【短編版】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする~「幼女だから」と捨てられましたが、実は神に愛されし聖女でした。神の怒りを買ったようですが、知りません。飼い猫(最強神)とともに異世界を気ままに旅してますので
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私の名前は、黒姫 寧子。
寧子、と書いて【やすこ】と読む。
でも小さい頃から【ねこ】と読まれ、それをからかわれるのが凄く嫌だった。
年齢は、今年で28歳。地方国立大学を22で卒業する。
片親だったので、学費の安い国立大にしかいけなかった。また、母は在学中に他界してしまい、学費を稼ぐために、私は毎日のようにアルバイトをしていた。
カレシなんてできたためしは一度も無い。
また、就活も失敗してしまった。勉強と、アルバイトしかしてこなかったのだ。
見てくれも特に良いわけではない私を、雇ってくれる企業はどこもなかった。
生活のため、奨学金を借りることになっていた私は、卒業後直ぐに金を稼ぐ必要があった。
だから……私は仕方なく、ブラック企業に就職する羽目となった。
毎日残業。働いても働いても、金は貯まらない。
周りは、どんどん結婚する。家庭を築きあげ、子供を産み、幸せに暮らしてるなか、私はあくせくブラック企業で働いていた。
……私の唯一の癒やしは、地域猫として飼ってる、白猫の【ましろ】ちゃんだ。
ましろちゃんを見つけたのは去年。
ゴミ捨て場に、ミカン箱が放置してあった。
1匹だけ取り残された子猫。どうやら他の猫は拾われていったらしい。
不憫に思ったものの、私は……猫アレルギーだった。
家に猫を置くことができないので、地域の人と、餌やりボランティアさんと協力し、ましろちゃんを地域猫として世話することにした。
猫アレルギーがあるせいで、ましろちゃんとは長く接することができなかった。
でも、毎日のご飯やトイレのお世話をちゃんとした。
くしゃみと鼻水がでても、それでもなお……私はましろちゃんを可愛がった。
両親がおらず、彼氏もいない。
奨学金を返すためだけに働いてる私にとって、ましろちゃんとの交流は唯一の心の癒やしだったのだ……。
そして、ある日。
私はましろちゃんがいつもの公園にいないことに気づく。
「ましろちゃん……?」
私は周囲を探し回り、ましろちゃんをついに発見。
「!? 危ない……! トラックが……!」
ましろちゃんは道路に飛び出たのだ。
私は……とっさに体が動いた。
ましろちゃんを抱きしめて、そして……。
ぐしゃりっ。
……。
…………。
………………。
『こんにちはー!』
私が目を覚ますと、そこは……冷たく硬い床の上だった。
体を起こす。あれ……ここは……?
「! ましろちゃんっ!」
私の目の前に、白猫が一匹居た。
直ぐに、この子がましろちゃんだとわかった。
彼女をぎゅっと抱きしめる、私。
……温かい。生きてる。良かった。
『あのー、もしもーし?』
……頭上に誰かがいる。
翼を生やした、小柄な女性だ。それが……う、浮いてる……?
