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澄み渡る空に僕と彼女が目指すものー邂逅篇ー  作者: 小鳥遊箕生


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彼女と僕とオムライス

「お待たせしました~オムライスとメロンソーダです」

「悪いな、先に頼んじまってよォ」

「構わないわ、藍澤君。優太君も気にしないで食べてね」

名字が同じなのに希世は使い分けが慣れている。呼ばれる側もしかりだ。

「それで希世ちんはボクに何か聞きたいことがあるって?」

料理を運んできつつ、周りも見ながらの小声での問いかけだった。

「私の父に呼ばれたのっていつ頃ですか?」

「…確か、オープンキャンパスで使う説明会で資料まとめにOGとして協力してほしいって言われた時かな」

「優太くんが呼ばれたのと同じ時期だ」

東島が思わず口に出した言葉に希世は一度頷いた。

「その時何て言われて呼ばれたか覚えていますか?」

「希世ちんが研究している災害に関する臨床試験に参加してみないか、って。」


 希世の父、齋田十四郎が行っている研究”災害時における対処法”の一部を引き継いだ形で、希世が”災害時における人類の生存率を上げる研究”は他の大学でも行われている。しかし実質その中でも先駆者と言ってもいいほど希世は齋田の娘として知名度が高い。専門外の人にとってはこれから起こる災害に対して後手の改善策しか挙げられないよりは幾分か、少しでも貢献しうる可能性に期待値が高いのだ。

親の七光り、と言われていてもなお、この研究に力を入れる理由は、いわずもがな希世の母が自然災害で犠牲になってしまったのがきっかけだった。

「やはり父さんからの声掛けがきっかけだった…試験とはいえ中で危ない目に遭わせてしまって、」

「いやいや!ボクから参加したいって言ったんだし!まあ怖く無かった訳じゃないけど…改めて勉強になったし。あ、ごめんちょっと呼ばれたから行ってくるね!ごゆっくり~」

まひるはハツラツと店内をくるりと見渡しながらバックヤードへ戻っていった。

すると入れ替わりに料理配膳ロボットが希世たちのテーブルへやってきた。

【お待たせいたしました、料理をお取りください】

ほかほかの湯気を立てながら黄色くてふわふわな卵が乗った親子丼と、藍澤兄弟が注文した同じオムライス。四人とも奇しくも卵料理だらけのテーブルとなった。

料理を届ける任務を終えたロボットは戻るボタンを押すと、再びバックヤードへ戻っていった。


「めちゃくちゃウマいぞォこのオムライス」

「ふふ。ここのファミレス、卵料理がオススメなの。気に入ってもらえたようで安心したわ」

和風だしの薫る三つ葉が乗った親子丼は照りのある鶏肉がごろっと卵と共に白米の上に鎮座していた。食べられる瞬間を今か今かと待ちわびているような不思議な光景だ。希世はふうふうと少し冷ましながら口へ運んでいく。

「研究が続くとまともにご飯食べられていないんじゃないですか?」

オムライスを少しずつ切り崩しながら、東島は希世に問いかけた。

「グルメな訳ではないから、口に入れば何でもよくなるかもしれないわね。時間が惜しい」

「医療系や科学系の奴らがゼリー飲料買い込んでるのよく見るぜェ、大学のコンビニでな」

「兄さんも人のこと言えないんじゃない」

「んなことねェだろちゃんと握り飯にしてる」

「炭水化物ばかりじゃ偏るって話をしているんだよ、伯父さんも気にしていたよ」

「伯父さんは男飯しか作ってねえからなァ同じもんだろ」

「それは言えてる」

和やかな食事でお腹を満たすと、忙しい講義と各々の時間を割いて改めて希世、東島、そして藍澤兄弟の4人で齋田十四郎へ話を聞きにアポイントを取ることに成功した。


「じゃあ行くわよ」

希世の号令と共に、災害時における臨床試験結果がもたらす詳細について、齋田十四郎から聞いた話を参考にした”仮想空間内のシミュレーション推敲”が行われることになった。














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