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2.


扇風機からなまぬるい風が流れてきて、余計に暑さを増長させている気がしてならない。


近くの図書館にいって、クーラーの効いている部屋でレポートを仕上げるといってもなんだか行くのが面倒で結局自分の家にいた。


タオルを頭に巻いて「そうだった!」と、


冷凍庫から、キンキンに冷やしておいた冷えピタを取り出しおでこに貼った。


幾分涼しくなった気はしたがすぐにそんな感覚は消えてしまった。


本当に暑い日が続いて困ってしまう。


バイトは今週休みをもらっているし、とはいっても真面目にレポートを仕上げる気にもなれない。


暇だ。


「あ〜あっ」と深いため息まじりにそのまま仰向けになって寝ころんだ。


網戸越しに、蝉の合唱が繰り広げらている。


「夏か・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・。」


あれから2ヶ月が過ぎた。


携帯のカーソルを明菜の番号に合わせる。


早瀬明菜。090−××××−〇○○○。


文字を何度も目でなぞりながら、また深いため息をついた。


はっきりいってなにも考えることはできない。


かなりの衝撃を受けたのはいうまでもない。


何が衝撃かって・・・・・・・・。


悪い意味とは決していってない。


2週間前、手島舞を、いや早瀬明菜を抱いた。


つまり・・・・・・、結ばれた?といっておこうか。


暗がりの中だったが、月の光がかすかにカーテン越しに光をこばし、明菜の裸体をうっすらと照らしだしていた。


思ったよりも胸の膨らみが大きく、彼女のそれに軽く触れたとき、ぴくっと彼女は後ろに引くしぐさをとった。


肌も透き通るようにきれいで、子供の頃の擦り傷をいっぱいつくって僕と一緒に遊びまわっていた頃など想像すらつかないほど、明菜はきれいだった。


終始無言のまま、明菜は僕のリードに従いつつ、甘い吐息だけが僕の耳もとでこぼれおちていた。


一つになることでお互いの時間の空白を一気に埋めていけるような気がした。


よく時間がこのまま止めればいいのにというくさいセリフがあるが、そのときは本気でそう思った。


「このまま時間が止まってしまえばいいのにと・・・・・。」


・・・・今思えば、もしあの時明菜と再会することがなければ、どんなにお互いにとって幸せだったことだろうか。


お互いに思い出のまま、大切な存在のままの方がむしろよかったかもしれない・・・・。


今更、何をいってもしょうがないのは知っているはずだが、後悔の念しかない・・・・。


彼女とその日の晩別れてから、明菜からは2週間過ぎても電話もメールも何も連絡がなかった。



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