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第一ヒューム?遭遇

こんばんは。一気に3本いきます


「…これはうまいな…良くやったぞクー」


 果実は甘さもあったがそれ以上に水分が豊富だった。香りや味は林檎に似ているが噛んだところから滴るくらいにジューシーで食感もクリームとまではいかないがとてもなめらかだ

 これは他の動物に食べて貰うことで棲息域を拡げるタイプの植物なのだろう…周りにもちらほら同じ樹がある

 柔らか過ぎて持ち歩きはちょっとできなそうにないが…これなら色んな所で手に入れられそうだな

 一つでも食料となるものがわかれば随分と楽になる。見つけたクーを目一杯可愛がってやる


「よしよし…クーもしっかり食べとけよ…水分が多いからお腹壊さないようにな」


 クーは尻尾をブンブン振っておれの手から果実を食べている。がっつりかぶりついてるもんだから顔丸ごとべちゃべちゃだ。自分で見つけたくらいだから余程気に入ったのだろう

 名前がわからないためとりあえず水林檎と呼ぶことにする…うん、センスは放り投げた


 クーもおれも満足いくまで食べ、元気がでた。濡れたクーの顔はちゃんと外套のきれいな部分で拭いてあげる


「よし進もう。きっともう少しだ」


 再びクーを背負い、森をひたすら歩く。そこからさらに1時間…気のせいでなければ僅かにだが水の匂いがしてきた。しばらく進むと森が途切れ、視界がひらけた

 それは湖にしてはでかい…日本人の感覚だからか。向こう岸まで何百メートルあるのだろう…左手側は大きく円を描くような形で遠くに岸が見えるが、右手側はくの字に曲がっているため岸が見えず、水の流れがないから湖だと辛うじてわかるくらいに長い

 右手側の岸、くの字に曲がって向こうが見えなくなる手前くらいに小さくではあるが家屋…丸太小屋?のようなものが見えた

 なんとかヒュームの領土にたどり着いたみたいだ…そして人、いやヒュームか。に会える時がきたみたいだ。いいヒュームでありますように…そう願いながら丸太小屋に向かって歩く

 特に問題なく15分くらいで小屋の前に着いた。なかなか立派な丸太小屋だ。一人暮らし用としてはやや大きめな気がするが…何人かいるのかな

 頑丈そうな扉が目を引く。細かな装飾…大盾をモチーフに右に飛竜ワイバーンと左にドラゴンらしき生き物が2匹、刃を下にした剣を間に向かいあった紋章が大きく施されていた。王国の紋章だろうか…国の関係者が住んでるのかな?

 外には薪を割るための台に、やけにでっかい斧が刺さっていた。人間1人くらいなら余裕でまっぷたつに出来そうだ…しげしげと斧を見てると


「誰だぁ~っ!?迷子の冒険者かぁ?」


 ビクッとなるくらい馬鹿でかい男の声が森から響いた。とんでもないダミ声だ。それに腹にまで響く…うちのクーが怖がって震えてるじゃないか。クーをしっかり隠し直す

 ズンッズンッと足音にしては大きな音が近づいてくる…一緒にズズズ…ズズズ…となにか引きずる音も


「なんだぁ?ヒュームのガキかぁ?こんなとこになんの用だ」


 第一印象、でっけぇ

 顔は銀髪のもじゃもじゃ、髪、眉毛、ヒゲが全部つながってるんじゃなかろうか。もじゃもじゃ過ぎて肌がほとんど見えない。ギョロリとした目はやたら綺麗な青い瞳だ

 身長は2メートルくらい。縦もでかいが横にもでかい。熊のような体格をしている

 服装も実用重視な灰色をしたオーバーオールみたいなものに、白のタンクトップ。頑丈そうな黒のブーツ。二の腕は傷だらけのムッキムキ、女性の腰より太いんじゃなかろうか

 右手には片方が尖ったハンマー…叩く部分だけで1メートルくらいのまさに鉄塊。肩に担いだ姿が、良くお似合いです

 左手にはその鉄槌で仕留められたのであろう猪を引きずっていた。おれの3倍くらいの大きさはある… 


「あのっ、おれ」


「ああん?まあいいや、ちょっと手伝え。コイツ解体バラしちまうからよ」


 勝手に言うとズンズンと小屋の裏手に行ってしまった。いきなり手伝えとは、捌くのは魚が精一杯だぞ

 とはいえ逆らったらおれが解体されちゃうんじゃ…仕方ない、やるか

 追いかけたそこは湖から続く川があった。底が見えるし浅くて綺麗な水だな


「おい遅いぞ。そこの納屋から鍋を持ってこい。一番でかいやつだ」


 男は猪の両足を縛り木に引っかけ逆さ釣りにしていた。おれは小屋の隣の一回り小さい納屋から金属製の鍋を持っていく。深くて大きな、寸胴みたいな鍋だ

 男は鍋を受け取ると猪の真下に置いて首と足首にナイフで切れ込みを入れた。猪から血が一気に出て鍋を満たしていく


 「よしよし、血が抜けるまでちっと置いとかにゃ…んじゃ茶でも飲むか。よしこいっ」


 そしてまたズンズンと小屋に向かっていく男。自由だ、俺様だ。頼むから自己紹介くらいさせてくれ

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