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苦手な方はご注意ください。

【短編版】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする~「幼女だから」と捨てられましたが、実は神に愛されし聖女でした。神の怒りを買ったようですが、知りません。飼い猫(最強神)とともに異世界を気ままに旅してますので

作者: 茨木野

【☆★おしらせ★☆】


好評につき連載版はじめました!!

ページ下部にリンクがございます!!


または、以下のULRをコピーしてお使いください。


https://ncode.syosetu.com/n2793jy/


 私の名前は、黒姫くろひめ 寧子やすこ

 寧子、と書いて【やすこ】と読む。

 でも小さい頃から【ねこ】と読まれ、それをからかわれるのが凄く嫌だった。


 年齢は、今年で28歳。地方国立大学を22で卒業する。

 片親だったので、学費の安い国立大にしかいけなかった。また、母は在学中に他界してしまい、学費を稼ぐために、私は毎日のようにアルバイトをしていた。


 カレシなんてできたためしは一度も無い。

 また、就活も失敗してしまった。勉強と、アルバイトしかしてこなかったのだ。

 見てくれも特に良いわけではない私を、雇ってくれる企業はどこもなかった。


 生活のため、奨学金を借りることになっていた私は、卒業後直ぐに金を稼ぐ必要があった。

 だから……私は仕方なく、ブラック企業に就職する羽目となった。


 毎日残業。働いても働いても、金は貯まらない。

 周りは、どんどん結婚する。家庭を築きあげ、子供を産み、幸せに暮らしてるなか、私はあくせくブラック企業で働いていた。


 ……私の唯一の癒やしは、地域猫として飼ってる、白猫の【ましろ】ちゃんだ。

 ましろちゃんを見つけたのは去年。


 ゴミ捨て場に、ミカン箱が放置してあった。

 1匹だけ取り残された子猫。どうやら他の猫は拾われていったらしい。

 不憫に思ったものの、私は……猫アレルギーだった。


 家に猫を置くことができないので、地域の人と、餌やりボランティアさんと協力し、ましろちゃんを地域猫として世話することにした。


 猫アレルギーがあるせいで、ましろちゃんとは長く接することができなかった。

 でも、毎日のご飯やトイレのお世話をちゃんとした。


 くしゃみと鼻水がでても、それでもなお……私はましろちゃんを可愛がった。

 両親がおらず、彼氏もいない。

 奨学金を返すためだけに働いてる私にとって、ましろちゃんとの交流は唯一の心の癒やしだったのだ……。


 そして、ある日。

 私はましろちゃんがいつもの公園にいないことに気づく。


「ましろちゃん……?」


 私は周囲を探し回り、ましろちゃんをついに発見。


「!? 危ない……! トラックが……!」


 ましろちゃんは道路に飛び出たのだ。

 私は……とっさに体が動いた。


 ましろちゃんを抱きしめて、そして……。

 ぐしゃりっ。


 ……。

 …………。

 ………………。


『こんにちはー!』


 私が目を覚ますと、そこは……冷たく硬い床の上だった。

 体を起こす。あれ……ここは……?


「! ましろちゃんっ!」


 私の目の前に、白猫が一匹居た。

 直ぐに、この子がましろちゃんだとわかった。


 彼女をぎゅっと抱きしめる、私。

 ……温かい。生きてる。良かった。


『あのー、もしもーし?』


 ……頭上に誰かがいる。

 翼を生やした、小柄な女性だ。それが……う、浮いてる……?