「これは……夢……?」
そうだ。夢にちがいない。だって、私、ましろちゃんを助けようとして、トラックにひかれて……それで……死んだはず。
『残念ですが現実でーす。受け入れてくださーい』
「……そんな」
とつぶやいたものの、別に……現世に未練なんてなかった。
両親も死んじゃったし、ブラック企業勤めだし。将来の展望も、明るくなかったし……。
ああ、心残りといえば、奨学金を払い終えてなかったな。
借りたもの返せなかったのは、心残りと言えば心残り……。
『死んで気にすることが奨学金返済なんて、変わったひとですねーあなた』
ぷかぷか浮きながら、翼の生やした女性は、どこからか取り出したポテチを食べ出す。
「あの……そもそも貴女は一体?」
『わたしは……神……! と言っても、下級神。最高神のぱしりだけどねー』
神……。
神……なんて存在するんだ。
まあ、浮いてるし、人間じゃあないかなって思ったけど。
でも神が、どうして私の前に。
『さる、おえらーい御方から、あなたが不憫だから、転生させておくれって頼まれたのです』
「転生……?」
『そ。転生。異世界にいってチートで無双! みたいな。そういうやつ』
「……はぁ」
『あれ? テンション低いな? オタクならここでキター! とか。チート能力を所望します! とか。そういうリアクションがあってしかるべきじゃあない?』
「……それ、フィクションでは、ですよね」
私も無料で読める、漫画アプリで、異世界系のお話をいくつか読んだことある。
最近はそういう無料で読める系の漫画が増えてるので助かる。
異世界にいって、魔法で無双。
チートスキルで無双。
偉い男の人に溺愛される……等。
「ああいうのって、作り話じゃないですか」
『そーね。でも! これは現実! 君はこれから異世界にいってもらいます!』
「……なんで? 転生させてくれるんじゃあなかったの?」
元の世界に。
『元の世界の、黒姫 寧子さんの体は、トラックにひかれて、ぐっちゃぐちゃにされてしまったんで。生き帰すことは不可能なんですわ』
「そんな……。ま、ましろちゃんも?」
『んえ? あー……そうね。たぶん』
たぶんって……。
適当だな、この神……。
うちの部署にも、こういう顔とノリだけいい、仕事を適当にしかこなさない女いたっけ。
『しっけーな! このわたしは正真正銘の女神! 最高神さまから力を与えられ、異世界に人間を送り込む仕事を任されたね!』
「はあ……。じゃあ、私は、異世界にこれから送り込まれるってことなんですね」
『そーそー。で、さるおえらい方からの依頼で、なにか欲しいものがあれば、与えてあげてって言われてるんだっ。ねえねえ、何が欲しい?』
「急に言われても……」
『異世界でしたいこととか、やりたいこととかない? そこから逆算して、欲しい能力とか、武器とかをあげるよ!』
……したいこと、やりたいこと……か。
……何も思いつかないや。
幼い頃から勉強。
大学生になったらバイト。
社会人になったら仕事……と。
遊びらしいこと、何一つしてこなかったし。
したいことも、やりたいことも……。
「みー……」
ましろちゃんが、私の足に頬ずりしてきた。 ……ああ、したいこと、やりたいこと……あったな。
私はましろちゃんを抱き上げる。
「この子と、一緒に居たい」
『うぇ!? その御方と!?』
御方……?
「別に、能力とか武器とかは、いい。私は……この子と一緒に過ごしたい」
今まで、仕事があって、ましろちゃんとは限られた時間でしか過ごせなかった。
ここに、ましろちゃんがいるってことは、この子もまた、私と同じく死んでしまったということ。
「私、この猫と、一緒に異世界に行きたい」
『えー……まじっかー……。やっべ、完全に予想外……。ええー……どうしたらいいっすか~?』
誰に聞いてるんだろう。
みぃ、とましろちゃんが鳴いた。
『んー、おっけー! じゃあ、黒姫 寧子さんには、その御猫さまをプレゼント!』
良かった。ましろちゃんも、死なずにすんだね。良かったね。
『ついでに、健康なお体もセットでつけちゃうね。君、猫アレルギーなんでしょ?』
「!? 健康な体なんて……もらえるの?」
『うん! だって望みは猫ちゃんと過ごすことなんでしょー?』
「……ありがとう」
『いいっていって。他にも基本的に必要なものを全部のっけとくね。異世界言語スキルとか。諸々』
……私は気になった。
なんで、この女神は、私にここまで色々してくれるのだろうか。
『さるお偉いおかたから、頼まれたからね』
「お偉い御方……ね。その人に、お礼を言っておいてもらえる?」
『え? ああ……うん。まあ、人じゃあないけどね』
そっか。神か。だから、人じゃあないと。
『よし! 調整完了! これより、黒姫 寧子を、猫とともに、異世界に転送しまーす!』
私とましろちゃんの体が光り輝く。
本当に、異世界に行けるのかわからない。今私は夢を見ているだけなのかもしれない。
……でも、ましろちゃんの温かい体を、ぎゅっと抱きしめると、不安が少し和らいだ。
この子と一緒に、異世界にいけるのなら……少し、わくわくするかもしれない。
『んじゃ、いってらっしゃい! 黒姫 寧子さん! それと……バステトさま!』
◇◇◇
「やった! 聖女召喚に成功したぞ!」
……若い男の声が聞こえる。
聖女召喚……?
