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世界初の堕落した魔王になってやる  作者: チョビ髭
ベル王国反乱編
6/62

絶望とその中で

国の数を10国から5国に変更しました。

 ものすごい音で俺たちは飛び起きた。

 するとすぐ、部屋に執事とメイドがノックもなく入ってくる。


 「ひ、姫様、大量のモンスターから襲撃を受けております。すぐに避難を」


 かなり急いで来たのだろう。肩で息をしながら焦ったように執事が言った。


 入ってきた執事から状況の説明を素早く受けた。しかしエヴァはその場で考え込み俺に顔を向けて、そして何かを言いたそうな顔をしてきた。エヴァが言いたいことは何となく分かった。


 「エヴァ、俺が町まで行き住民の避難、モンスターの足止めをしてくるよ」


 そう言うとエヴァは申し訳なさそうな顔を、しかし決意した目を向けてうなずいた。

 

 そうすると、エヴァは何かを決心したのか執事に「ここに残る」と言い部屋のベランダで見守ることにしたみたいだ。執事、メイドも驚き止めようとしたのだが、エヴァは一度決めると決してその場から動こうとしないのだ。

 (まぁエヴァだもんな)エヴァとは1日、いや数時間と言ったほうが正確か、そんな短い時間しかまだ経っていないのだがエヴァの性格については大体把握できている。10年、弁当屋で接客していれば来た客を数回の会話で客の性格、今何が食べたいのか把握し商品を勧める。それが数時間の会話をしたのだ、エヴァの性格など把握する事など容易い。

 俺はそんなことを考え町に向かおうとすると、エヴァが小声で、

 「無茶だけはしないで」

 

 一言でいうと意外だった。何事も自分の意志で動かし折れない性格だと、優しさ、いや心配などすることはない女性だと思っていた。なので少し嬉しくなり、「行ってくる」と俺も小声でエヴァに語りかけ町に降りた。


 町まではエヴァの部屋のベランダからスキルの”飛行”ですぐさま向かった。空から見る町は悲惨な状況になっていて、そこでかなり驚く光景を見たのだ。

 なんとモンスターの群れの中に木で作られた巨大な岩を投擲する兵器のような物が複数確認できた。「あれってモンスターが作ったのか?」そんなことを呟きながら町に降りた。


 町に降りてみたが、本当に悲惨な光景だった。むしろ道端に人が死んでいる姿など生まれてこの方見たこともなかったから当然かもしれないが、とても耐えられる光景ではなかった。

 俺は唖然としながら周りを見渡すと、かすかに動く影が見えそちらに行く。瓦礫に挟まれ動けない人を見つけすぐさま駆け寄り瓦礫を除けた。どうにかこの人はそこまで重傷を負ってなく、とりあえず安全な場所まで避難させた。


 それからも瓦礫に挟まれている人、怪我をして動けない人を助け避難させながら町の端まで移動した。

 そこである光景を目にした。


 小さな女の子が走っている、その後ろには見たこともない人型のモンスターが複数追いかけていた。すぐさま助けようと女の子のそばに駆け寄ろうとした、少女も俺に気づき手を伸ばしてきた。

 俺もその手を取ろうと駆け寄り名がら右手を伸ばすが・・・・・・


ドーーーーーン


 目の前に岩が落ちてきて、岩の下からはおびただしい血が流れている、女の子の血だ。

 伸ばした右手が行き場を失う。


 頭の中が真っ白に、なぜこうなった・・・なぜ助けられなかった・・・なぜ・・・・

 そして、目の前の人型のモンスターに目が行き、なぜこいつらは笑っている・・・・・・・

 なぜ・・・・・・・


 頭の中が真っ黒に染まり、感じたことのない怒りに心が埋め尽くされ、心臓の鼓動が早くなり、体の奥からブクブクと血が沸騰していく感じにとらわれていく。


 双竜の魔剣、漆黒と純白の二本の刀を手元に出すと同時にニヤケている人型のモンスターに瞬時に近づき切り殺していく、ものの10秒もかからづにその場にいたモンスターを皆殺しにした。


 ふと顔を横に向けると服屋のショーウインドーのガラスに俺の姿が映る。髪が長髪に目は金色に変化していた。まるで悪魔のような姿だったが、そんな事今は気にも留めずスキルの”飛行”を使い空に飛んだ。


 空から町を眺めモンスターの位置を確認しモンスターを駆逐していく、それもかなりのスピードでだった。15分、20分、漆黒の刀と純白の刀が町にいるほぼすべてのモンスターの命を刈り取っていく、まるで死神が命を刈るような。


 町の中のモンスターはほぼ殺しつくし、外のモンスターを空の上から見下ろした。

 町の外にはまだモンスターの軍勢が500以上はおりその他に岩を投擲くる大きな兵器もある。するとその大きな兵器から岩が投擲され飛んでくる。

 俺は、右手を前に出し体の中の魔力を感じ取り、そして形にする「砕けろ、”ヘル・フレア”」そう口にすると、掌から赤黒い炎が出現し巨大な岩に向かって飛んで行った。

 赤黒い炎が飛んでくる岩に当ると、岩は粉々に砕け跡形もなく散っていく。


 そのまま今度は右手を外のモンスターに向け「地獄の炎に焼かれろ”サタン・フレア」。青い炎が外のモンスターを焼きつくし、その後は跡形もなく焼け焦げた大地が広がった。

 ちなみに俺が魔法を出す時、魔法の名前の前に言葉を入れるのは、言葉に出し想像しないと魔法が具現化しないからだった。ようは想像力が乏しいということ。

 言葉を出し、その言葉を創造し名前を叫ぶ、そうしてようやく魔法が具現化する。現実世界の人が見れば中二病の痛い奴に見えるだろう。


 俺は焼け焦げた大地を見渡してから地上に降り周りを確認して、ガラスに映る変化した自分の姿に目を向けた。

 髪は黒の長髪に、目は金色、手の爪はすべてを引き裂けるような鋭く尖り、見るからに魔族、魔王のような姿。そのまま自分を”鑑定”してみると。


 バッカス・ローレン(大塚博文)

種族・真なる魔王種

装備・双竜の魔剣


ステータス

 レベル25

 HP(体力) ・60000

 MP(魔力) ・60000

 筋力(攻撃力)・62500

 耐性(防御力)・62500

 速さ(スピード)・80000

 特殊スキル

従者作成(5人限定)、宝物庫、飛行、限定解除、次元移動、クリエイト、鑑定


 種族が真なる魔王種に、ステータスは倍以上になっていた。かなり驚いた、もうチートなどと呼べる次元を超えている気がする、しかもご丁寧に名前が”バッカス・ローレン”に変わって、レベルも5上がっていた。


 しばらくすると、心も落ち着き、体の中の血の沸騰する感覚も無くなっていった。それと同時に変化した体も元に戻り、本来の姿になった。


 エヴァの元まで”飛行”を使い戻ると、そこにはエヴァ以外に執事、メイドもいたが俺は気にせずにエヴァの元まで行く。エヴァは、安心、いや嬉しそうな笑顔を見せ俺を抱きしめ「おかえりなさい」と呟いた。俺もそれに答えるように笑みをこぼし「ただいま」と返しエヴァを抱きしめた。

 

 初めて味わう人の死、目の前で殺される少女、精神的にかなりきつい、体が変化したせいかもしれないが、体もかなり辛い。

 エヴァに少し休ませてほしいと伝え、執事、メイドを退室させ、俺はそのまま服を脱ぎベッドで横になると、すぐに意識が無くなり眠りについた。

 

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