「これは……夢……?」


 そうだ。夢にちがいない。だって、私、ましろちゃんを助けようとして、トラックにひかれて……それで……死んだはず。


『残念ですが現実でーす。受け入れてくださーい』 

「……そんな」


 とつぶやいたものの、別に……現世に未練なんてなかった。

 両親も死んじゃったし、ブラック企業勤めだし。将来の展望も、明るくなかったし……。

 ああ、心残りといえば、奨学金を払い終えてなかったな。

 借りたもの返せなかったのは、心残りと言えば心残り……。


『死んで気にすることが奨学金返済なんて、変わったひとですねーあなた』


 ぷかぷか浮きながら、翼の生やした女性は、どこからか取り出したポテチを食べ出す。


「あの……そもそも貴女は一体?」

『わたしは……神……! と言っても、下級神。最高神のぱしりだけどねー』


 神……。

 神……なんて存在するんだ。

 まあ、浮いてるし、人間じゃあないかなって思ったけど。


 でも神が、どうして私の前に。


『さる、おえらーい御方から、あなたが不憫だから、転生させておくれって頼まれたのです』


「転生……?」


『そ。転生。異世界にいってチートで無双! みたいな。そういうやつ』

「……はぁ」


『あれ? テンション低いな? オタクならここでキター! とか。チート能力を所望します! とか。そういうリアクションがあってしかるべきじゃあない?』

「……それ、フィクションでは、ですよね」


 私も無料で読める、漫画アプリで、異世界系のお話をいくつか読んだことある。

 最近はそういう無料で読める系の漫画が増えてるので助かる。


 異世界にいって、魔法で無双。

 チートスキルで無双。

 偉い男の人に溺愛される……等。


「ああいうのって、作り話じゃないですか」

『そーね。でも! これは現実! 君はこれから異世界にいってもらいます!』


「……なんで? 転生させてくれるんじゃあなかったの?」


 元の世界に。


『元の世界の、黒姫くろひめ 寧子やすこさんの体は、トラックにひかれて、ぐっちゃぐちゃにされてしまったんで。生き帰すことは不可能なんですわ』


「そんな……。ま、ましろちゃんも?」

『んえ? あー……そうね。たぶん』


 たぶんって……。

 適当だな、この神……。


 うちの部署にも、こういう顔とノリだけいい、仕事を適当にしかこなさない女いたっけ。

『しっけーな! このわたしは正真正銘の女神! 最高神さまから力を与えられ、異世界に人間を送り込む仕事を任されたね!』

「はあ……。じゃあ、私は、異世界にこれから送り込まれるってことなんですね」


『そーそー。で、さるおえらい方からの依頼で、なにか欲しいものがあれば、与えてあげてって言われてるんだっ。ねえねえ、何が欲しい?』

「急に言われても……」


『異世界でしたいこととか、やりたいこととかない? そこから逆算して、欲しい能力とか、武器とかをあげるよ!』


 ……したいこと、やりたいこと……か。

 ……何も思いつかないや。


 幼い頃から勉強。

 大学生になったらバイト。

 社会人になったら仕事……と。


 遊びらしいこと、何一つしてこなかったし。

 したいことも、やりたいことも……。


「みー……」


 ましろちゃんが、私の足に頬ずりしてきた。 ……ああ、したいこと、やりたいこと……あったな。


 私はましろちゃんを抱き上げる。


「この子と、一緒に居たい」

『うぇ!? その御方と!?』


 御方……?


「別に、能力とか武器とかは、いい。私は……この子と一緒に過ごしたい」


 今まで、仕事があって、ましろちゃんとは限られた時間でしか過ごせなかった。

 ここに、ましろちゃんがいるってことは、この子もまた、私と同じく死んでしまったということ。


「私、この猫と、一緒に異世界に行きたい」

『えー……まじっかー……。やっべ、完全に予想外……。ええー……どうしたらいいっすか~?』


 誰に聞いてるんだろう。

 みぃ、とましろちゃんが鳴いた。


『んー、おっけー! じゃあ、黒姫くろひめ 寧子やすこさんには、その御猫さまをプレゼント!』


 良かった。ましろちゃんも、死なずにすんだね。良かったね。


『ついでに、健康なお体もセットでつけちゃうね。君、猫アレルギーなんでしょ?』

「!? 健康な体なんて……もらえるの?」


『うん! だって望みは猫ちゃんと過ごすことなんでしょー?』

「……ありがとう」


『いいっていって。他にも基本的に必要なものを全部のっけとくね。異世界言語スキルとか。諸々』


 ……私は気になった。

 なんで、この女神は、私にここまで色々してくれるのだろうか。


『さるお偉いおかたから、頼まれたからね』

「お偉い御方……ね。その人に、お礼を言っておいてもらえる?」


『え? ああ……うん。まあ、人じゃあないけどね』


 そっか。神か。だから、人じゃあないと。


『よし! 調整完了! これより、黒姫くろひめ 寧子やすこを、猫とともに、異世界に転送しまーす!』

 

 私とましろちゃんの体が光り輝く。

 本当に、異世界に行けるのかわからない。今私は夢を見ているだけなのかもしれない。


 ……でも、ましろちゃんの温かい体を、ぎゅっと抱きしめると、不安が少し和らいだ。


 この子と一緒に、異世界にいけるのなら……少し、わくわくするかもしれない。


『んじゃ、いってらっしゃい! 黒姫くろひめ 寧子やすこさん! それと……バステトさま!』 


 ◇◇◇



「やった! 聖女召喚に成功したぞ!」


 ……若い男の声が聞こえる。

 聖女召喚……?


