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第七話 忌まわしき力

今回は少し、というかかなり短くなります。申し訳ございません。

 「…眠れない」

 午前2時。こんな時間帯でも、たまに依頼の電話が鳴ることがある。今日は電話がくることはないようだが、オビツは自分の眠りを妨げるそれにノイローゼになってしまったらしく、最近寝つきが悪い。

「…綺麗な月だ」

彼はベランダから月を眺めつつ、冷蔵庫から取って来たバナナオーレをすすった。

 「…ぐうぅっ…!!」

突然、彼の目に激痛が走る。

「くぅっ…くそっ…!」

(「駄目だ…もう…スキャニングの封印が…解け始めている…!」)

彼の顔が大きく歪む。

「ここで…あの惨劇を…再び…繰り返すわけには…!」オビツはベランダから飛び降り、近くのマンションへと走り出した。

 二十階建てのそれの屋上へとたどり着き、迷うことなく柵を乗り越えようとした時―

「辛いか?」

―その声は響いた。

 オビツが振り向くと、そこにいたのは黒髪オールバックのサイボーグだった。固定されたアームキャノン、左腕にはロボットアーム、背中に六枚の羽―フライヤーパック―が装備されている。

 「師匠!?」

そう、彼こそオビツの師匠、オカベである。

「そこから飛び降りて何もかも終わりにしようというのなら…それこそお前の言う“無責任”ってもんじゃあねぇのか?」

「…!」

「もし俺が止めてなかったら、お前は犠牲者を出さないために死んだんじゃない。自分の忌まわしき力と向き合うのが怖くて逃げたんだ」

「なっ…」

「…それに、お前がもう少し強くなれば、その力を必死に抑え込む必要も無くなるはずだ。自分を強く持て」

「師匠…」

「…じゃあ俺は帰るぞ。そろそろ充電が切れそうだ」

 そう言うとオカベはフライヤーパックを展開し、微細な制御音を残して夜の闇へと飛び去っていった。

「師匠…」

「フライヤーパックで家まで帰れるだけの充電は残っているクセに…」

 呟いたオビツは月夜の下、不器用なニヤニヤ笑いを浮かべつつ、自宅への道を歩き出した。



続く

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