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思わぬ強敵

 休憩もそこそこに出発することにした。さっきのやつらが仲間を連れてきたら厄介なことになるし、明るい内に依頼を終わらせてしまいたい

 待ち伏せがないかと少し慎重に歩みを進めた為時間がかかったが、一度も襲われることなく廃鉱山に到着した。山といっても木々は全く生えておらず、丘のようになだらかな土くれの塊に草が疎らに生えているようなものだ。見た目では分かりにくいがちょっとした町並みの広さの坑道が張り巡らされているらしい。大人二人が通れる程の無数の坑が開いているが…全部調べていたら何ヵ月かかることやら

 まぁコボルト達が出入りしている痕跡を探すのが近道だろう。足跡なり、なんかしらの生物が使っている痕跡はあるはずだ。まだ日は高い、帰りを考えたら夕方までには成果をあげないと


「一つずつ中に入って調べよう。なにか見つけたり気がついたら直ぐに教えなさい」 


「はーいっ」


 片っ端から日の明かりが入る範囲で調査を始めた。もちろん痕跡など直ぐには見つからない。乾いた坑道には風化しかけている看板や手すりがあり、落盤で塞がってしまっているものもあった。知恵のある奴なら入り口を隠したりしているかもしれないが…もう幾つ確認したか数えるのが面倒くさくなってきた頃、とある坑道に今までとは違う変化が見てとれた。不自然なまでの湿気、いや坑道の壁全体を覆うに湿り気がある。そして血と獣の混ざったような生臭い臭い…ここが住み処か?


「…くさぁい…」


「酷い臭いだな…」


 この中を進むのか…入り口付近はまだマシだったのだが空気の澱んだ内部ほど臭いは酷いものになる。当然真っ暗闇なのだが灯りはおれがなんとか出来る。ほぼ一方通行なので突然襲われることもなさそうだが…あまり長くいると精神衛生上よろしくない

 しばらく進んだのだが結局悩んだ末戻ることに。この坑道から離れた位置に待ち伏せて確認するだけにしようということにした。奥に逃げられたりしたら暗闇はともかく臭い対策をしないと探索するのも大変だ。入ってきた時とは逆にクーを前に…後ろからはなにがくるかわからないからな


「ひゃんっ!?」 


「どうした!?」


「なにか…くびに…っ」


 首?そっとクーの首をなぜるとぬるっとした液体のようなものが手のひらについた。なんだこれ…

 はっと天井に灯りを向ける。相変わらず湿って光る天井…てらてらとまるで何かの食道のような…いや!天井が僅かに蠢いている!

 そう思った瞬間、ボチャッボチャッ!と粘液の塊がすぐ傍に落ちてくる


「逃げろっ!走れ!」


 それは茶色く濁った粘泥、スライムと呼ばれる不定形の魔物だ

 スライムは弱い。それは間違った認識だ。音もなく忍び寄り、自在に形を変える体で逃げ道を塞ぎ、鎧の防御の通じない消化液で獲物を溶かして仕留めてしまう。物理的な攻撃はその体が受け流してしまい、通用しない。この坑道はコボルトの住み処なんかじゃない!まるごとこいつらの巣…罠だったんだっ!

 

「とーさま!みちが…」


 外の明かりが見えるがそれは半透明の濁ったゼリー質の物体に阻まれている。すかさずシルバリオンに魔力を籠めて切りつけるのだが、切ってもジュッと燃え上がることなく塞がってしまう。嘘だろ?通用しない…っ

 奥からはブニュブニュと不気味な音をさせ、大きくなりながら迫るスライム。完全に挟まれてしまった

 …どうする…!?剣も炎も通じない相手に…炎?クーを見て思い出す


「…クー!火球だ!あの爆発力なら出られるかもしれない!」 


 あの火球の威力なら全力でやればこいつらくらい吹き飛ばせるはずだ。後ろから迫るスライムが触手のように伸ばしてくるのを切り飛ばし、少しでも時間を稼ぐ。クーが目を閉じて魔力を集中し、溜め込み始める。あまり長くは持ちそうにない…頼むぞ…!


こんな書き方してますが私はスライム娘もすきです

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