プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします
今日も何もなく一日が終わる
深夜…そろそろ12時になるだろうか、おれは暗い帰り道をぼぅっとしながら歩いていた
夜風が疲れた体に心地よい…なのに時折ため息がもれる
(このままでいいのかなぁおれ)
名前は冨坂佳冶今年27になる…独身
一度は就職したが上手くいかず、今はバイトでなんとか
やっている…今時珍しくはない、いたって普通の若者である
(年はとってもなにも変わらねぇもんなんだな)
今の状況に漠然とした不安を抱え、それでも一歩踏み出せずにいる
なんてことはない、自分に自信がないだけなのだ
好きなものはあるにはある。錬金術だのファンタジー、魔法や魔物…とりわけ神話とか大好物である
モン娘なんか流行った時は少しハマったりした…断じて中二病ではない
(現実は見てはいるんだけどな…)
好きなことは仕事にすると辛いしとそういうのを仕事にしたいとは思わない
結局仕事にしろ趣味にしろ心から熱中できるものが
見つからず、ただただ漠然とした毎日を過ごす
それが今のおれの現状だった
「ふぅ…」
パカッと今時珍しい黒のガラケーを開き何気なくネットを眺める
ゲームは好きだが金のかかるゲームは嫌いだ
だから携帯用ゲームとかはあまり興味ない…はずだった
「………育成モンスターねぇ」
何気なくページを見ててふと目についたのは
これまたどこにでもありそうなゲームの広告だった
(好きなモンスターをえらんで…育てて……ああなるほど)
どうやら最終的にモンスター娘にしていちゃつくという
マニアックな内容のようだ
こういうのは当たり外れがな…と思いつつも自分好みな
イラストにちょっとぐっとくる
(なかなか可愛い娘…いやじゃなくて純粋?にモンスター
が気になったのであって)
などと誰からも責められてもないのに言い訳しながら、変に課金要求されるようならやめりゃいいかと『始める』を選択した
あと家まで15分ほどだが歩きながらもなんだし設定くらいは終わらせよう、とベンチに腰掛けた
(ずいぶん設定が細かいな…)
どうやらモンスターだけでなく世界観なども設定できるらしい
「時代はやっぱ中世ヨーロッパ風だろ…王国と帝国…違いがよくわからん…」
少しぶつぶつ言いながら設定をしていく
時代:中世ヨーロッパ風
立場:王国
戦闘:有
魔法:一般的
種族:ヒューム
性別:男
年齢:20代
髪色:黒
瞳:黒
・・・・
「ヒュームは多分ヒトだよな。そんなに主人公の容姿に設定いるか…いや最終的にモン娘といちゃつくから必要なのか?」
ずいぶんと王道な設定にしていった気がするが、あまり奇抜にしても進めにくいだろうと納得しておく
そしておまちかね、モンスターの設定だ
「スライム、ゴーレムにハーピー…基本だな
それなりに種類が豊富…ドラゴンまであるのか」
意外と充実していた。てっきり課金でガチャみたいなのをするのかと不安だった
この時点で結構このゲームに期待し始めていた
(ドラゴンだな)
一時期ハマったモンスター娘ではドラゴン娘がストライクだったため迷わず選択
(あれ?モンスターの名前は決められないのか)
これで全部のようだ、そして『この設定で始める』を
決定
すると『5分ほどで始まります。ご注意下さい』とでる
(ご注意?)
よくわからんがキリはついた
思ったより集中していたらしく少し体も冷えた
早く帰って風呂でも入ってからまたやるかな…と
立ち上がる
もう12時はとっくに過ぎている、ちょっと急ごう
しばらくしていつもの横断歩道を渡り始めたところで突然メールが鳴る
「?ああゲームのか」
注意とはこれか、と思ったがでもあれまだマナーモードだったはず…普段なら横断歩道で携帯は見ないがこの時は深夜だし、一瞬ならいいかとメールを確認した。してしまった
『準備が整いました。それではいってらっしゃいませ』
URLも何もなくただそれだけ
「?なんだこ……あっ」
内容に呆けていたその瞬間一台のトラックがスピード出したまま(60キロは確実)おれのいる横断歩道に突っ込んできた
こんな時間に人がいるとは思わなかったのだろうけど
少しは確認しろよ、ブレーキかけてねぇし!いや携帯いじってたおれも悪いんですけど!
足がすくむってこういうことかぁこれ直撃だよな絶対いてぇよ、なんてことを思ったのか思わなかったのか、目も開けられないライトの光に照らされつつ…
全ての音が消え、おれの意識はそこで途切れた
大体1作品1500~2000字の予定です。
なぜか自然にその辺りで文章がまとまるので特になにも言われない限りこの量でいきます