00 七人の聖騎士と聖女
スレア王国で代々受け継がれている、〈七人の聖騎士と聖女〉の存在をご存知だろうか。
この国では禍々しい姿をして、街を壊し、人々の生活や命を奪う、〈魔物〉という生物が存在する。
魔物は人々の憎悪や嫌悪などの感情が募ることで現れ、たとえ剣術に優れている者が倒そうとしても、〈オーラ〉を備えていなければ傷を与えることすらできない。
オーラとは認められた者しか扱うことができない証のようなものだ。
そして、オーラを持ち、身を挺して魔物と戦うのが七人の聖騎士と聖女だ。
聖女は人々を救うために、聖騎士はそんな聖女の身を守るために行動する。
聖女には人々の傷を癒したり、神のお告げが聞こえたりするなどの能力を持つ。
また、聖女は聖騎士よりも何倍も強力なオーラを操るため、その名の通り、〈聖なる人〉として国民から慕われる。
そして、ハレス公爵家令嬢の私、ベル・ハレスは今、次の聖女が誰なのかを知るために教会にいる。
「神からお告げがありました。
次の聖女は、ハレス公爵家のご令嬢、ベル・ハレス様です。」
「……え?」
悪女としてこの世に誕生した私が、なぜ王族と同等な扱いをされるほど、人々に敬われる聖女となったのか。
話は二年前まで遡る。