息抜き
日暮れ村事件、の概要をアップしました。かなりショッキングな内容だったと思います。
日暮れ村事件に触れるのは初めてだったでしょう。疲れてしまったでしょう。これからもこのような気分を味わうかもしれません。
そこで、皆さんのために息抜きのパートをいくつか用意することにしました。
最近、村近辺の地域で流行している都市伝説などを取り上げたいと思います。
楽しんで読んでくださいね。
桃姫様 日の出村にて作成された童話
古くから日の出村にはヒノカミ様という神様が住んでいました。
ある青年がいつものようにヒノカミ様の住む神社にお参りをすると、お社の前に見知らぬ女がいました。頬は桃色で目は子犬のように大きく、肌は雪のように真っ白でした。誰もが目を奪われる絶世の美女は涙を流していました。
青年が声をかけようとするとひどく怯えてしまいます。
男性が怖いのではないか、と推測した青年は女性であるヒノカミを呼び、二人で彼女の話を聞くことにしました。
彼女はある村の神でした。しかし、村人に眷属を殺され神社を壊されてしまい、逃げてきたようです。
ヒノカミ様は彼女を哀れに思い、一緒に神社に住むように提案をしました。
日の出村の村人たちは彼女を慰め、桃姫という名前を付けて祀りました。
今でもヒノカミ様と桃姫様は仲良く村を守ってくれています。
ゆうなぎさん 都市伝説
最近日の出村にて流行している都市伝説
ある主婦がインターネット掲示板に投稿した話がきっかけで流行
ヒノカミ神社から見えない位置に出現する
夕方〜夜に出現する
人型の怪異
全裸で、男性のこともあれば女性なこともある
髪の毛は長く、油ぎっており全身から腐乱臭を放っているため遠くからでも存在を確認できる。
ゆうなぎさんに見つかってはいけない
ある主婦によるネットへの書き込み
皆さんが分かりやすいように一部手を加えています
1 名無しさん(主婦)
うちの息子が不気味な絵を描いています。何?と聞くと、ゆうなぎさまだという返事が返ってきました。そんな言葉、聞いたこともありませんし気味悪いです。
ゆうなぎさまとはなんですか?
2 名無しさん
なんだそれ。イマジナリーフレンドとか?
3 名無しさん (主婦)
他のおともだちも似たような絵を描いているんです。
不人気だったのだろうか。ここで書き込みは終えられてしまった。
ある青年のネット書き込み
俺が住んでる村で最近変な奴が徘徊してる
1 青年
夕方に散歩してたら周囲がすげえ臭くなって、辺りを見回したら変なのがいた。
2 名無しさん
写真上げろよニート
3 青年
絵ならある。てかニートじゃねぇし
(絵をあげる。絵は別で上げておきます。)
4 名無しさん
下手くそ
6 名無しさん
これと似てね?
(主婦が書き込んだ掲示板のリンクが貼られている)
7 名無しさん
バケモンの性別が違くね?
8 青年
いや、二、三匹いるんだよ。こいつ。オスとかメスとかあるのかもしれん。
頭食ってるのも一緒だし全く同じやつかも。てかこの人と近所かも。
9 名無しさん
こんな現代に新たな都市伝説が生まれるなんてあるの?
釣りだろ。
10 青年
うちの村には新しめの神話があるしあり得ると思う。
11 名無しさん
怖杉
12 名無しさん
全裸の女がうろついてるってこと?最高じゃん
どんなプレイする?
