1-6話 奴隷について
奴隷
単純に人身売買だ。一度奴隷になると死ぬまで奴隷となる。
かなり劣悪環境の為、本当に最後の手段としてとられていた。その影響で奴隷が少なく、犯罪に手を染める者の方が多かった。奴隷の供給が少ない為、人攫いで奴隷を供給する者も出る始末となる。
止めがエルフのレイア姫事件だ。
別に姫様でもない普通の村娘なのだが、村の為に奴隷となった。
しかし奴隷先が酷かった。いや、酷くなったと言うべきか。
奴隷のレイアを冒険者としてダンジョンに潜らせた。レイアには才能があり素手の格闘と、成長段階で覚えた強力な魔法でLV80まで成長し奴隷先ではお抱え教師の扱いまで受けた。
奴隷の身分でこの待遇に心の底から主人に敬愛した。
レイアはダンジョンに戻らず主人の子供2人に魔法の教師となる。やがて子供の1人がダンジョンに潜る。順調に成長した。しかし中級のダンジョンで失敗。戻ってこなかった。
奥方が悲しみはレイアにぶつけられた。
陰で主人の寵愛を受けていることも黙認していた。しかし子供の死で教育係としての不始末でこれまでの不満と怒りを全てレイアにぶつけた。魔物の体の中にある魔石。魔石は魔力があり、地球で言う電力のかわりにしたり魔法のブースト材にしたりこの世界ではかなり重宝とされるもので、現在は無くてはならないものである。ただし取り扱いには注意が必要で魔石を飲み込んだりすると人が苦しみながら魔獣化してしまうか死んでしまう。
そんな小さな魔石をレイアの左手に埋め込んだ。苦しみ、悶え続ける。
レイアはそれでも「主人の大切な子供の遺品を探し出すまでは・・・」
と主人に助けを求めながら奥方にまた一つ、また一つと魔石を埋め込まれ9つの魔石を埋め込まれたレイアは力尽きた。
エルフの特徴である美しい金髪が白髪にかわるほど苦しい最後となった。
レイアは墓地に入れられたが後日遺体が墓泥棒に盗まれた。魔石やレイアの装飾品目当てだろう。ただし墓泥棒はまだ捕まってない。
泥棒も現行犯ではなければ捕まえ辛いのか、主人も被害届が出しづらいのか?
この1件以降奴隷は大きく制度を変えた。
奴隷の待遇を変えれば犯罪者に落ちるものも少なくなると考えられた。
その為メグミ公国で新たな法案が発足した。
奴隷制度法案
レイア姫のような犠牲者を出さない為現法案を発足する。
1.奴隷ギルドの設立及び奴隷の登録制
2.現在奴隷一人に対して法案発足前は金貨10枚/年の税金が掛かるが、本法案により税金を金貨1枚/年とし、金貨6枚/年をギルドに納めるとする。内、金貨1枚はギルドでの問診、身体検査を行いその費用とする。奴隷主に対し金貨3枚分の維持費減を行う。
3.ギルドに納められた金貨5枚/年を奴隷の貯蓄として扱う。
4.奴隷購入費の半金をギルドの貯蓄で貯めた時、購入代金の半金を返済した時点で奴隷自身が解除できる。ギルドの貯蓄が半金を超えた分は奴隷の解放時の生活費に充てられる。
5.奴隷購入費の全額を返済した時点で奴隷自身が解除できる。
また犯罪者が増えた大陸で、軽微な犯罪を刑務所に収容していると国の財政の圧迫となり、重犯罪以外は刑務所か奴隷の選択制に変更。
犯罪奴隷法案
犯罪者を増やさない為、犯罪の刑期を大幅に増やし抑止力としての効果に期待する。また犯罪者の社会復帰を目指し、現法案を発足する。
1.犯罪者の刑期を奴隷として生活する。
2.本法案により税金を金貨1枚/年とし、金貨2枚/年をギルドに納めるとする。内、金貨1枚はギルドでの問診、身体検査を行いその費用とする。
3.金貨1枚/は刑期後、社会復帰の資金として犯罪奴隷者に渡す。
4.刑期後、犯罪奴隷者は奴隷主に対しての敷地内への侵入及び情報漏洩が出来ない魔法印を入れるとする。
奴隷制度法案及び犯罪奴隷制度法案は更に変更の可能性がある。
メグミ公国
この法案は現在他の国でも広がりを見せた。
まあ、この長い話を聞いてはいたが、目は武器/防具屋に向けていた。
「奴隷とか兎人とかそんな目で見ないよ。」
と言ってもう一度店に入った。
??
