プロローグ
あれ、ここはどこだ、僕は確か自室で寝ていたはずだ。
周りを見渡すが見たことがない景色で屋内ですらない。
ところどころに大きな木が見えるが、少なくとも王城の庭でもない。
そこら中にキラキラした物が舞っていてすごくきれいな場所だ。
キラキラ光っている物に触れようとするが擦り抜けてしまう。
「なんだろうこれ、さわれないぞ」と呟いたところで辺りから虫の声ひとつしないことに気が付く。
あまりに静かすぎる為、少し不安になり、「じいや、じいやでてきてー」
と大声で叫んで見たが爺やはおろか誰も出てくる気配もない。
「ちちうえ、ははうえ、あにうえー!」さらに大声で叫ぶが返事はない。
自分だけ取り残されたような不安な気持になり、ちょっと泣きそうになってきた。
不安を掻き消す為「だれか、だれか、だれでもいいからいませんか!」
と叫びながら走りだす。
「あの……」大きな木の陰から同じ年くらいの女の子がおずおずと出てきた。
「あぁ! よかったひとがいた!」
「わたしもきがついたらここにいて」
「ぼくもなんだ! ここはいったいどこなんだろう」
うわぁ! すごいかわいい子だ。僕は彼女に見とれてしまった。
「わからないけどひとがいてよかった」
と彼女はホッとした表情を見せるとニコッと笑った。
彼女の笑顔を見ているとさっきまでの不安は消し飛んだ。
「あっちにおおきなおうちがあるからいってみよう? だれかいるかも」
僕も気になっていた大きな家の方を指さしながら彼女が言った。
「いいよ。じゃあはなれないようにてをつないでいこう」
「うん」
僕は彼女の手を引いて大きな家の方へと駆け出して行った。