「やりましたね! バカデカントさま……!」


 目を、ゆっくりと開ける。

 そこには、大きな男の人が立っている。


 ファンタジーゲームに出てくるような、ザ・王子様って感じの人……。


「!? ば、バカデカントさま……大変です!」

「どうした?」


 この、王子っぽい人がバカデカント……?


 しかも、さっき聖女召喚って……。


 そういえば、最近読んだ異世界系漫画に、聖女として異世界から人間を召喚する、という冒頭のシーンがあった。


 聖女。聖なる力を持つ女性。

 私の読んだ漫画だと、その人には治癒や、結界の力があったはず……。


 漫画と展開が同じかはわからないけど、さっき聖女召喚に成功、といっていた。

 私も、聖女として召喚されたってこと……?


「こ、これは……!? まさか……」


 バカデカントは、私を見て……いや、私を【見下ろして】言う。


「幼女……?」

「…………は? よーじょ、れしゅって……?」


 れしゅ!? よーじょ!?

 なんか……声が……幼い?


 私は自分の手を見やる。

 ぷにぷにで、ミニクリームパンみたいな、ちっちゃな手。


 肌に触れる。もちもちとして、みずみずしいさわり心地。

 不摂生がたたって、私の肌はガサガサだったはず……。


 バカデカントは、宝石がちりばめられたネックレスを身につけていた。

 宝石に映っていたのは……銀髪の、幼女。


「にゃ!? にゃんれしゅかこれぇええ!?」


 私が叫ぶのと同じタイミングで……宝石の中の人物が叫ぶ。

 ……転生。


 ま、まさか……。

 私、幼女に転生したってこと……?


「まさかこの幼女が、今回召喚された聖女だというのか……? 爺よ?」


 バカデカントのとなりには、白いローブに包まれた老人が立ってる。

 ……れ、冷静になろう。状況を、まずは把握だ。


 私が居るのは、古びた、石造りの建物の中のようだ。

 部屋の中央には祭壇があって、私はその上にぺたんと座ってる。


 ……宝石に映ってる、私の容姿。

 銀髪に、銀の瞳。


 年齢は……5歳くらい、だろうか。

 少なくとも、10はいってない。


 目、でか。肌……つやつや。髪の毛も……ちょっとくせっ毛だけど、つやつやのピカピカ。

 とても愛らしい姿をしてる。こ、これが……私の転生した姿……?


「殿下。聖女召喚として呼び出された以上、この御方は紛れもなく聖女でございますじゃ」


 爺と呼ばれた、魔法使い風の老人が言う。

 やっぱり、私……聖女だったんだ……。


「殿下のご存知の通り、聖女召喚とは、王家に伝わる秘術。世界が濃い瘴気につつまれ、世界の平和が脅かされたときにのみに、行うべしと言い伝えられた儀式のこと」

「わかってる。呼び出された聖女と協力し、瘴気を祓う。それが、王家の勤め……だろう?」


「左様でございます」


 ……バカデカントが大きくため息をつく。


「しかし……困ったな」


 困った?


「聖女召喚を行った王族は、その聖女と婚姻を結ばねばならない、だったな、爺?」

「左様でございます。召喚された聖女さまは、いわば、こちらに突然拉致されたも同然。帰す手段が存在しない以上、彼女たちのめんどうを見るのも、王家の勤めでございます」


「わかってる……覚悟もしていたさ。どんな醜女がこようが、受け入れようと。だが……! 【これ】は、無い!」


 これ、といって、バカデカントが私を指さす。


「幼女ではないか……!」


 ……はぁ。

 だから、なんだろう。

 おまえが私をここに呼び出したのだろう?


 まあ、送り込んだのは神様だけども。

 でも、ここに導かれたのは、この聖女召喚とやらがあったからだ。


「おれは幼女を愛でる趣味はないぞ……! ロリコンっていうのだろう、それ?」

「せ、世間ではそういいますな……」


「だろう? いやだ! おれはロリコン王子なんて思われたくない! 恥ずかしい!」


 は?

 恥ずかしい……?


「爺。こうしよう。この聖女召喚は、最初から行われなかったと」


 ………………は?

 最初から、行われないって……え? は?


「確か、聖女召喚は、神有地しゆうちと呼ばれるパワースポットでしか行えないんだったな」


「左様です。なので、ゲータ・ニィガ内で王都から一番近い、神有地しゆうちであるここ、奈落の森(アビス・ウッド)へやってきたのです」


神有地しゆうちは他にもあるんだろう?」

「はい。世界にはまだ数カ所」


「なら、そこでやろう。仕切り直しだ。神有地しゆうちでできる聖女召喚は、一箇所につき一回。なら別の神有地しゆうちでもう一度召喚すればよいのだ!」


 ……つまり、なんだ。

 自分が、ロリコンって思われたくないから、今回の聖女召喚は、最初からなかったことにする……と?


