第十一章:張り巡らされた「救済」の網
一真は、プライベート・システムの警告音を聞きながら、焦るどころか深いため息をついた。
その溜息は、ただの疲れではなく、愛する姉の浅はかさを憐れむ、慈父のような優しい響きを帯びていた。
彼は、幼い頃から姉の性格を知り尽くしており、彼女の反逆は、予測可能なパターンでしかなかった。
「姉さん…。君が僕を壊そうと動くことくらい、何年も前から予測済みだよ」
と、一真は独り言のように呟いた。声には、深い失望と、それでも消えない愛情が混じっていた。
一真は手元のキーを一つ叩いた。
すると、世界中に拡散され始めていたはずの映像は、瞬時に別の映像へと差し替えられた。
それは、小春が大学時代に「一真を倒す資金を得るため」と称して手を染めた、違法なインサイダー取引と、彼女を支援していたはずのトレーナーとの生々しい癒着の証拠だった。
小春の過去の過ちが、鮮明に映し出される。彼女の若々しい顔が、取引の現場で緊張しながらも野心的に輝いていた。
あの頃の彼女は、純粋な正義感で動いていたつもりだったが、一真にとってはただの幼い遊びだった。
「な…っ!? どうして、これを…」
小春は画面を見つめ、愕然とした。
心臓が激しく鼓動し、喉が乾く。
彼女はこれらの証拠を、誰にも知られていないはずだと信じていた。
大学生活での秘密は、彼女の弱点であり、決して表に出さないように細心の注意を払っていたのに。
一真がこれを知っているという事実は、彼女のプライドを粉々に砕いた。
「どうして…一真がこんなものを…」
と、彼女は震える声で呟いた。
恐怖と怒りが交錯し、視界がぼやける。
愕然とする小春のスマートフォンが、けたたましく鳴り響く。
彼女の恋人、支援者、そして信じていたすべての人間が、一夜にして一真の手によって「買収」されるか「破滅」させられたことを告げる通知だった。
一つ一つの通知が、彼女の心を刺すように届く。
恋人からのメッセージは「ごめん、君のことはもう…」と、冷たい別れの言葉。
支援者からは、事業の崩壊を告げる絶望的な叫び。
すべてが一真の仕業だと悟った瞬間、小春の胸に激しい怒りと無力感が渦巻いた。
「信じていたのに…みんな、裏切ったの…?」
彼女の声は、かすれながらも必死に抵抗を試みる。
「君が僕を撃つために用意した銃には、最初から空砲しか入っていない。そして、その銃を君に売ったのは、僕のダミー会社だ」
一真は、静かに説明した。
心の中では、姉の必死の努力を思い浮かべ、密かな満足感を味わっていた。
彼女の計画をすべて予測し、網を張り巡らせていたことが、証明された瞬間だった。
彼は、姉を完全に自分の支配下におきたいという感情が、歪んだ形で膨れ上がっていた。
慌てて海辺の家へ舞い戻り、廊下で崩れ落ちている小春に、一真はゆっくりと歩み寄った。
彼は小春の細い肩を鷲掴みにし、壁に強く押しつけた。
小春の体は、抵抗する間もなく固く張りつめ、一真の力に抗うことができなかった。
彼女の心は、パニックに陥っていた。
「一真…やめて…触らないで…」
と、彼女は必死に言葉を絞り出すが、声は震えていた。
一真の指が小春の首筋を這い上がり、軽く絞めながら敏感な耳朶を甘噛みする。
小春の体がびくりと震え、熱い吐息が漏れた。
彼女の体は、拒絶する理性とは裏腹に、懐かしい弟の触れ方に反応してしまう。
幼い頃の記憶がよみがえり、複雑な感情が胸を締めつけた。
「こんなの…いけないのに…体が…」
一真はそれを味わうように、もう片方の手をスカートの中に滑り込ませ、ストッキング越しに太ももの内側をゆっくりと撫で上げ、秘部に近づくたびに指先で軽く弾く。
彼の心は、姉の反応を楽しんでいた。
彼女の体がこんなに素直に反応する姿が、愛おしくてたまらない。
「やめなさい!一真…私たち、姉弟なのよ!」
へたり込みそうな小春の体を、一真は腕で支えながら、彼は低く笑った。
彼女の言葉は、拒絶の叫びだったが、心の中では恐怖と、抑えきれない快感の予感が混じり合っていた。
全身が震え、体が熱くなるのを、彼女は必死に否定しようとする。
「これが君の現実だよ、姉さん。君の体はもう、僕の指一本でこんなに反応してしまうんだ。僕の掌で、すべてを支配される準備ができている」
一真の声は、優しく響くが、底知れぬ支配欲を秘めていた。
彼は姉の体が自分の手に委ねられる瞬間を、待ち望んでいたのだ。