「やりましたね! バカデカントさま……!」
目を、ゆっくりと開ける。
そこには、大きな男の人が立っている。
ファンタジーゲームに出てくるような、ザ・王子様って感じの人……。
「!? ば、バカデカントさま……大変です!」
「どうした?」
この、王子っぽい人がバカデカント……?
しかも、さっき聖女召喚って……。
そういえば、最近読んだ異世界系漫画に、聖女として異世界から人間を召喚する、という冒頭のシーンがあった。
聖女。聖なる力を持つ女性。
私の読んだ漫画だと、その人には治癒や、結界の力があったはず……。
漫画と展開が同じかはわからないけど、さっき聖女召喚に成功、といっていた。
私も、聖女として召喚されたってこと……?
「こ、これは……!? まさか……」
バカデカントは、私を見て……いや、私を【見下ろして】言う。
「幼女……?」
「…………は? よーじょ、れしゅって……?」
れしゅ!? よーじょ!?
なんか……声が……幼い?
私は自分の手を見やる。
ぷにぷにで、ミニクリームパンみたいな、ちっちゃな手。
肌に触れる。もちもちとして、みずみずしいさわり心地。
不摂生がたたって、私の肌はガサガサだったはず……。
バカデカントは、宝石がちりばめられたネックレスを身につけていた。
宝石に映っていたのは……銀髪の、幼女。
「にゃ!? にゃんれしゅかこれぇええ!?」
私が叫ぶのと同じタイミングで……宝石の中の人物が叫ぶ。
……転生。
ま、まさか……。
私、幼女に転生したってこと……?
「まさかこの幼女が、今回召喚された聖女だというのか……? 爺よ?」
バカデカントのとなりには、白いローブに包まれた老人が立ってる。
……れ、冷静になろう。状況を、まずは把握だ。
私が居るのは、古びた、石造りの建物の中のようだ。
部屋の中央には祭壇があって、私はその上にぺたんと座ってる。
……宝石に映ってる、私の容姿。
銀髪に、銀の瞳。
年齢は……5歳くらい、だろうか。
少なくとも、10はいってない。
目、でか。肌……つやつや。髪の毛も……ちょっとくせっ毛だけど、つやつやのピカピカ。
とても愛らしい姿をしてる。こ、これが……私の転生した姿……?
「殿下。聖女召喚として呼び出された以上、この御方は紛れもなく聖女でございますじゃ」
爺と呼ばれた、魔法使い風の老人が言う。
やっぱり、私……聖女だったんだ……。
「殿下のご存知の通り、聖女召喚とは、王家に伝わる秘術。世界が濃い瘴気につつまれ、世界の平和が脅かされたときにのみに、行うべしと言い伝えられた儀式のこと」
「わかってる。呼び出された聖女と協力し、瘴気を祓う。それが、王家の勤め……だろう?」
「左様でございます」
……バカデカントが大きくため息をつく。
「しかし……困ったな」
困った?
「聖女召喚を行った王族は、その聖女と婚姻を結ばねばならない、だったな、爺?」
「左様でございます。召喚された聖女さまは、いわば、こちらに突然拉致されたも同然。帰す手段が存在しない以上、彼女たちのめんどうを見るのも、王家の勤めでございます」
「わかってる……覚悟もしていたさ。どんな醜女がこようが、受け入れようと。だが……! 【これ】は、無い!」
これ、といって、バカデカントが私を指さす。
「幼女ではないか……!」
……はぁ。
だから、なんだろう。
おまえが私をここに呼び出したのだろう?
まあ、送り込んだのは神様だけども。
でも、ここに導かれたのは、この聖女召喚とやらがあったからだ。
「おれは幼女を愛でる趣味はないぞ……! ロリコンっていうのだろう、それ?」
「せ、世間ではそういいますな……」
「だろう? いやだ! おれはロリコン王子なんて思われたくない! 恥ずかしい!」
は?
恥ずかしい……?
「爺。こうしよう。この聖女召喚は、最初から行われなかったと」
………………は?
最初から、行われないって……え? は?