「し、しかし殿下。この聖女さまは、いったいどうするのですか……?」


 ふんっ、とバカデカントは私を見て鼻を鳴らす。


「ほっとけ」

「ほっ……!? しょ、正気でございますか!? 死にますよ!? こんな幼い子が、奈落の森(アビス・ウッド)で生きていけるわけがありません!」


「ふん、だろうな」


 だろうなって……。

 まさか、私をここに置き去りにするっていうの?


 五歳児を?

 ……嘘でしょ。


「ひどいれしゅ……」

「ふんっ。何が酷いものか。そもそも、呼び出された貴様が、幼女なのが悪い」


 そんなの知らない……。

 私が好きで幼女の体になったわけじゃあないのに……。


「ということで、爺。帰るぞ。その幼女を置いてな」

「ま、まってくだしゃい!」


 困る。こんな知らない世界に、いきなり放り出されて、五歳児が生きていけるわけない……!


 しかし、爺は「すまんの……【麻痺パラライズ】」と、私に杖を向けてきた。


「ガッ……!」


 か、体が……急に動かなくなった。

 体が……しびれて……うごけない……。


「帰るぞ、爺。転移魔法を使え!」

「……すまないな、お嬢ちゃん」


 爺は、バカデカントのとなりへと移動する。


 転移魔法っていっていた。

 魔法で、帰るってことだ。私を一人置いて。

 追いかけてこれないように、麻痺の魔法を、私にかけたのだ。


 ……バカデカントも酷いけど、あんたも、相当だぞ、爺。


「【転移】!」

「じゃあなクソガキ聖女。とっととくたばってくれよ」

「しょ……んにゃ……」


 バカデカントと爺が消える。

 私は、一人残されてしまった。


 嘘でしょ……?

 そんな……。


「ひぐ……ぐす……」


 ぽろぽろと涙がこぼれ落ちてきた。

 体が幼くなったからだろうか。涙もろくなってしまってる。


「たしゅけて……だれか……」


 そのときだった。


「みー!」


 ふわり、と。

 私の目の前に、突如として、白い猫が現れたのだ。


「ましろ……たん!」

「みー!」


 ましろが私の側にしゃがみこんで、ぺろ……と舐めてくれた。

 瞬間、私の体が、自由に動くようになったのだ。



 ましろを抱っこする。

 彼女はぺろぺろ、と私を何度も舐めてくれた。


 ……温かい。ぐす。


「ありがとう……。側にいてくれて」


 一緒に転生したはずだったので、側にいて当然なんだけど……。

 それでも、今は。すっごく、ましろの存在を、心強く感じる。


「これかりゃ、ろーしよ……」


 異世界に転生したのは、確かだ。でも、五歳児の体。

 相棒は……小さな白猫が一匹。


 何も知らない、この世界で、果たして生きてけるだろうか……。


「フーーーーーシャーーーーーーーーーー!」


 ましろが、あさっての方向を見て、威嚇する。

 目の前には通路があった。


 ずり……ずり……と。 

 何かが這って進んでくる音がする。


「ひっ……! にゃ、に……あれ……?」


 巨大な、一匹の蛇だ。

 体表からは、ぽたぽた……と粘液が垂れている。


 粘液が地面にぶつかるとその瞬間、じゅううう……! と焼ける音と、不快な匂いがした。


「まさか……ど、どくへび!?」

「SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」


 毒蛇が襲いかかってくる……!

 危ない……!


「みー!」

 

 ザシュッ……!

 ……って、え?


 毒蛇の首が、宙を舞っている。

 空中には、ましろがいた。


 え、え……?


「ま、ましろ……たん?」


 すたっ、とましろは、倒れている蛇の尾っぽの上に、華麗に着地。


「みー」

「え、ええっ? き、みがやったにょ……?」

「みー!」


 そんな……。あんなでっかい蛇を、一撃で倒すなんて。

 普通の猫じゃ、決してない。

 まさか……。


「ましろって……実は、凄い猫……?」

「みー!」


 ◇◇◇


【Side】下級神トゥアハーデ


 わたしは下級神トゥアハーデ。

 最高神さまから仕事を委託されてる神の一柱だ。


 わたしの今回の仕事は、現実世界から人を一人、送り込むというもの。

 ちょっちトラブルあったけども、一人の人間を、無事異世界に送ることに成功……!