以降不適切な表現が続くため省略
情報お待ちしております 加藤
『ゆうなぎさん』はできたばかりの都市伝説であり、少ない情報が広い地域に伝達されている状況にあります。
私はゆうなぎさんの目撃情報を集めています。
ゆうなぎさんらしき怪異の目撃情報を発見したら私にお知らせください。
ゆうなぎさんを見たら私に知らせてください。
首のない子供が歩いているのなら私に教えてください。
加藤
官能小説家 村岡五郎のエッセイ
小説が一文字も書けなくなった。
気分転換が必要だと判断した私は、日の出村という村に滞在することにした。
日の出村には神社がある。そこには大層美しい女神が2人住んでいると聞いた。
桃の香り漂う神社に顔を出し、私は挨拶をした。
私は周囲を散策した。見知らぬ老婆が、山に行くことを勧めてくれた。日暮れ村という村らしい。
呪文を唱えると現れるという村を探すべく、私は山へ足を踏み入れた。
呪文を唱えながらしばらく山を散策していると、突然トンネルが現れた。トンネルの奥には何があるのだろうか。真っ暗で中は見えない。好奇心が私の背中を押した。私はトンネルに足を踏み入れた。
トンネル内は明るかった。外から見た時は暗かったのに。
トンネルは案外短かった。トンネルを抜けた先には村があった。
「誰だい。」
老人が私に声をかけてきた。
「村岡です。」
「そうかい。ちょっと泊まってくかい?」
私の名を聞いた途端老人の表情は柔らかくなった。力強く私の腕を引いていく。
老人は自宅へ私を招き入れるとやたらと食べ物を勧めてきた。しかし、私は食欲がなかったので固辞した。
とにかく眠かった。私は老人の家で一眠りすることにした。
目を覚ますと日はすっかり暮れていた。老人が私の名を呼ぶ声が聞こえる。
家の外に出る。村の男たちが、一斉にどこかへ向かっている。
私もついていくと、2人の生娘が迎えてくれた。そこは神社だった。
神社の真ん中には舞台があり、四方には屈強な男がいる。その男どもが祝詞のようなものを読み上げると、ゾロゾロと山の奥から何かがやってくる。身長は二メートルほどだろうか。全裸の男達が歩いてきた。お面を貼り付けたような笑顔で、しかし口周りにべっとりと付いた血がその生き物は人ではないことと、その凶暴性を表していた。
悪臭を放つ獣ども、は性器をいきり立たせてやってくる。2人の女はいつの間にか舞台に上がり、身につけていたものを全て脱いでしまった。
「緑の山の嬰児の恵みを受けん日暮れ村」
舞台の四隅の男がそう唱えると、獣どもが舞台へ上がり女を押し倒した。
周りで見物していた男どもは歓声をあげ、中には自分を慰め始めるものもいた。
私は女と獣が交わるのを黙って見るしかなかった。
獣どもは女に満足いくまで種を植え付けると山に戻って行った。屈強な男どもは女2人を小屋に連れて行った。
「鍋食うか。」
いつの間にか私の背後を取っていた老人に声をかけられる。腹が減ったので私は頷いた。
山の中からゾロゾロと女達がやってきた。腕には何かの塊を抱いている。
近くに来たので目を凝らしてよく見てみる。それは毛の生えた、蠢く肉塊であった。
肉塊には黒い点が二つあり、それが目のようだった。口は非常に小さく、乳首を辛うじて含むことが出来るほどの大きさだった。
「今、締めてやる。」
老人はそういうと、さっきまで獣が居座っていた舞台に上がった。女達は肉塊を老人に手渡していく。
あの肉体は女が産んだものなのではないか。あれは、あの醜い獣と美しい女との間に産まれた子供なのではないか。そんな考えが脳裏に浮かぶ。
舞台の四隅にいる男どもは、
「また死ねまた死ね…」
と不穏な言葉を壊れたレコードのように繰り返す。
「よもつへぐい」
私の耳元で女が囁いた。それは鈴の鳴るような、澄んでいて美しい声だった。振り返っても女などいなかった。私を桃の香りが包んだ。
私は舞台を背にして走り出した。村人どもはあの肉塊に夢中のようだった。
走っていると、若い女が手招きをしているのが見えた。私は女の元へ走った。そこにはトンネルがあった。
私はトンネル内を走った。心臓が張り裂けそうだった。貧弱な自分の体を呪った。
トンネルを抜け、私は山を降りた。その足で私は神社へ向かった。
私は賽銭箱にありったけの小銭を入れて感謝の言葉を伝えた。
紙幣を奉納する勇気は私にはなかった。