「確か、聖女召喚は、神有地と呼ばれるパワースポットでしか行えないんだったな」
「左様です。なので、ゲータ・ニィガ内で王都から一番近い、神有地であるここ、奈落の森へやってきたのです」
「神有地は他にもあるんだろう?」
「はい。世界にはまだ数カ所」
「なら、そこでやろう。仕切り直しだ。神有地でできる聖女召喚は、一箇所につき一回。なら別の神有地でもう一度召喚すればよいのだ!」
……つまり、なんだ。
自分が、ロリコンって思われたくないから、今回の聖女召喚は、最初からなかったことにする……と?
「し、しかし殿下。この聖女さまは、いったいどうするのですか……?」
ふんっ、とバカデカントは私を見て鼻を鳴らす。
「ほっとけ」
「ほっ……!? しょ、正気でございますか!? 死にますよ!? こんな幼い子が、奈落の森で生きていけるわけがありません!」
「ふん、だろうな」
だろうなって……。
まさか、私をここに置き去りにするっていうの?
五歳児を?
……嘘でしょ。
「ひどいれしゅ……」
「ふんっ。何が酷いものか。そもそも、呼び出された貴様が、幼女なのが悪い」
そんなの知らない……。
私が好きで幼女の体になったわけじゃあないのに……。
「ということで、爺。帰るぞ。その幼女を置いてな」
「ま、まってくだしゃい!」
困る。こんな知らない世界に、いきなり放り出されて、五歳児が生きていけるわけない……!
しかし、爺は「すまんの……【麻痺】」と、私に杖を向けてきた。
「ガッ……!」
か、体が……急に動かなくなった。
体が……しびれて……うごけない……。
「帰るぞ、爺。転移魔法を使え!」
「……すまないな、お嬢ちゃん」
爺は、バカデカントのとなりへと移動する。
転移魔法っていっていた。
魔法で、帰るってことだ。私を一人置いて。
追いかけてこれないように、麻痺の魔法を、私にかけたのだ。
……バカデカントも酷いけど、あんたも、相当だぞ、爺。
「【転移】!」
「じゃあなクソガキ聖女。とっととくたばってくれよ」
「しょ……んにゃ……」
バカデカントと爺が消える。
私は、一人残されてしまった。
嘘でしょ……?
そんな……。
「ひぐ……ぐす……」
ぽろぽろと涙がこぼれ落ちてきた。
体が幼くなったからだろうか。涙もろくなってしまってる。
「たしゅけて……だれか……」
そのときだった。
「みー!」
ふわり、と。
私の目の前に、突如として、白い猫が現れたのだ。
「ましろ……たん!」
「みー!」
ましろが私の側にしゃがみこんで、ぺろ……と舐めてくれた。
瞬間、私の体が、自由に動くようになったのだ。
ましろを抱っこする。
彼女はぺろぺろ、と私を何度も舐めてくれた。
……温かい。ぐす。
「ありがとう……。側にいてくれて」
一緒に転生したはずだったので、側にいて当然なんだけど……。
それでも、今は。すっごく、ましろの存在を、心強く感じる。
「これかりゃ、ろーしよ……」
異世界に転生したのは、確かだ。でも、五歳児の体。
相棒は……小さな白猫が一匹。
何も知らない、この世界で、果たして生きてけるだろうか……。
「フーーーーーシャーーーーーーーーーー!」
ましろが、あさっての方向を見て、威嚇する。
目の前には通路があった。
ずり……ずり……と。
何かが這って進んでくる音がする。
「ひっ……! にゃ、に……あれ……?」
巨大な、一匹の蛇だ。
体表からは、ぽたぽた……と粘液が垂れている。
粘液が地面にぶつかるとその瞬間、じゅううう……! と焼ける音と、不快な匂いがした。
「まさか……ど、毒へび!?」
「SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
毒蛇が襲いかかってくる……!
危ない……!
「みー!」
ザシュッ……!
……って、え?
毒蛇の首が、宙を舞っている。
空中には、ましろがいた。
え、え……?
「ま、ましろ……たん?」
すたっ、とましろは、倒れている蛇の尾っぽの上に、華麗に着地。
「みー」
「え、ええっ? き、みがやったにょ……?」
「みー!」
そんな……。あんなでっかい蛇を、一撃で倒すなんて。
普通の猫じゃ、決してない。
まさか……。
「ましろって……実は、凄い猫……?」
「みー!」
◇◇◇
【Side】下級神トゥアハーデ
わたしは下級神トゥアハーデ。
最高神さまから仕事を委託されてる神の一柱だ。
わたしの今回の仕事は、現実世界から人を一人、送り込むというもの。
ちょっちトラブルあったけども、一人の人間を、無事異世界に送ることに成功……!
