1-3話 異世界にラブホってないの?byホビット
教会を出て、バーに着いた。
「いらっしゃいませ~」
店員の元気な声が響く。昼間?と言っても何時なのかは不明だが席の3分の1位は埋まっている。パタパタと忙しそうにしている店員らしき1人が近づいてくる。
「お二人様ですか?」
うん。やっぱり店員だ。小学生位の子供が応対した。よく見ると店員3人みんな子供だ。
黒髪の女性が
「上の個室、空いてるかな?」
と店員に確認する。店員はチラリと俺を見て笑顔を見せる。
「はーい。2階ごあんな~い。」
1階は大衆酒場ぽく、木製の椅子や机が置いてある。
2階は個室でフッカフカのソファー、机は石材。
俺はソファー直ぐにソファーに腰を落とした疲れが一気に出た。
黒髪の女性はローブをポールハンガーに掛けてこちらにむかいながら注文をする。
「ホビットさん。マーラ2つに2~3点食事をお願い」
ああ、子供と思ったらホビットか・・・
黒髪の女性はゆったり目の服を着ているがネックの部分が大きくV字で開いてて思わず胸元に目がいく。
!!!女神さま~!!!いました!ケルベロスが!!!
隣でホビットも驚いている。
『よし、あの頭2つぶん殴ってこい。』突然、女神の声が聞こえた。
『隣のホビットでもいいぞ、ぶん殴ってこい。出来たら神スキル絶対防御をくれてやる。』
ホビットと2人で『欲しいけど無理ですー!』
『チッ・・・!』
黒髪の女性は俺の対面にドシッと座った。
「名前まだだったね。私はジゼル。」ジゼルはさっと手を出す。
「俺は、ヒデオです。」と握手をする。
ジゼルは世間話を軽くふる
「教会で熱心にお祈りしてたね。どう?ロロ女神から何か神託でも受けた」
ジゼルは少しからかいながらいう。
「はあ、少し話をしました。」
「えっ!うそ!上位の僧侶でもなかなかないんだよ!冗談でしょ?」
「ジゼルさんの事も言ってましたよ。」
「は~い、マーラ2つお持ちしました~」
「えー!何々?」
ジゼルは体を前に身を乗り出す。
!!!女神さま~!!ケルベロスがさらに顔出してきました!!!
隣でホビットもガン見している。
『よし、あの頭2つ次こそぶん殴ってこい。』突然、女神の声が聞こえた。
『隣のホビットでもいいぞ、次こそぶん殴ってこい。出来たら神スキル一撃百撃をくれてやる。』
ホビットと2人で『欲しいけど無理ですー!』
『チッ・・・!』
「で・・・ではごゆっくり~」小さいホビットはさらに小さく前屈みで出ていく。
「ジゼルさん、ケルベロスと・・・」
「はあ?意味わかんない!」
「強き人の意味では?まあそれはともかく白き人とも言ってました。きっと信頼の置ける方だと考えます。」
「ふーん」
別に黒の話はしない。人であればやましい事の一つくらいあるものだ。
俺でもコンクールで他者の失敗を祈ることもあるし。今だってあの胸を・・・ゴホッゴホッ。
ジゼルはマーラを少し口に含む。俺も少し口に含んでみる。あれ?お酒というより果物の味が強い。ジュースみたいだ。気が付かないだけでアルコールがあるかもしれないので飲み過ぎないように注意する。
「俺は知らない事が多すぎます。いろいろ教えてほしいです。ジゼルさんみたいな魔法使いって多いんですか。」
「うーん簡単な自己身体強化の魔法ならまあいるけど、攻撃、他者身体強化、防御などの魔法となると少ないかな?パーティーに魔法使いがいないというのは珍しくないしね。」
「じゃあ回復系の人は・・・」
「ああもっと少ないね。回復系の人は町で治療士をやる方がお金になるし危険な冒険者をやる人は少ないよ。後衛系(魔法使い、僧侶、テイマー、ネクロマンサー等)は前衛(戦士、騎士等)と戦うと負けちゃうから・・・。後衛の扱いが雑になるパーティーもいるからね」
「魔法使いは凄い攻撃しそうだけど」
「ん~後衛系は術を使うにしても印を結ぶ、呪文を唱える、魔法陣を描く、どれかをしなくてはいけないから・・・。そんな事してると、前衛の剣士のスピード攻撃で首が飛んじゃう。如何に自分が後衛職かを隠す事が大切。」
「魔法って俺には無理ですか。」
「それはギルドで調べてもらうといいよ。ちなみに魔法はこの世界の中に魔素が漂ってるの。それを人の体に蓄積してMPというものに変わるの。」
すくっとジゼルが立ち上がる。
「は~い、お食事お持ちしました~」
「おへその方にあるMPを心臓に移動させて心臓でMPをクルクル捏ねるの。」
と言いながらへそを指してた指を体に沿って上げて胸の辺りでクルクルさせる。
!!!女神さま~!!ケルベロスがプニプニしてます!!!
