第64話:陳宮の治政、本格化 ~復興の礎、築かる~
第64話:陳宮の治政、本格化 ~復興の礎、築かる~
並州の軍事が呂布の下で再編される一方、内政は軍師・陳宮の主導により、着実にその礎を築き始めていた。彼の描く復興計画は、単に戦乱の傷を癒すだけでなく、並州をより豊かで強靭な土地へと変貌させることを目指していた。
陳宮がまず力を注いだのは、屯田制の本格的な施行であった。流民たちに土地と農具を与え、耕作に従事させることで、食糧生産の基盤を確立しようとした。兵士たちも農作業に積極的に参加し、荒れ果てた大地は徐々に緑を取り戻し始めた。
「民を飢えさせぬこと。これこそが為政者の第一の務めにございます」
陳宮は呂布にそう語り、自らも農地を巡回し、農民の声に耳を傾けた。
次に、陳宮は水利工事の重要性を説き、並州各地で大規模な灌漑設備の修復と新設に着手した。かつて呂布が登用した治水技術者たちは、この計画において中心的な役割を果たした。彼らの知識と経験は、乾いた大地に命の水を呼び込み、作物の安定的な収穫を約束するものであった。古い水路が整備され、新たな用水路が引かれるたびに、民の間からは歓声が上がった。
また、陳宮は法制度の整備にも力を入れた。戦乱で失われていた秩序を回復し、民が安心して暮らせる社会を築くため、新たな法を公布した。それは厳格なものであったが、同時に公平性も重視されており、身分に関わらず法の下では平等であることが示された。丁原時代からの旧臣である李厳らは、その実務経験を活かし、法の円滑な運用に貢献した。これにより、並州の治安は目に見えて改善し、商取引も活発になり始めた。
さらに陳宮は、復興作業を進める中で、埋もれていた才能の発掘にも努めた。
「呂公、人材こそが国を支える柱にございます。武勇に優れた者だけでなく、内政、商業、技術、あらゆる分野で才ある者を見出し、登用していく必要がございます」
彼の言葉通り、陳宮は各地から商業に明るい商人や、優れた工芸技術を持つ職人などを見つけ出し、彼らに活躍の場を与えた。そうして登用された者たちは、並州の復興と発展に新たな息吹を吹き込んだ。
陳宮の治政は、呂布の武威という力強い支えを得て、並州の隅々にまで浸透していった。それは、まさに復興の槌音であり、未来への確かな礎を築く音であった。




