第十五章:支配者への懇願
修が力なく部屋を去った後、静寂が戻った空間には、むせ返るような背徳の残り香だけが漂っていた。
小春は乱れた衣服のまま床に伏し、激しい自己嫌悪と、未だに疼きを止めることのない肉体の違和感に震えていた。
「よく頑張ったね、姉さん。…お疲れ様」
一真の穏やかな、しかし温度のない声が降ってくる。
彼は、手際よく用意していた磁器のカップを小春の口元に運んだ。
「喉が渇いたよね?ほら、特製のハーブティーだよ。心を落ち着かせてくれるから」
小春は拒絶しようとしたが、一真の指先が顎を掬い上げると、抗う術もなくその液体を飲み干した。
少し癖のある甘みが喉を通り、胃の腑に落ちた瞬間、異変は起きた。
それは、心を落ち着かせるどころか、血管という血管に熱い泥が流し込まれたような感覚。
ハーブティーに仕込まれた薬物が、父との行為で極限まで高まっていた小春の感度を、さらに数倍へと跳ね上げたのだ。
「あ…っ、はぁ、はぁ…っ! なに、これ…体が…熱い…っ」
小春の肌は瞬く間に真珠のような微紅色に染まり、全身の産毛が逆立つほどの戦慄が走る。
震えが止まらない。
意識は混濁し、先ほどまで父に抱かれたことへの嫌悪感で満たされていたはずの脳内が、一瞬で「一真に触れられたい」という狂おしい渇望に塗り替えられていった。
「姉さん。気分はどうかな?康夫仕込みのハーブティーは…」
小春は這いずり、一真の足首を掴んだ。
潤んだ瞳で彼を見上げ、唇を震わせる。
「こ、これ…ただの、ハ、ハーブティーじゃ…な…い…」
小春は一真の太ももに縋り付き、顔と体を擦り付けている。
かつての誇り高い小春からは想像もつかない、雌としての卑屈な懇願だった。
一真は冷徹な愉悦を瞳に宿し、自ら乱れる小春の髪を愛おしそうに撫でる。
「どうしてほしいんだい?言わなきゃ分からないよ」
「…して…一真の、ほしい…っ。お願い、私を、壊して…っ!」
小春が泣きながら叫んだ瞬間、一真は彼女を強引に抱き上げ、ベッドへと突き飛ばした。
容赦なく広げられた脚。
そこには、父との行為で赤く充血し、さらに薬物の影響で溢れんばかりの蜜を滴らせる、準備の整いすぎた秘部があった。
「いい声だ、姉さん。その顔が見たかったんだ」
一真が、ついにその凶暴な質量を、小春の奥深くへと突き立てた。
「ひぎぃっ…!? あ、ああああぁぁっ!!」
小春の背中が弓なりに反り、絶叫が上がる。
父の時とは比較にならない、支配者の重圧。
内臓を直接押し潰されるような圧迫感と、神経の末端を焼き切るような快感が脳を直撃する。
小春の意志は一瞬で霧散した。
「すごいな…中がこんなに締め付けてくる。パパにされたのが、そんなに気持ちよかったのかい?」
一真が容赦なく腰を叩きつけるたび、小春の視界は真っ白な閃光に包まれる。
一度、二度、三度――。間髪入れずに襲いくる絶頂。
小春の体は激しく痙攣し、意識が飛びそうになるたびに、一真の鋭い腰の動きが彼女を強引に覚醒させる。
激しく乱れる吐息。
飛び散る汗と蜜。
小春は何度も何度も白目を剥き、その都度、一真の名前を叫んだ。
もはや彼女にとって、一真は自分を壊す悪魔ではなく、この狂った快楽の迷宮から、導いてくれる唯一の神となっていた。
最後の一突き。
一真が彼女の最奥を熱く満たした瞬間、小春の脳内で何かが弾けた。
極限の快楽と絶望が混ざり合い、彼女の精神はついに闇の中へと沈んでいく。
小春の体は大きく一度跳ねた後、泥のようにシーツに沈み、意識を失った。
一真は、そのぐったりとした姉の横顔を眺め、勝利を確信したように、その額に冷たい口づけを落とした。