隣でホビットもガン見している。
『よし、あの頭2つ今度こそぶん殴ってこい。』突然、女神の声が聞こえた。
『隣のホビットでもいいぞ、今度こそぶん殴ってこい。出来たら神スキル絶対死言をくれてやる。』
ホビットと2人で『欲しいけど無理ですー!』
『チッ・・・』
「で・・・ではごゆっくり~」小さいホビットはさらに小さく前屈みで出ていく。
「それを強化したい部分に指を持っていったり、手や杖で放出したりかな」
「魔法使いは武器。如何に相手の武器を無力化し、こちら側の武器を発動させるかその命運を握るのが前衛であり、花形になるの。」
「ホビットさ~ん。マーラ追加で2つ」
「はいでーす!!」1階からホビットの声が聞こえる。
「で君は冒険者として興味がある?私は君に興味があるな!」
ジゼルさんが俺の手を握ってくれた。
「は~い、マーラお持ちしました~」
「私は君がほしいな。手取り足取り教えてあげるよ。」
!!!女神さま~!!ホビットです!!!店でエロエロです~!
2人が見つめあっている。
『よし、あの2人ぶん殴ってこい。』突然、女神の声が聞こえた。
『今度こそぶん殴ってこい。出来たら神スキル鞭無恥肉林をくれてやる。』
ホビットが『欲しいけど無理ですー!』
『チッ・・・』
「で・・・ではごゆっくり~」小さいホビットはさらに小さく前屈みで出ていく。
ホビットはバタバタと階段を駆け下りる。
1階にはまったく同じ顔したホビット2人がいる。
ホビットの3人はそれぞれ、ブー、フー、ウーという。
「ハアハア、ケルベロスさん、とんでもないエロい人ですがー!」
2階から降りてきたウーが叫ぶ。
「デフォーさん至急2階に遮音魔法かけてください。お食事無料にしますので!」
客のデフォーが慌てて遮音魔法をかけた。
後にこの3人自伝「2時間部屋貸し居酒屋チェーン店。」で
【あの時ケルベロスさんと出会わなければ個室に遮音魔法の使用を思いつかなかった。運命の出会いだった。あの時の興奮は今でも忘れられない。】
と語る。
「12歳から8年間冒険者をやってる私なら、前衛は専門ではないけど色々教えられると思う。魔法のサポートを受けられるパーティーデビューなんて人は少ないよ。やらせでも剣聖の剣を受け、女神の神託を受けた・・・なんて先を考えると期待しちゃうかも」
衣食住の確保、職の確保、死なない程度に自衛力能力確保、ピアノ探しを考えると確かに人に色々教わるのはベターだと思う。
「ジゼルさん。俺、能力が低いと思います。でも練習だけは(ピアノで)12年も頑張った。根性だけはあると思うんで、よろしくお願いします。」
ジゼルはニッコリして
「まずは、冷めちゃったけどご飯食べましょう。」