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限界の先にある世界(旧名、限界異世界)  作者: 棹中三馬
第一章 転移、そして成長
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002 どうやらここは限界集落みたいな異世界らしい

ここまでお読み下さりありがとうございますヾ(*>∇<*)ノ

限界異世界第二~始め~♪

 周りの女子生徒達が悲鳴をあげた。

 ある生徒が(一応神様らしい)カタクトフの胸ぐらを掴んで吊し上げたのだ!


「ちょっとまてよクソジジイ! いきなり幽霊みたいに出てきやがって、異世界転移とか神様とか意味不明な事をゴタゴタ言われて、俺らがほいほい信じるわけねぇだろ! 元の世界に返しやがれよぉゴラァ!」


「ぐぅ、ぐぁぁぁ!?」



 おいこら、神様に向かっていきなりクソジジイって言っちゃ駄目だろ西原。

 と言うか神様の胸ぐらつかんじゃ絶対不味いって!

 めちゃくちゃ苦しそうな顔色してるじゃんカタクトフさん!?


 彼が本当に俺らを転移させた神様ならば、ここで神様の機嫌を損ねると、チートスキル無しやら、解除できない呪い持ちスキルとか、俺らにとってデメリットにしかならない展開になるぞ?

 まあ西原の言いたい気持ちは十分すぎるくらい分かるけどさ。

 俺だって殴れるもんなら殴りてーよ。


 ……あれ? 全く動かなくなった?

 まさか神様を殺しっちゃったの俺のクラスメイト?

 と言うか西原もめちゃ泣きそうな顔なってるし!?


 ……と思ってた矢先。

 神様は西原の華奢な手をはぐらかしながら、余裕綽々と笑って見せた。

 


「……ふふっ、ちょっとしたジョークじゃよ。神様が小娘に捕まれたくらいで死ぬはずがないじゃろう? ……じゃが、もしも我が神様じゃなかったら一体どうなっていただろうの?」


「ぐっ!? ……俺がムショに入るとこだった」 


「そうじゃのう。これからは年寄りはもっと大事に扱わなきゃいかんぞお嬢ちゃん?」


「ああ分かったから! 俺を小娘とかお嬢ちゃんとか言ってんじゃねーよ!」


「ほほっ。まるで可愛い孫をみているようで愛らしいのう」



 ……あっ、ヤンキー言葉だからつい忘れてしまうけど、そう言えば西原って女だった。

 校則違反でこれまで散々指導に呼ばれてるにも関わらず、今日も懲りずに金髪ロングヘアーの不良女だ。


 だけど顔は可愛いしスタイルもまあまあ良いし、口こそは悪いがぶちキレなければわりと大人しい、根は子猫みたいに優しい性格だから、どうか恐がらないでやって欲しい。


 ぶちギレたら?

 ……外のドラゴンを一人で討伐できるんじゃないかって思わせるくらい喧嘩が強い。

 それが西原千夏(にしはらちか)と言う女だ。



「まあ我もこの世界を先代から譲り受けてから、なんだかんだ5万年もたっておるから、若いもんに老いぼれ扱いされるのは、仕方がないがのう……」



 最低でも5万歳以上は生きているらしいぞこの神様。

 地球ではクロマニョン人が生活していた頃じゃないか。

 時間軸の次元が違いすぎるだろ。 



「……ちっ、言いたい事があるならさっさと言えよ」


「では話を戻すぞ。我がお前達をこの異世界へ呼び出したのは他でもない。お前達にこの世界を救ってほしいのじゃ」



 こほんと咳払いをしてカタクトフが語り出そうとしたその時……

 例の馬鹿こと佐藤が邪魔をしてきた。



「はいはい! それってさー、オレ達にチートステータスや最強装備とかをあげっから、ぱっぱと悪事を働いてる魔王を倒して欲しいって事だろー♪ 勿論オレは大歓迎だぜーー♪」


「馬鹿者ぉぉぉ! チート無双など甘ったれた事を考えとるから、今時の若いもんは揃いも揃ってふぬけとんじゃぁぁ!」


 ビシャーーン‼


「ぐはぁぁぁ!?」



 神様が佐藤の頭に向かって雷を落としてきた。

 いや説教とかじゃなくてガチのやつ。

 即死しないように一応加減はしてくれてるみたいだが、床に蹲ってビリビリ痙攣している親友を見ると少し情けなくなるぜ。



「……あ、すまない。真面目な話をしているのに、こやつが戯けた事をほざいたからつい」


「まああれは、完全に佐藤がバカなだけですから。おきになさらず」


「そうか。じゃあ話を戻すぞ。お前達にはこの異世界メイプルを救ってほしいのじゃ。……当然お前達にチートを与える気もなければ、魔王を倒せなんて無謀な事も頼む気は更々ない。と言うか普通にのんびりスローライフでもして貰えればそれでいいわい」


「ああん? 魔王を倒さなくていいなら、どうして俺達を呼んだんだよクソジジイ?」



 西原は懲りずにクソジジイと呼ぶが、神様は彼女を咎める事は無かった。

 神様は一瞬苦虫を噛み潰した様な顔を浮かべたが、ようやく重い口を開いた。



「……人類の半分が55歳以上の将来が危ぶまれる……この限界異世界を……お前達若き世代に救ってほしい。この異世界の民達は若者が極端に少なくて、次世代を担う子供もろくに生まれやしない。この世界は100年後……いや、もう50年もすれば全人類が高齢者になって……いずれは全人類が消滅してしまう定めなのじゃ」



 ……はっ? いきなり話が重すぎるんだけど。

 まるで限界集落みたいな異世界じゃないか。



「もしそうなってはこの世界の存続が困難になり、世界ごと一度消してしまってまた新たに世界を作るしかなくなる。わしが3万年くらい昼寝をしている間に世界の均衡が徐々に崩れていって、ついには限界異世界にまでなってしまったのじゃ。それを知った上位神様がカンカンでのう……」



 ……はぁっ? 3万年昼寝って、馬鹿なのこの神様?

 つーか神様人生の二分の一以上を昼寝に費やして、ずっと神様の仕事をサボってたのかよ!?

 そりゃ上位神が怒って当然だろ!

 つか今すぐ神様クビになりやがれ!



「もしそうなれば上位神様の怒りを買って、消滅異世界に指定されてしまう。管理していた我は責任を取らされて、我もろともこの世界ごと消されてしまうのじゃ。どうか異世界を……そして我を救ってくれないか?」



 恐らく俺だけではなくこの教室にいる全ての人達がこう思っただろう。

 …………知るかぁ‼ なんで俺らがあんたの尻拭いしなきゃいけないんだこのクソジジイ‼



「……あっ、そうそう。仮に消滅異世界の登録が決まったら、我と一緒にこの異世界にいるお前達も消滅してしまうからな? じゃあ神託は済んだから我は再び天界にて昼寝をするとしのうかの……ふぁぁ~……」



 3万年も寝てた癖にまだ寝る気なのかよこの駄目ジジイ!?

 ……と言うか、色々ヤバくね俺達?

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