決意
ちょっとストックができたので早めに投稿します。2話連続です
『わたしの卵…子供の親になっていただきたいのです』
…ほぅパパになれと。おやじ、おふくろ孫ができるぞ…竜だけど
まだ出会って10分もたってないのに展開早くないですか?
「すまん…話が見えないんだが」
『…すみません。急とはいえ、あまりに説明不足でしたね。ですがこれはおそらくあなたにしか頼めないことなのです』
そうだね。詳しく説明を求む
『実は竜であるわたしとここまで意志疎通できたヒュームはあなたが初めてなのですよ…普通ヒュームは敬ったり祈ったりはしてくれますが、意志疎通出来ているわけではないのです』
普通に竜と人の交流あるのか、すげぇな。ていうかいきなりなにか偉業を達成してしまっていたようだ
「意志疎通できたことが親になる条件?だったと?」
『意志疎通ができるとは互いの魂の質が同じ、もしくは近いということ…あなたは見た目はヒュームでありながら魂の質が竜であるわたしに非常によく似ています…むしろヒュームと竜、両方の性質を持ちどちらにも近い…実に不思議な魂をお持ちです』
竜に不思議と言われちまったよ
『わたしの子供も当然竜…意志疎通出来なければ親子として成り立ちません』
そうかペットなら簡単な気分とかわかればなんとかなるかもだが、親子になるなら言葉通じなきゃ色々不安だよな
『ですのであなたにしか頼めないのです…それにあなたはこの国のヒュームと違う…どこか遠い国から連れてこられたのかもしれません…』
異世界、という単語が浮かんだ
「いまだに信じられないところはあるのですがそうだと思います…そもそも竜が存在してたり竜と交流があったりする国なんて聞いたことがないんです」
『やはり…あまり時間はないのですが少なくとも今この国で起きていることは教えておかなければいけませんね…』
待て、なんか色々決定されているようだが流されるだけにもいくまい
「そんな別の世界からきたかもしれない、こう言っちゃなんだが怪しいやつに言葉が通じるだけで大事な子供を預けていいのか?」
竜はそこで初めて眼を優しく細めた
『もちろんあなたの魂が都合のよいことも理由の一つ。ですがそれ以上に…あなたは不器用ながらも正直な心の持ち主のようです。子供を預けるに足る器を持つ、と判断しました』
「あ、ありがとう…」
不器用はともかく人間性を褒められたのは初めてだ。照れる
『この国の行く先はわたしの子供にかかっているとも言えるのです…無責任かもしれないのですが、この世界に先入観のないあなたのような方と共に見定めていただきたいのです…』
「……わかった」
とりあえず理解出来たことはここは異世界であること、この竜の言うとおりならおれは少し特殊であること…実は世界がどうと言われてもさっぱりだが、少しだけわくわくしてきてたりする
「あなたの、子供を育てる」
『…ありがとう』
言葉での確認がとれたことで力が抜けたのだろう、一回り小さくなったように感じる
さてこの世界のことを教えてもらわなくちゃな
…おれはどれだけ大変なことに巻き込まれているのか
思い知っていくことになる