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僕と彼女と眠る人々Ⅱ

「誰にも会っていない?白衣を着たやつらとか」

小声の彼女は小日向まひると名乗るとすぐに尋ねてきた。

「誰にも会っていないよ。ここまで二人で来たんだけど、もう一人女の子がいる。僕は東島航大。彼は…」

「正体も知れねえ奴に名乗る義理なんざねェよ」

容器の中から不穏な空気を感じる。

「さっきから失礼な物言い過ぎない?ボクムカついたんだけど!」

「てめェがムカつこうと知ったこっちゃねェ。行こうぜ」

「はぁっ!?何なのキミ!!」

「お前がなんだ。航大、こいつの相手するなら俺は先に行くぜェ」

「ちょ、ちょっと待ってよ藍澤くん。一人で行動するのは危ないよ!僕たち何も通信手段持ってないんだし…」

「む…そりゃそうだが…」

一気に剣幕の怖くなった彼は怒ると手が付けられなくなる。弟くんもいるし、早めに何とか穏便に聞き出さないと…と僕は必死に少ない情報を得る手段を考える。小柄な彼女、小日向まひるは小さな口を尖らせながらぽつりと呟いた。

「二人、友だち?」

「あ?ちげェよ、恩人だ」

すごい嫌そうな顔なのに即座に反応するのは僕なんかに恩を感じているから?不思議な感覚とますます申し訳なくなさでたまらなくなる。。

「ひとまずここはこの子から情報を得ないと、僕がここまで走ってこられたのは希世に付いていって君と会えたからだ。ここがどんな施設なのか、怖いけど興味出てきたし。僕が話聞くから…いいかな?」

まひるに聞こえない声量で伝えると、藍澤はしぶしぶ頷いた。

「小日向…まひるさん?少し話を聞かせてもらっていいかな?」

「うん。そっちのデカブツは嫌だけどキミにならいいよ。」

「はは、ありがとう。」

愛想笑い選手権なら負けない自信がある。いったい何の役に立つんだ、そんな競技。

「さっき白衣を着たやつらって言ってたけど、ここにはそんな人が多くいたの?」

「いや?ボクをここへ連れてきたのがその白衣着たやつらで、確か…三人?この変な容器に入れられてるのが分かったのは…さっき。時計、身に着けていたハズなのに無くなっているし。あれお気に入りのだったのにさー」

「そのあともう少しか…って言ってたのは何のこと?」

「ボクをこの部屋に連れてきた奴らがボソボソ言ってた。あと一人だって…キミたち二人、たぶんそこの容器に入れられるんじゃないかって思っただけ」

「こ、こひ…小日向さんて言いにくいからまひるさんでいい?」

「ボクそういう細かいこと気にしないから!好きに呼ぶといいよ」

「うん、わかった。」

藍澤の弟くん、藍澤くんと僕で三人だ。容器は確かに弟くんが入ってるのを数えると三つ。ここで何をしようと言うんだろう?見当がつかない。

「僕たちは地上からここへ来たんだ。ここの設備に詳しい希世に連れられて。君もそうだった?」

「すごい地震があったんだよ。突き上げるような激しいやつ。あんなに大きい地震久しぶりだったからニュース見ようとしてタブレット手にしたら地面が崩れて地下に…」

「地震??」

ふと違和感を感じた。僕はその地震が起きたことを知らない。

「おいィ、大丈夫か?」

考え込んでしまって、藍澤くんに顔を覗き込まれてビクリと体が震えた。

「どうかしたの?」

まひるさんにも話を止めさせてしまっていた。

「ううん、なんでもない。ごめんね話の途中で、」

「平気!…すごい汗かいているけど本当に大丈夫?」

僕はその違和感に少しずつ浸食されていく。振り払うように頭を少し横に振りながらまひるさんの話を促した。









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