イラスト部 皆に自己紹介➁
イラスト部ルールその肆 照れ屋にはきちんと照れ屋だと教えて
「どんなルールだ!!」
「って事でちーちゃんね」
「ん」
そう言って薄波先輩が立つ。
一年生二人の目が大きく見開かれる。ああ俺らもこんな反応だったな。懐かしい。もう一年になるのか……遅いんだか早いんだか。
「あの……いつから居たんですか?」
驚いたようにゆっくりと聞く。
「ん、ずっと」
『ええっ!!』
そして二人して謝る。謝る必要ねえのに。
「ああ……進まないからもういいよ。私も時々分からないし」
「…………私も」
「あたしも、あたしも!!」
俺も頷いておく。そんな事を言われる先輩もどうかと思うのだが、そんな人達に対し薄波先輩は素知らぬ顔だ。もう慣れてしまっているのだろう。
何でも産まれた頃から無口で影が薄く誰にも気づかれずらかったらしい。あと、自身が言うには母親似で諦めたそうで。前に言っていた。つーか家に影薄い人二人って……大変ではないのだろうか。まあ余計な心配か。
「ん、薄波 知加、3年。副部長、一応だけど。あと役割は諜報部員として情報を集めること。こういう時影の薄さが役に立った。よろしく」
薄波先輩が座ったと同時ほどに木村先輩が立つ。肩にかけるようにしてくくっている髪が小さく揺れる。
「私は木村 彩。同じく3年で副部長よ。役割は実行委員。あ、実行委員とか諜報部員についてはまあ、その内分かると思うよ。この部活……というよりこの学園に入ったら嫌でもね」
怖ぇよ。何も間違ってねえけどさ。けどな……言い方を少しぐらい考えろよ。
「…………3年 福谷 里果。………部長をやってる。…………あと一応、役割は同じく実行委員。…………よろしく」
「さて、ひーくんの番よ」
すごい見られてんじゃねぇか。木村先輩はニヤニヤしてる。あっ、絶対わざとだ。
「加山 光。2年。この中では確かに男子一人だが、ここは俺のハーレムじゃねぇ。それだけは覚えておいてくれ。役割は記録係をやっている。主に人の様変わり等を記録している。………あと、よろしくな」
見られている中での自己紹介ほど恥ずかしいものはない……まあ、他にもあるけどな。
「光君は照れ屋だからっ。皆ぁ本気にしちゃダメなんだぞっ!」
「照れ屋じゃねえし、何のキャラだよそれは!!」
「…………照れ屋さん」
何で分かんないかな?って顔してんのこの人は。
それが分からないんだが。