第六章:静寂という名の監禁
一真が王座に就いてから、海辺の邸宅は外界から遮断された「聖域」へと変貌した。
一真の構築したシステムは完璧だった。
最新のセキュリティカメラが家中の死角をなくし、瑠美が手にするスマートフォンさえも、一真の端末からすべての操作が同期されている。
彼女が誰と話し、何を検索したか、そのすべてを一真はリアルタイムで把握していた。
「ママ、今日のランチはテラスで食べよう。僕が君のために選んだ、とっておきのワインがあるんだ」
一真は、もはや修に対して隠すことすらしなかった。
テラスにはすでに修が座らされ、目の前に置かれた皿には形ばかりの食事しかなかった。
一真は瑠美の手を引き、修の真正面の席に彼女を座らせると、自分はその隣に腰を下ろした。
修は俯いたまま、フォークを握る手が微かに震えていた。
一真は微笑みながら瑠美の顎を指で持ち上げ、修の視線が逃げられない位置で、ゆっくりと唇を重ねた。最初は優しく、すぐに舌を絡め、深く、貪るように。
瑠美の唇が開かれ、かすかな吐息が漏れる。
一真の手は瑠美の首筋を滑り、チョーカーの上から胸元へ。
薄いブラウス越しに豊かな膨らみを掴み、指先で頂を捉えて転がす。
瑠美の肩がびくりと震え、甘く掠れた声が喉の奥から溢れた。
「あ…んっ…」
その声は、かつて修に向けて囁かれたものとはまるで別物だった。
いまはただ、一真にだけ向けられた、降伏の証。
一真はさらに手を下げ、スカートの裾を捲り上げ、修の視界に瑠美の白い太ももを晒す。
指が内腿を這い上がり、秘部に触れた瞬間、瑠美は背を弓なりに反らせ、抑えきれずに甘い喘ぎを零した。
「はあ…一真、だめ…修が、見てるのに…」
その言葉とは裏腹に、瑠美の腰は小さく前後に動き、一真の指を求めてしまう。
一真は修の方をちらりと見て、勝ち誇ったように笑った。
「見てていいよ、パパ。ママがどれだけ僕のものか、ちゃんと目に焼き付けて」
修は顔を上げられなかった。
耳に届く瑠美の甘い声、テラスに響く湿った音、すべてが彼の存在を嘲笑うようにそこにあった。
修にとっての唯一の自由は、一真が瑠美を連れて寝室へ消えた後、深夜のリビングで一人、安酒を飲むことだけだった。
「修…」 たまに廊下ですれ違う際、瑠美は助けを求めるような、あるいは謝罪するような視線を向ける。
しかし、その首元には常に一真が選んだ高価なチョーカーが巻かれ、彼女が誰の所有物であるかを無言で誇示していた。
修は目を逸らすしかなかった。
一度でも一真に逆らえば、自分が積み上げてきたささやかな「平和」という名の保身が崩れ去ることを知っていたからだ。




