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薄雪草を抱く  作者: 紀野光
天照大御神

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天照大御神4

「初めはここ」


 家々が並ぶその先、案内されたのは大岩の前だった。巨大すぎて見上げると首が痛くなる。


「これなんだと思う?」


 そんなこと聞かれても春香には見当もつかない。ただ、特徴と言われると注連縄が巻かれて、四方にお札が張られている。でも高天原には注連縄もお札もそこら中にあるから全く珍しくない。それでもここに案内したということは意味があるのだろう。


「実は神様とか」


 振り絞って考えた割には雑な回答に天照大御神は正解、よくわかったねと褒めてくれた。


「この岩は石長比売(いわながひめ)


 研磨されずにゴツゴツとした不格好な岩は野性味あふれている。


「はーちんは絶対に触っちゃダメだよ」


 天照大御神は春香の目を真っ直ぐ見て警告する。


「どうしてですか?」


「こんな馬鹿でかい神力の塊に触ったら、人間のはーちんは吹き飛んじゃうから。あたしみたいに生き物の神は神力の扱い方をマスターしてる。でも石長比売みたいに物体の神は力を放出し続けてるから札で抑えるんだけど、この子は力が強すぎて」


 そうなんですねと春香が返事をする前に、天照大御神は「次、行こー」と行ってしまった。春香はそんな天照大御神を追いかけた。

 

 次に連れてこられたのは小高い丘の頂上だった。


 向こうに大きな洞窟が見える。夏、緑の多い高天原にぽっかりと空いた穴。空洞の周りに黒い植物が張っている。


 入口は大きく口を開け、飲み込まれてしまうような錯覚に陥る。少し距離があるのにもかかわらず洞窟から腐臭というのか顔をしかめたくなる匂いが漂ってくる。


「あそこは黄泉の国への入り口。絶対に入っちゃダメ。なにがなんでもダメ。帰ってこられなくなるし、誰も助けに行ってあげられない」


 天照大御神は真剣な表情で教えてくれる。


 洞窟は入口から坂が下っているのは確認できるがその先は真っ暗でなにも見えない。脈動するようなリズムで時折黄泉の国から鼻を捻じ曲げられる悪臭が漂ってくる。それを全身に浴びるたびに体が重くなっていく。心のざわめきが大きくなっていく。


 天照大御神は絶対に入っていかないようにともう一度念を押す。もし入っていったら。


「人間のあなたは魂も残らない」



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