今日も良い仕事したぁ~。
って、んん?
神スマホがプルルってなってるぞ?
誰だろ……って、げええ!
相手は、わたしの上司である神様!
最高神さまだ!
「も、もしもーし! なんすか最高神さま? え、仕事? もっちのろんで、ちゃんと送り込みましたよ! 聖女をひとり!」
本当は一人と一匹だけども。
ま、そこは許容範囲っしょ!
最高神さまから、好きなものをプレゼントしてやれって言われてたし~。
「ええ、新しい聖女は、ええ、バステト神を一緒に連れてきたいと、ええ」
あの女性……たしか、黒姫 寧子さんか。
ヤスコさんの連れていた猫は、バステトっていう、えらーい猫の神さまだ。
バステトさまは、なんかいろいろな事情で、地球に子猫として転生していたらしい。
そんときに、あのヤスコさんにお世話になったんだって。
で、ヤスコさんを助けて欲しいって、バステトさまから、最高神さまに依頼があった。
で、最高神さまから、わたしに仕事が降りてきた……って次第。
「はいはい。ええ、ちゃーんと転生した……は? ちょ、は!? 聖女召喚に巻き込まれた!? ええ!?」
お、オカシイ……。
予定では、裕福で、優しい公爵家のもとに、送り込まれるはずだった。
でも……異世界の聖女召喚と、ちょうど時期がかぶってしまって、転生先がズレてしまったぁ!?
「え、えと……聖女召喚の時期……は、把握してませんでした……はい……すみません……」
最高神さまが、電話の向こうで、めっちゃキレてる……!
「え、は、は、はい。その……地上への干渉は、できないので……連れ戻すことはできない……ひぃ! すみません! え、転生先ですか……? 直ぐ調べます!」
わたしは神パソコンを開いて、転生先を調べる。
なあぁ……!?
「あ、奈落の森……でした……」
奈落の森。
世界四大秘境の一つだ!
Sランクの、強大凶悪な魔物がうろつく、秘境の森!
別名、死の森……!
そこに、バステト神に愛されしヤスコさんを、わ、わたしが送り込んでしまったというわけで……ひいぃいい!
「すみません! すみません! え、謝らなくて良い……? バステト神が直ぐに向かったから……よ、よかったぁ……」
良かったじゃあない、と最高神さまが、電話の向こうでキレてるし……!
「しゅみましぇん……はい……はい……え!? しかも、幼女の姿になってる? お、おかしいな……召喚と転生が同時に行われたせいで、バグが起きたのかな……」
いずれにしろ、とんでもないイレギュラーな事態に、ヤスコさんは巻き込まれてしまったようだ……。
ヤスコさん……強く生きて……。
「え? 召喚の儀式を行ったのは……? はいはい、あ、ゲータ・ニィガ王国ですね」
王国制度をとってる国だ。貴族がいて、伝統を重んじる国。
比較的治安はいい国ではあるが、それゆえに不敗が起きやすい。
「ゲータ・ニィガの王太子、バカデカントってひとがヤスコさんを喚んだみたいです。ええ、バステト神はお冠? 王子が酷いことした? ばっかでー」
あーあ、バステト神さまって、結構神格(神様としての位)が高い神さまなんだよ?
その神様をおこらせたんだから、破滅するのは目に見えてる。
終わったな、あの国。
「どーするんすか? え、ほっとく。わかりやしたー」
どうやらバカデカントの、ヤスコさんへの対応がカスだったらしい。
だから、罰を与えると、最高神さまがそうおっしゃっていた。
「はい、はい……。これからは気をつけますので……ええ、ハイ……すみませんでした……」
最高神さまは、わたしをお許しになってくれた。
サンキューゴッデス。
「はあ……」
ヤスコさん、バステト神が一緒だから、まあ大丈夫だろうけど……。
強く生きてくださいね。
【☆★おしらせ★☆】
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