第九話 『Samething has survived….』
宇宙空間内
某所にて
「クククククククク…三年間も力を蓄えた甲斐があった…」
「さぁ…オビツ…踊れ…踊るがいい…」
「この“イーター1095”改め“ダークケンジ”様の…」
「復讐劇の、始まりだ」
とんかつドン太に戻ると、ちょうどドンジャモール達が朝食をとっている所だった。オガワの姿は見えない。
「おうオビツ、朝の運動でもして来たのかい?」
「まあ、な。客人を連れて来た」
「あっ、ケンジおひさー」
ガタッ
「兄上!?」
「えっ!?ユウト!?」
「「「「「「なぬ!?」」」」」」
「何だ、知らなかったのか?似てないとか言わないでやれよ?」
その時、ちょうど電話の着信音が鳴った。ここにかかってくる電話は、大抵はオビツへの依頼だ。
「こちらオビツ。…ああ。その通りだが…は?…匿名?無理だ、そん…はぁ…わかった…場所は?……了解。すぐに向かう」
プツッ
「依頼かい?」
「ああ。誰だか知らんが、錆山会計事務所に来いと」
「朝から精が出るねぇ…」
「では行って来る」
ガラッ
「「後でゆっくり話を聞かせて貰うかんなーっ!!」」
「お前が依頼人か?」
錆山会計事務所。オビツの住む街、『ソルボターリ』内で一番寂れた地域にあるここで、オビツは銀髪オールバックの男と話していた。部屋の電気は消されている。
「いや、正確には、私はただの仲介人だよ」
「?どういう意味だ?」
「…で、依頼内容は何だ?“ドッグノーズ”」
すぐ近くの暗がりから、奇妙な棒人間が現れた。
頭は立方体の箱ですっぽりと覆われ、顔と思われる方向が四角く切り取られている。箱の中が真っ暗で何も見えないが、恐らく黒棒人間だからだろう。
「その名前で呼ぶなって…“リバイバー”。何度も何度も言わせんな。ったく…」
「ふてくされている場合ではないだろう?この中では、君が一番よく知っているはずだ」
ドッグノーズと呼ばれたその男は、少し考え事をしていたようだが、やがておもむろに説明し始めた。
「…数ヶ月前、ディステニータワーの第一展望台で、異常な放射線が計測されたのは知っているか?」
「いいや…」
知るはずがない。何しろ依頼が多くてテレビなど見ている暇がない。
「…その数週間後、黒棒人間が多いことで有名な民間スペースコロニー『ウラヌス』との通信が途絶した」
「!?」
「調査隊を送り込んだが、到着後、わずか数十分で反応が途絶した。だが…」
「?」
「その数十分の間に、調査隊が地上に寄越した記録…放射線の量がな…」
「どうした?」
「同じなんだよ。ディステニータワーの計測結果とな」
「何ッ!?」
「あんた…四年前にイーターを倒しただろ?何か心当たりはないか?」
「…まさか…」
有り得ない。
「そんな…ばかな…」
そんなことがあってはならない。
「まさか…奴が…」
「奴がまだ…生きているとでも言うのか…!?」
続く