01 非リア会
単純なる恋愛もの1
桜が散る季節、五月。
若葉が煌き、太陽も激しさを増して僕らの頭を溶かしてゆく。
あー暑い。とてつもなく。
「本当だよねぇ」
僕の横に居るのは女子生徒。変わったところはないが、まぁ、強いて言えばかわいい。部室棟へ向かって二人は歩いて行っていた。
私立正岡学園では恋人が奨励されて補助金がでる。理由は定かではないのだが、理事長がうにゃらうにゃら。らしい。 わからない?知らないよ。
ならば、その他の人はどうするのだろうか。一般的にリア充になれない僕のような気が引けた純粋な少年は。 え? 自分で言うな? しゃらぷ。
それは、リア充を破滅させるのだ。撲滅するのだ。滅殺、ざえんど、リア充共を地獄の底へ突き落としてやろうというだ。
その中心をになっているのが対リア充撲滅委員会、【通称非リア会】
会員は六人。いずれもリア充と敵対している関係の人間である。
学園の部室棟三階、非リア会の部室では会議が行われていた。
「はーい、この学園に入学して一ヶ月が過ぎましたね。そろそろわかったんじゃないですか?リア充に対しての教師の対応の違いとか、生徒の目線とか」
「あり得ないと思いまーす。こんなのおかしいでーす」
「私がモテないのはこの学校の生徒の目が節穴なのよ。この学校でリア充になろうなんてプライドがゆるさないんだから」
「教師に恋している私はいけない娘」
無茶苦茶に四人が言うのだが、僕は窓際のソファーに寝転がり小説を読んでいる。十人十色だろうか、四人はすごく個性的に話すなのだ。
僕にとっては会議なんて、馬鹿馬鹿しい、とおもうのだが、俗に言う僕はミーハーで他人に流されやすい。
「君の言う通りだ。これこそ我がパートナーにふさわしい」
うんそうだよな。君はよくわかっているよ。口に出してはいないがな。
しれっと思考を読んだのは非リア会の部員の一人、自称未来人の唐津瞳子である。
思考を読むのだから未来人なのかもしれないのだが、気にしていない。
いや、気にしたら負けだ。瞳子に。
僕は思うんだ。なんで、この四人がモテないのかを。
最低でも、読者モデルに選ばれる人…それ以上か、顔面偏差値は七十を上回っている。そして、立ち振る舞いから格好まで、それはそれは、どこのご令嬢ですか? と、訪ねたいほどに綺麗な顔立ちをしている。なのに全くモテる気配がない。
一人は清楚な感じで髪の長い委員長様。西田鹿野
一人はミーハーなショートカット、金髪で活発なスポーツ系女子。元松春音
一人は金持ちのハーフ。胸がとにかくでかい。龍ヶ崎智圖留
一人はメガネでツインテール。成績が常にトップの女のこ。平松阿里華
最後のツインテールさんは、おじさんを漁るのが趣味なんだそうで、モテないのはわからなくもない。じゅんけつをうたっているが、本当かどうかははっきりとしていない。
ついでに、この未来人、唐津瞳子は電波少女で、人気があると聞きているが、とにかく僕が目に入ると、ラリアットしそうな勢いで突っ込んでくる。と、端から見れば付き合っている、とも言えなくもない。言えなくもないが、やっぱり根本的には違うのだ。こんな関係は付き合っているとは言えないだろう? キスプリなんて無理だろう?
まぁ、ラリアットぐらいなら可愛いから許せるのだが。それ以上に変なことをするが、今は割愛しとく。
あぁそう、
僕は狭川リク。なんでカタカナなのかって?親の遊び心さ。
僕は、とても髪が茶色い。
クリーム色ではなくて、茶色。
…関係ないか。
そして、今日は入学してちょうど一ヶ月が経つ。この非リア会は、二週間前に設立されて今に至る。
なぜか、僕も入っていた。
理由は至極簡単だ。
「モテないさそうだから」
おっと、唐津が割り行ってきた。そうだよな。ここに唐津がいるということは全部聞かれたな。
「ねぇリク、今日さカラオケ行こうよ。どうせ暇でしょ? 部活終わったら」
「どうせは余計だ。…まぁ、いいか。時間はあるな。行こうか」
「えー。二人?」
「……」
唐津………
僕は黙り込んだ。誘ってきて、僕と二人だとそこまで落ち込むのか。逆に落ち込みたいのはこっちなのだが??
そんなこんなで、四人は話が弾んでいるようだ。
リア充にどういう嫌がらせをするかについて。
自分がリア充になったらどうするのだろうか。そんな事は地球が破滅するより確率は低いだろうが。
と、まぁリアルが充実していればリア充だろという人がいるが、最低でもこの学校は、付き合っているか、いないかで判別しているらしい。
生徒もそれに合わせているらしく、
付き合っていない=リア充ではない
だそうだ。
これから、僕がどうなるかなんてわかったこっちゃない。
本当どうなるのだろうかな。
「部長、マックとケンタッキーどっち派?今から行くのだけど」
と、部長は僕だ。お昼の時間になったらしい。丁度ご飯は持ってきていなかった。
「言ってるだろ?僕はモスバーガー派なんだよ」
耳がキーンってなる位叫んだら、瞳子以外の四人に殴る蹴るの暴行を加えられた。え? なんでなんで?
痛いです。はい。マジで。