最終章:二人の「女王」と、一人の王
数ヶ月後、海辺の邸宅には、二人の美しい女性の姿があった。
一人は、すべてを忘れ、純粋な愛玩物となった母、瑠美。
もう一人は、一真の「秘書」兼「愛人」として、彼の支配を盤石にするためにその知性を捧げる娘、小春。
小春はかつての攻撃性を失い、一真の視線ひとつで、自分の存在意義を確認するようになっていた。
彼女は今や、一真が自分を辱め、支配することに、かつての自由では決して得られなかった「狂気的な安らぎ」を見出していた。
一真は、毎晩のように小春を寝室に呼び、絹の縄で手足を拘束し、鞭で白い肌を赤く染め上げる。
痛みに涙を浮かべる小春の体を、優しく撫でながら再び激しく犯す。
時には玩具を使い、絶え間ない快楽で彼女を追い込み、許可を得てようやく達することを許す。
そのたびに、小春の目は恍惚に濡れ、一真への絶対的な服従を深めていった。
時折、瑠美も加わり、母娘の体を重ねて一真に奉仕させることで、究極の屈辱と快楽を与え続けた。
「ママ、お茶を淹れたよ。…一真が、もうすぐ戻ってくるわ」
小春は、瑠美の首元にあるチョーカーを丁寧に磨き、自らの首にもある、一真の紋章が刻まれた同じ鎖をそっと撫でた。
鎖の下の肌には、昨夜の一真の歯形と鞭痕が残り、触れるだけで甘い疼きが蘇る。
「ええ、そうね。小春…。あの子が帰ってきたら、今日は何をして差し上げようかしら」
二人の女性は、鏡合わせのような微笑みを浮かべた。
そこには悲劇の影はない。
ただ、一人の支配者によって調教され、自らの意志を差し出した者だけが到達できる、歪んだエデンの静寂があった。
一真は、二人を同時に抱く夜を増やし、母娘の唇を重ねさせながら交互に貫くことで、絶対的な所有を味わっていた。
夕暮れの海。
一真はバルコニーから、自分を待つ二人の「家族」を眺めていた。
康夫は恐怖で支配し、修は無関心で逃げた。
だが、自分は「救済」によって支配を完成させた。
「愛しているよ、二人とも。君たちの魂の最後の一滴まで、僕の血に染めてあげる」
秋山家の歪んだ系譜は、ここで終わるのではない。
一真という絶対神を中心に、母と娘が跪き、体を捧げる「完璧な王国」として、外界の理から切り離されたまま、永遠に、そして淫らに、繰り返されていくのだ。




