小説家のお庭キャンプ道
この作品は連載作品として続きを書くつもりはありません。読んでくださった皆さんが続きを想像して頭の中で物語を作っていってください。感想欄に考えた展開などを書いてくださると展開を妄想できるのでうれしいです。皆さんでいろんなストーリーを作りましょう。
僕の名前は春道 陽一
21歳にして、自分で言うのもなんだがかなりの売れっ子小説家だ。
僕は15歳、つまり中学3年生のころ
人気小説サイトの「小説を読みましょう」にアップされている素人が書いた小説が好きで、受験勉強を放棄して読みまくっていた。
だが、一年もすれば飽きが来るもので、異世界俺tueee系ばかりしか投稿されていない「小説を読みましょう」に軽い苛立ちを覚えていた。
「似たような作品ばっかで飽きてきたな。まぁ、他にすることもないから読むんだけど」
惰性で作品の検索を行いながらも、やはり読む気がなくなるタイトルばかりで時間だけが過ぎていく。
ここで僕は気づいた
読み始めて一年の俺が飽きているのなら、他の人も同じ意見なんじゃないかと
「これは、僕が別ジャンルの作品を書いたらバズるかもしれないな」
こういうものは早い方がいいと、僕はさっそく構想を練った。
「やはり、話題になりやすいのはミステリーか。でも僕に一からトリックを考える頭脳は備わってない」
いや、トリックなら今の時代ネットにいっぱい書かれてるじゃないか
引用して合体させれば独自のトリックになるんじゃないか?
ここから僕の処女作の執筆が始まった。
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そんなこんなで17歳の春、そこそこの高校に合格し通い始めて一年たった今日。
僕はとうとう20万文字を超える大作を完成させた。
「執筆中に他の人がミステリー系を投稿して2番煎じになるのだけは嫌だったんだけど、心配いらなかったな」
僕は、自身の処女作「桜が散る頃には、君の周囲に人はいない」を小分けにせず完結まで一気に投稿した。
投稿して一か月がたった。
僕の読み通り、類似作品ばかりの「小説を読みましょう」に飽きを感じていた人は多く、作品は人気急上昇。もう一週間は日間ランキング一位を取っている。
ここまでくれば後は早かった。瞬く間に書籍化の打診が来た。親に小説を書いていたことを打ち明け、印税の交渉を手伝ってもらった。交渉には少し苦労したものの、今までとは違うジャンルの作品ということもあり、他の書籍化作品より少し多い10%に決まった。校閲に関しては軽く殺意を覚えたものの何とかなった。
こうして僕は小説家になった。
本は売れた。夢と疑うほどに売れた。
僕は巨万の富を手に入れた。
書籍化を担当した日の国文庫は僕に新作の打診をしてきた。しかも今度はシリーズを出してほしいそうだ。
僕はためてあるトリックと構想を本にした。タイトルは「酔いどれ探偵の事件簿~酒場に行けば答えは見える~」だ。
これも売れに売れた。他にも続編としてだした「酔いどれ探偵の事件簿~犯人はカルーアミルクに泣く~」や「酔いどれ探偵の事件簿~殺人と蜂蜜酒は蜜の味~」なども順調だし、新作の「白昼の殺人」や「見方の違い」も売れている。
酔いどれシリーズはドラマ化したし、処女作である「桜が散る頃には、君の周囲に人はいない」と「白昼の殺人」は映画になった。
でも、僕の生活は充実してなかった。
執筆に追われてプライベートな時間がないからではない。自分は他の小説家と違い仕上げるのが速い。原稿を書くときに迷うことはないし、タイピングには自信がある。何なら週休3日だし、仕事の時間は1日4時間ほどだ。
単純に暇すぎるのだ。小説を書くのが仕事になってからは他の作家が書いた作品を前のように楽しく読めなくなった。かといって、他に趣味はない。唯一楽しめたのは5億かけて山形に建てた自分の理想の家の設計を考えたときとその家の敷地を確保するための立ち退き交渉の時だけだ。
だから、僕は趣味を得るためにいろんなことをした。
そして一つ趣味を見つけた。
キャンプだ。それも自身の家の校庭2個分の庭で行う庭キャンだ。
これは、暇な売れっ子小説家が庭キャンプにはまり、お隣の女子高生と恋愛しながらもゆったりとした人生を歩んでいく物語。
もちろん純粋な作品への感想も大歓迎です。
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