表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

天国のふり

作者: 演パソ
掲載日:2026/08/03

「お願い!私が悪かったから!たすk」


これが最期の言葉だった。


 すみません。起きたらここにいたんですが、ここはどこですか?


 あ、思い出しました。ここ、天国ですね。

ん?どうしてそんなことになったのかって?


 えっと…そうですね。まず私の母は、有名な大学を出て大企業に就職したんですね。

なので最初は何の不自由のないまさに理想といえる家族生活でした。もちろんこの状態がずっと続くことはありませんでしたが。


 変化が訪れたのは、たしか私が中二のときですね。

理由は知りませんが、母が会社をクビになったんです。

まあその時は、そんな大事だとは思っていませんでした。父も働いていましたし、生活には困らないだろうと。


 でも…はい。そうです。多分母と結婚したのは金目当てだったと思います。母がクビになった瞬間すぐ姿を見せなくなりましたよ。

母も父の失踪の理由には、気づいていたと思います。


 そこから母の私に対する態度は悪くなっていきました。まあ虐待ですね。毎日十回は叩かれてました。

ほら、見てください。このあざとかその時のやつです。

あと、独り言や飲酒とかも多くなってきました。もうなんか完全に病んでましたね。

はい。でも、あんなことがあったのだから仕方ないだろうと思っていました。

 

 いや、多分思うことにしてたんでしょうね。


 そんなある日、私は「お父さんって本当最低だよね。」と言いました。母を慰めようとした言葉ですが…それが逆に仇となってしまいました。


 母は狂ったように包丁を私に向けてきました。ブレーキ音のような奇声をあげて、こっちに向かってきました。


 今思い出すと笑っちゃいますね。

 何がしたいの?っていうか。


 その時は、あ、これ死んだなって思いましたね。でも、気が付くと私は母にまたがり、母を包丁で殺そうとしてました。防衛本能っていうんですかね?私抵抗する気はありませんでしたから。


 私は慌てて母に包丁を向けるのをやめようとしました。でもその瞬間、母はこう言ったんです。

「お願い!殺さないで!私が悪かったから!」


 さっきまでの母とはまるで様子が違いました。なんというか、殺されそうなことに対する正常な反応?

でもこれが今の母の本心ということは分かりました。

そして、その本心に父への喪失感が含まれないことも。


 私はこう思いました。虐待も、私を殺そうとしたことも母は自覚してないかもしれないけど、全部演技だったんだなって。

私かわいそうでしょ、そう思われたいだけに人を傷つけるしょうもない人間だったんだなって。


 人間としての底が見えましたね。普通に考えたらわかるはずでした。人間、そんなすぐ心が壊れるほど弱くない。ただ、弱さを見せるくらいの強さがあるだけ。


 もう私は彼女を母だと思う認識はありませんでした。

母を愛そうとする心に包まれていた大きな憎しみが驚くほど湧いて出てきましたね。


「お願い!私が悪かったから!たすk」


これが最期の言葉でした。

母を殺してからは、心が驚くほど楽になりました。

成仏しちゃうんじゃないかってね。

でも、これが私の天国だなって思いましたね。


 …というか、あなたたち警察は、必死に抵抗する私を押さえつけて、気絶までさせましたけど。


 でも、必死に抵抗するってことは、私も"演技"をしているのかもしれませんね。この天国さえも、私の"演技"の一部かもしれません。それは、私にも分かりません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