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異世界転生ってやつらしい。

頭空っぽにして見れる作品も書きたいと思ったので、やってみた。

おいおい、そんな装備で大丈夫か?だって?

大丈夫だ。チートもりもり設定だから問題ない。

穏やかな風が吹く中、私は目を覚ます。

「ここ、どこ?」

見渡す限りの草原のど真ん中。さっきまで、えっと・・何してたんだっけ?

茂上美春もがみみはるさん、あなたは元の世界で死んでしまったので、こちらの世界で頑張ってください』

不意にそんな自動音声が聞こえた。

「わっ、え?なに?」

死んだって・・。あぁ、そうか。私、小さい子が車に轢かれそうになってるところに飛び出してって、それで・・・

『転生者の特典として、この世界で使えるスキルが10個手に入るガチャが引けますよ』

えー。それってありなの?なんかこうもうちょっと手厚く構ってくれても

『実際そんな暇ではないので。あなたの場合品行方正だった点も加味して、SR(スーパーレア)確定枠をつけときますね』

品行方正ってか、特に意識してなかったんだけど。まぁいいか。

『では、ガチャを引いたらそのまま冒険に旅立てるので。あぁあと「ステータス」と念じれば基本情報は確認できますよ。では御武運を』

天の声は手短に説明を終えると、プツッという音を最後に聞こえなくなった。

「というか何よ、ガチャって」

目の前に現れたウィンドウには、「ようこそ異世界へ!SR1枠確定版限定ガチャをどうぞ!!」とか書かれてた。

これでも生前は勉強の間にいろんなゲームをやりこんだ女子高生ゲーマーとして、有名ではなかったけどね。自称だし。

まぁいいや。とりあえずガチャろ。

私は画面に現れた「はい」というボタンを押して、10秒ほど待った。

『・・・ピコピコーン!ピコピコーン!ピコピコーン!ピコピコーン!激レア当選です!!!』

けたたましい音と同時に、『激レア!!』と画面に表示され、私は少しうんざりした。

「ガチャ回してこんな音出るなんて、どんだけ大げさなのよ」

とりあえず詳細を見てみると、あれ?全部虹枠??これ出たら全部虹色になるとか、そういう仕様なの?

『うぇえええええええ!?』

天の声の人も驚いてるみたいだし、なんか違うみたい。

『ちょ、ちょっとあなた!それはさすがにダメだからもっかい引き直し』

ここで引き直せと?厳選作業していいの?それなら・・・

「だが断る」

めんどくさいことになりそうなので、私はさっさとウィンドウを閉じて、異世界に旅立つことにした。

『そんなの持ってっちゃダメぇ~!!』

天の声の人の絶叫が聞こえた気が、まぁ気のせいかな?


「ここが・・・」

私は改めて、異世界に立った。

都会暮らしの私には味わったことがないような、澄んだ空気。むせ返るような緑の匂い。

「いいとこじゃん」

一目でこの景色、この世界が気に入った。

さて、まずはどうすればいいのかな・・・。とりあえずステータスは確認しないと、と思い、頭の中で「ステータス」と念じてみる。

すると目の前にウィンドウが展開され、そこにいろんな情報が書いてあった。


名前:みはる 性別:女 年齢:15 村娘Lv1


まあここまではいいや。で、肝心のスキルはっと。


真理眼:自分の既知の場所や人限定で現在の状況、及び近い過去や未来が見える。

色欲【大罪】:魅了無効、スキル使用で相手を無条件に魅了できる。

空間跳躍:自分の既知の場所なら一瞬で行ける。

剣聖:HP、力、素早さに補正(極大)。剣技使用可能。

大魔導師:MP、知性、運に補正(極大)。魔術使用可能。

光学操作:光を操る。

模倣:見たスキルを習得できる。

EXPブーストマキシマム:取得経験値が50倍になる。

創造:新たな術技、スキルを創り出せる。

さとり:周囲の人の思念を読むことができる。


うわあ。すごく、チートです。

これって「わが辞書に自重の二文字は無い」って言いきっちゃっていいぱてぃーんだよね?

