表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/11

第四章 思い出

■第四章 思い出


その後も麗子とは、男女の関係が続いた。


好意を持ち健康な身体の男女であれば

自然のことだったと思う。


その日も、私は麗子を激しく求めた。


麗子の心臓の鼓動は激しく、発汗していた。

白い綺麗な肌はピンク色に染まっていた。

目を閉じ、能面のような絶頂の表情から、

徐々に美しい麗子の表情に戻り始めていた。


「こんないいのは初めてだよ」

と麗子は少し照れながら小さい声で言った。


「同じだよ。すごく良かった」と私もこたえた。


「女は子供を産んだ30代が一番良くなるんだって」と麗子は笑った。


「男は30代から衰えてるよ。たぶん」


「卓也さんは49だっけ、すごいよ」


「え~褒めてくれるんだ。麗子がいい女だからだよ」


「私のこと好き」と麗子は聞いてきた。


「最初からずっと好きだよ」と言った。


「じゃ~名前からちゃんと言って」と目をじっと見つめてきた。


「麗子が好きだよ」と目を見つめて言った


「麗子は?」と私が聞くと


「まあ、普通かな」と言って嬉しそうに笑った。


「普通なら良かったよ。少なくても嫌いじゃないみたいで」

と私も笑った。


麗子に好きと言われることは、この後も一度もなかった。

ただ、麗子には何度も好きと言わされた。

自分の価値を確認する儀式のようだった。


麗子はお茶目でおどけているようでいて、

実は自尊意識が低かった。

気が強いようでいて、それは気の強い女を演じてるだけだった。


麗子は誰かに愛されていることを確認することで

心の平穏を得ているように感じた。


「最初に会った時のこと覚えている?」と聞いた。


「卓也さんと初めて会った時の印象は・・・」麗子は言った。

「素敵なスーツだなと思った」

「他の社長さんとは全然違ってた」

「体にフィットして、高級スーツって感じ」

「卓也さん、お腹出てないしスタイルいいし」


「え~印象はスーツなんだ」と私は笑った。


「まあ、正直言えばそんな好きなタイプでもなかったかも」と麗子はお道化て言った。

「私のこと気に入ってるのに、必死に隠してるところが可笑しかったよ」


「そんな態度取ったかな~」


「目がもう、ギンギンに輝いてたよ」

「獲物を見る目だった」と麗子は笑った。


「イジワルだな~。それイジメだね」私は笑った。


「卓也さんのギンギンは、別に私は嫌じなかったけどね」麗子も笑った。


「じゃ~銀行で再会してランチ誘ったときの印象は」


「そうだな~」と麗子は何かを思い出す表情。

「あの時は、断ったらショック死しそうな雰囲気だったから付き合った」楽しそうに笑った。


「ボランティア活動だったんだ~」私はお道化た。


「まあ、そんな感じかな」

「その時もスーツが素敵だったね」


「またスーツか~」と私は笑った。


「でもさ~今ここに一緒にいるってことは、そういう事だよ」


「好きなタイプでもなかったけど、普通になったってこと?」私は聞いた。


「まあ、そういうこと」と麗子は答えた。


「いっぱい話したら喉が渇いたので、水を飲ませて」と麗子が言った。

コップとペットボトルを取ってあげた。


いたずらっぽい顔をして

「そうじゃなくて」

と私の唇と自分の唇とボトルを順番に指さしていた。


「やったことないからうまく出来るかな」と言うと


「私だってやってもらったことないよ」


「卓也さんはキスが大好きでしょう、だからできるよ」


「え~好きかな」


「あ~とぼけてる。キスめちゃくちゃ好きだよね」

と私の目を見てくる。


口から口へ飲ませてあげると、うっとりした顔で麗子は

「おいしい」と言った。


「すごく美味しいから、私もしてあげる」

と言って同じようにペットボトルの水を飲ませてくれた。


確かにその水は、全体はまろやか感じがして

中は冷たく感じた。

初めての経験だった。とても美味しかった。


麗子とは何度でもできた。

それは麗子にとって驚きだったらしかった。


「え~まだできるの」と言って、

硬直していることを確認するといつも嬉しそうだった。


「ほんとうだ。すごいね」と言って応じてくれた。

「私の体が役に立ってるね」


「女は本能的に何度もできるんだよ」と言って笑っていた。


麗子とは体の相性が最高に良かった。

俗にいう肌が合うということなのかと思った。

どんな体位でも、うまくいった。


卓也さんと別れて家に帰る途中に卓也さんのが出てきて

「下着が汚れるんだよ」と言って笑った。

「あ~出て来てる~ってわかる。ちょっと気持ち悪いし~」

「それがちょっと変なニオイなんだよね~」


「もう、変なこと言うなよ」と私が抗議すると、


「ごめんね~」

と麗子は楽しそうに笑って私に抱きついてきた。


麗子はセックスの最中は大胆で激しかったが

終わった後は必ず体を隠した。


裸のままで部屋を歩くことは決してなかった。

バスタオルやガウンで肌を隠した。


スタイルが美しいからそのままの姿を見たかったが

それはなぜか拒んだ。

いつまでも恥じらいや品のある女だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