もう一度逢いたい
ふと意識が浮上した。周りを見れば今まで見慣れた場所ではなく、ずいぶん昔の子供時代過ごした部屋で・・・伸ばした手を見れば小さくなっている。
そばにある鏡を見れば幼くなった自分の顔。
「時間が巻き戻った?いや・・・確か病気を患ったマリアと共にいる為に息子に帝位を譲りゆっくりと二人で過ごしてマリアが亡くなってから全てが色あせたようになって・・・私は死んだはずだ」
いや・・・これが夢でも何でも構わない。もう一度やり直せるというのならすぐには無理でも彼女に会いに行こう。もし彼女が私を覚えてなくとも・・・もう一度初めから私を知ってもらえばいい。
だがまだこの年では会いにもいけん・・・先ずは彼女の国へ行けるような状況にせねばな。
「うむ・・・先ずは状況を把握せねば・・・それから・・・あぁそうだ出来るだけ早くせねば彼女は第二王子と婚約させられてしまう。その前に私と婚約できるようにしなくては・・・」
前世の彼女とは違うかもしれないけれど、私にとってそんなこと気にはならない。彼女であることが大切なのだ。その彼女が私にとって唯一の存在が一時だろうと誰かのものとなる事など考えるだけで胸を抉るように苦しくなる。
そうなったら裏から手を回してでも婚約を破棄して必ず自分のものにする気はある。ついでに相手を抹殺するくらいはするかもしれない。それくらい彼女が大切で愛おしいのだ。
そういった時に彼女は・・・マリアは顔を真っ赤にして照れるのだ。それがとても可愛らしくて誰にも見せたくなくて閉じ込めたいとも思ったがそれは言わなかった。
嫌われはしないだろうが引かれそうだし、もし彼女が私から離れてしまったら生きていけないと思うというか生きていられなかった。それは前世で証明されている。
「とりあえずは皇太子としての立場を確立し早急に隣国へ行く・・・」
指針を決めればやるべきことは分かる。
・・・マリアンローズ・・・早く君に会いたい。
その頃のマリアンローズは・・・
自領の帳簿と睨めっこをしていた。