「あれ?少し前迄いた人と兎人の方は?」
店主に聞いた。店の主人らしき老婆は、
「たった今出ていきましたよ。」
「?どこから?」
「やだよお客さん、そこの出入り口からに決まってるわい」
出入り口はずっと見てたのに。どうして見逃した?
取り敢えず有り金で青銅の鎧を購入し、ジゼルさんのところに戻った。
今の話をジゼルさんにするが「見過ごしでしょ」と一蹴された。
はあ、同郷?同星?の者に会えたかもしれないのに・・・
なんて日だ!
がっくりしている俺の前に猫が寄ってきた。
ああ、もう癒してくれ。猫を抱きしめる。猫は地球と同じだ。うん、同じ動物がいるなんて。
ジゼルさんが目を大きく開いてこちらを見ている。少し垂れ目なジゼルさんが大きな目になるとまた別の可愛さが、なんて・・・
「ヒデオ、あなた・・・」
「なんですか?」
あ~、魔法使いと猫となんとなくイメージが合うからジゼルさんも抱きしめたいのか。
なんて考えた。
ジゼルさんは頭を落とし、
「上をみて!あなた、呪われてるよ!」
え?
頭を上げてみると髑髏ありスッと消えた。
ジゼルさんが大きく溜息をつく。
「はあ、どこの者かわからないけど猫に呪いを掛けたんだわ。急いで呪いの確認して!」
カードの確認。数値変わらず。HPも様子をみたが減らず。
剣、防具も取り外し出来そうだ。
道具も壊れてな・・・
「あっ!」
「道具が壊れた?その位の呪い?」
「い・・・いえ・・・生友石が・・・」
「どうしたの?」
「パーティーメンバーに【呪ねこちゃん】と書いてあります!」
「・・・何それ!貴重な生友石のメンバーの1人が!もう微妙な嫌がらせ!!」
・・・女神さまー!本当に俺、強運なの~(涙
放っておくと何しでかすかわからない、ということでジゼルさんの家に泊めてもらう。
いやたまたま不幸が続いただけです。本当にダメ弟子で申し訳ない。
猫の呪いの件は「明日からダンジョンに潜る。ダンジョンで猫が死んだら解けるでしょ。まあ猫が死んだら貴方も死ぬなんて呪いがあったら、貴方も運がないとあきらめて。」
とツンツンモード。
ああ、ここまで何だかんだと優しいジゼルさんがツンツンモードとは・・・(涙
ちょっとお詫びせねば。
「ジゼルさん。マーラ飲みます。ちょっと買ってきますよ。」
「あら、気が利くわね。」
おっ、少し優しいジゼルさんにもどった?よし急いで買ってこよう。
ケルベロスでマーラを売ってもらおう。急いで飛び出し、ケルベロスへGo!
・・・
うん慌てすぎてお金忘れた。
日曜夕方6:30のアニメか!
ああ、ごめんなさい。もう一度買いに行ってきます。
部屋に入ろうとすると
「ねこちゃん♡ねこちゃん♡かわいいにゃ~♡」
目の前に猫を抱きしめて転がるジゼルさんが(汗
猫がケルベロスに挟まれ窒息死しそうです。
「ゴメンね、ねこちゃん♡死なせたりしないにゃ~♡」
さらにジゼルさんが転がる。うんジゼルさん。下着が丸見えです。
強運からラッキースケベに変わったか?
「ダンジョン内ではちゃーんと守ってあげるからにゃ~♡」
チュッ♡チュッ♡
「ん?!」
ジゼルさんと目があった。
・・・
真っ赤な顔をしたジゼルさんが俺に背に向けて話す。
「いつからいたの」
「たった今、帰りましたので何も見てません。何か?」
「あ、猫と魔法使いは相性がよく魔力アップの儀式をしようと口移し中だったのだが」
「流石です。ジゼルさん。」
「マーラはもういい!儀式終了なので疲れた。もう寝よう。」
「ジゼルさん、お疲れにゃー。」
「うおーい!見てたでしょ!」
「いえ、見てないにゃー」
「・・・嘘つけー!」