そりゃ天の声の人も焦るわな。納得。

さて、実はさっきからノイズ交じりに声が聞こえるんだけど、これもスキルの効果なのかな?

とりあえず集中して声を聴いてみる。

(・・たすけ、て・・)

次の瞬間、私は駆け出していた。


平原を駆けながら思う。そう言えば昔から友達には「いつも先走りすぎ」って窘められてたっけ。

勢いだけで突っ走って、失敗したことも何度もあったっけ。

でも、誰かのためになるのなら、それで構わない。誰かを護れるなら、それでいいと私は思う。

っと、遠くに人だかりができてる。声はその中心から聞こえるみたいだった。

なんでもいいから早く助けなきゃ。でもこの距離だとどうすれば・・・?

ふと、さっき見たスキルのことを思い出す。『魔術系スキル』って使えるんじゃ?

「なんでもいいから、吹っ飛べぇー!!」

頭の中で「まほう!!」と念じながら叫んだら、なんか火の玉が出てきた。それは人だかりの目の前で爆発し、相手は酷く混乱したようだ。

「あんた達、弱い者いじめは私が許さないよっ!」

小さくうずくまってる子を庇うように、私はそう言い放った。

「くっ、今の、お前がやったのか?部外者が邪魔するなぁ!!」

相手は盗賊風の男三人組。そのリーダーっぽい男が啖呵を切った。

「そいつは魔族の子、忌み嫌われるだけの異端者なんぞどうしようが俺らの勝手だろうが!」

復活した二人目もそんなことを言い出した。

魔族とかそういうのはよくわかんないけど、後ろの子が怯えて震えてるのは事実だから。私は私の判断に従う!

足元に転がってた木の棒を拾って構えようとしたところで、三人組の心の声が聞こえてきた。

(うへぇ。なんだよ今の威力。下手すりゃ一撃死だったぜ)

(お、あの嬢ちゃんよく見ればそこそこ上玉じゃねえか。ちょっくら虐めてやるか)

(お、おんな!おっぱい!かわいい女の子!!あ、あの子俺の嫁にするぞぉ!)

ぞわわわ、と鳥肌が立った。

最初に復活した男の言い分はまだわかる。後の二人は・・・

「誰が嫁にしてやるって?誰が虐めてやるって・・・!?」

言葉だけでなく、イメージまで伝わってくる。無駄に高性能ね、このスキル!?

「キモイ妄想すんな!ドチビ!!」

「どど、ドチビぃ~!?」

三人の中で一番小さい、私を嫁にするとか妄想してた男が反応した。

その瞬間、私は全神経を一転に集中させる。

「全てを切り裂く!無影、一閃!!」

critical!1200、critical!4560、という数字が三人分それぞれに小さく表示され、三人同時に呻き声を上げつつその場に崩れ落ちた。

一瞬にして広範囲を切り裂く剣技、だったらしい。

初期レベでそこまでダメージを叩き出せるのはどうかとも思う。

後から知ったけど、魅了の効果で被ダメ増加効果が出てたり、この時ブチギレてたせいで攻撃力増し増しだったり、そもそも使った技が高威力高性能の厨性能だったりしたお陰らしい。

ぽぽぽぽぽーん!

間の抜けた効果音が鳴り、私はようやく正気に戻った。

え、レベル上がりすぎじゃね?こいつらっていくつだったのよ?

真理眼発動ッ!・・・全員Lv15前後?そんなつおい奴らに勝ったの、私?

「あ、あの・・・」

後ろにいた子がおずおずと声を絞り出す。そうだ。元はこの子を護るために戦ったんだっけ。

「もう大丈夫よ」

私はそう微笑むと、その子の頭を優しく撫でた。

するとその子は私にぎゅっと抱き着き、声を上げて泣き出した。

(あり、がとう)

胸の中で泣き続けるその子から、そんな声が聞こえた気がした。




私はまだ知らなかった。この世界の仕組みを。この世界のことを。

それがいずれ自分の命運を左右するということも。


・・・というのは全く気にせずにのんびり気ままに生きていくことを。

まあそもそも意に介さないんだから知る必要もないんだけどね。

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