表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/87

冒険者ヨシヤ

 掲示板へダンさんと向かう。相変わらずダンさんに対してほかの冒険者は一歩引いている…こういうのは本人が口にするまで干渉しないのが一番だ


「けっこう色んな依頼があるんですね…」


 掲示板には上にいくほど高ランクの依頼が貼られているようだ。依頼カードには依頼した日付、依頼人、内容、報酬、最後にランクが書かれてあり、分かりやすく色分けもしてある。依頼を受けたら剥がして持っていき、終われば受付にて報告。が流れのようだ

 依頼内容も実にバラエティに富んでおり、魔物の討伐はもちろん薬草の採取、家の掃除から買い物の付き合いまである


「平たく言やぁ何でも屋だ。町中の依頼を中心にこなすやつも居りゃ採取専門のやつもいる。おまえさんは色々やってみるがええ」


 そういや…あった。Eランクの依頼に【西の森のリーダーコボルト討伐】がある。依頼人はギルドだ


「ダンさん、これ」


「おおやっぱり出てたか。よしそれは剥がして持っとけ。あとでカードを貰ってから報告すればいい」


 誰かが既に依頼カードを持っていってる場合、受付に確認して討伐証拠となるものを見せれば大丈夫とのこと。とくに強い魔物を倒したら最低限その部分は剥ぎ取るのがマナー。実状早い者勝ちってのはこのことだ

 どうせなら次に受ける依頼も決めとこうか…と吟味を始めたところ


「あっあっあのっもしや【黒鉄くろがね重槌じゅうつい】のダン様じゃありませんか!?」


 おいおい…この男性、見たところ30代後半か…?大人がそんな恥ずかしい中二な二つ名なんか


「…んな古い名前をよく知ってんな」


 付いてたよ。ダンさん二つ名付きの元冒険者だったのか…二つ名って実力と実積がないと簡単には付かないですよね?


「やっぱり!間違いなかった…その巨体に巨槌…あなたに憧れて冒険者になったんです。握手してくださいっ!」


「わかったわかった…あまり騒ぎ立てんでくれ。こちとらもう引退した身だ」


 成る程、静かなのがすきなダンさんはこういうのは苦手そうだ


「ヨシヤ様、お待たせしました。準備が出来ましたので受付までどうぞ」


「あ、ダンさんちょっと行ってきます」


 ダンさんは冒険者の握手と話に付き合っているし仕方ないね


「ではこちらがギルドカードです」


 ブロンズ色のカードだ。ちょうど車の免許証みたいに右側に所属ギルドや名前や生年月日が、ランクFと右下に大きめに堀りこまれている。顔写真にあたるところはなにもない枠だけだが…?


「こちらの枠に血を1滴垂らして下さい」


 と針の付いた器具を渡された。…刺すのか。ええいここでビビってたまるか、パチッと薬指に器具を当てると血が滲み出た。痛くはない、そして枠に1滴血を垂らすと枠内に複雑な幾何学模様が浮かびあがる


「ではこちらにも同じように血を垂らしてください」


 似たようなカードを示され同じように血を垂らす。同じ幾何学模様が浮かび上がった


「偽造、悪用防止の処置です。ご協力ありがとうございます…これでギルドへの登録は以上となります」


 晴れて冒険者デビューである


「あとすみません…町に来る途中でコボルトの群れに襲われまして…依頼にあったリーダーコボルトを倒したみたいなんですけど」


 言いながら麻袋に入れていたコバルト鉱石と依頼カードを見せる。ライラさんは大きな目をさらに見開いて


「まぁ!この依頼、皆さん面倒くさがって受けてくれる人がなかなか出なかったんですよ……間違いなくコバルト鉱石のようですね」


 初達成が事後報告となったが問題なかったようだ。良かった叱られなくて…面倒くさいって大丈夫かこのギルド


「あの方と一緒でしたみたいですし、信頼性も問題なしですね…依頼報酬は手渡しとギルドへの貯蓄と選べますがどういたしますか?」


 高額な依頼を達成すれば話題になり、当然よからぬことを考える奴も出てくる。その被害を減らす為にギルドに貯蓄という形で預けておけば安心というわけだ。引き出しに料金はかからないしデメリットはほとんどない

 今回は生活費も必要だし直接貰うことにした


「ではこちらが討伐報酬の銀貨5枚と大銅貨8枚…なんですけど、初めて依頼を達成してくださったのでちょっとおまけして銀貨6枚にしておきますねっ」


 とウインクされた……おほぅ。これだよこれ、どこぞの誰かにこのお手本のようなウインクを見せて、語ってあげたい。ライラさんは心の清涼剤です


「それからコバルト鉱石ですが。買取りにしますか?持ち帰りも出来ますが」


 どうしたもんだろうか。加工できなきゃ持ってても意味ないだろうし…


「売っちまって構わんぞ。持っとっても使い道はないでな」


 おやお帰りなさいダンさん。心なしか疲れてるな…コボルトの群れには息すら乱さないのに


「じゃあ買取りでお願いします」


「ではお手数ですが、2階の買取り受付までお持ちください。そちらで鑑定、換金となります」


 コバルト鉱石を受けとる。添えてくれた手が柔らか…っ!…肩に爪を立てられた。クー?今のはおれのせいじゃないぞ…笑顔で乗り切れ、おれ


女の子の成長は早いのです

それでは~


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