 今日も良い仕事したぁ~。

 って、んん?


 神スマホがプルルってなってるぞ?

 誰だろ……って、げええ! 


 相手は、わたしの上司である神様!

 最高神さまだ!


「も、もしもーし! なんすか最高神さま? え、仕事? もっちのろんで、ちゃんと送り込みましたよ! 聖女をひとり!」


 本当は一人と一匹だけども。

 ま、そこは許容範囲っしょ!


 最高神さまから、好きなものをプレゼントしてやれって言われてたし~。


「ええ、新しい聖女は、ええ、バステト神を一緒に連れてきたいと、ええ」


 あの女性……たしか、黒姫くろひめ 寧子やすこさんか。

 ヤスコさんの連れていた猫は、バステトっていう、えらーい猫の神さまだ。


 バステトさまは、なんかいろいろな事情で、地球に子猫として転生していたらしい。

 そんときに、あのヤスコさんにお世話になったんだって。


 で、ヤスコさんを助けて欲しいって、バステトさまから、最高神さまに依頼があった。

 で、最高神さまから、わたしに仕事が降りてきた……って次第。


「はいはい。ええ、ちゃーんと転生した……は? ちょ、は!? 聖女召喚に巻き込まれた!? ええ!?」


 お、オカシイ……。

 予定では、裕福で、優しい公爵家のもとに、送り込まれるはずだった。


 でも……異世界の聖女召喚と、ちょうど時期がかぶってしまって、転生先がズレてしまったぁ!?


「え、えと……聖女召喚の時期……は、把握してませんでした……はい……すみません……」


 最高神さまが、電話の向こうで、めっちゃキレてる……!


「え、は、は、はい。その……地上への干渉は、できないので……連れ戻すことはできない……ひぃ! すみません! え、転生先ですか……? 直ぐ調べます!」


 わたしは神パソコンを開いて、転生先を調べる。

 なあぁ……!?


「あ、奈落の森(アビス・ウッド)……でした……」


 奈落の森(アビス・ウッド)

 世界四大秘境の一つだ!


 Sランクの、強大凶悪な魔物がうろつく、秘境の森!

 別名、死の森……!


 そこに、バステト神に愛されしヤスコさんを、わ、わたしが送り込んでしまったというわけで……ひいぃいい!


「すみません! すみません! え、謝らなくて良い……? バステト神が直ぐに向かったから……よ、よかったぁ……」


 良かったじゃあない、と最高神さまが、電話の向こうでキレてるし……!


「しゅみましぇん……はい……はい……え!? しかも、幼女の姿になってる? お、おかしいな……召喚と転生が同時に行われたせいで、バグが起きたのかな……」


 いずれにしろ、とんでもないイレギュラーな事態に、ヤスコさんは巻き込まれてしまったようだ……。


 ヤスコさん……強く生きて……。


「え? 召喚の儀式を行ったのは……? はいはい、あ、ゲータ・ニィガ王国ですね」


 王国制度をとってる国だ。貴族がいて、伝統を重んじる国。

 比較的治安はいい国ではあるが、それゆえに不敗が起きやすい。


「ゲータ・ニィガの王太子、バカデカントってひとがヤスコさんを喚んだみたいです。ええ、バステト神はお冠? 王子が酷いことした? ばっかでー」


 あーあ、バステト神さまって、結構神格(神様としての位)が高い神さまなんだよ?

 その神様をおこらせたんだから、破滅するのは目に見えてる。


 終わったな、あの国。


「どーするんすか? え、ほっとく。わかりやしたー」


 どうやらバカデカントの、ヤスコさんへの対応がカスだったらしい。

 だから、罰を与えると、最高神さまがそうおっしゃっていた。


「はい、はい……。これからは気をつけますので……ええ、ハイ……すみませんでした……」


 最高神さまは、わたしをお許しになってくれた。

 サンキューゴッデス。


「はあ……」


 ヤスコさん、バステト神が一緒だから、まあ大丈夫だろうけど……。

 強く生きてくださいね。


【☆★おしらせ★☆】


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― 新着の感想 ―
新年おめでとうございます。 続きがめちゃくちゃ気になります! 続きを切望いたします!
またゲータ・ニィガかいw
はじめまして、3児の母てす。あの、5歳児は園の年中児なのでもっとハッキリしゃべりますよ?舌足らずなのは3歳くらいまでです。 ✱注✱返信不要です。
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