔らかいため簡単に切り落とせます
③首の血管を切る
血抜きが同時にできて便利ですが、非常にうるさいためやってはいけません
鍋作りの際は②の方法で締めます。
ヤマノコの下処理
・締める
・皮を剥ぐ。内臓等と癒着しており傷つけないよう気をつける
・内臓を取り除く。
内臓は食べることができない。当たり外れが大きい。内臓が極端に小さいモノが当たり。
・ヤマノコをぶつ切りにする。
鍋のレシピ
人参、里芋、大根を切る
鍋でヤマノコの肉をある程度炒める
水を加えて煮始める
野菜も全て入れる
醤油とヤマノコの頭でとった出汁を加える
完成
あいのこの儀の際に歌われる歌
青き柿 熟れし柿
皆雨風では 落ちぬ柿
尊き獣 手を伸ばし
全ての柿を 腹に入れ
柿の腹には 種宿る
そのみどりごは 育たぬ柿
喰われることで 役にたつ
育たぬ柿 あいのこの柿 哀れな柿