きょうのご気分
トゥル…トゥル…トゥルトゥルトゥル…
私の口から音が漏れています。どろっとした液状見たいな私の声。
ハッ!?誰かが私を見ている。私は視線を感じる方に首をまわした。頸椎をね、ぐいっとね。
牛がいた。でかい。生でみたのは初めてだけど、牛ってこんなに大きいんだ。
牛は首を私の方へ向け、つぶらな瞳。黒しかない点のような目で。何も考えず餌をムシャムシャする豚のような目で、私の顔をじっと見た。
まさか、口から声を流しているのに気づきいている?そんなまさか。ありえない。
私の顔の半分はマスクによって覆われていた。口の開いているかどうかなどわかろうはずがない。
「もうコロナの流行は終わったぞ」
牛が喋った。
「そんな大きいマスクしてさ、いったい君は誰から何を守っているんだい」
………私は泣いた。良かった。牛で良かった。食べれるし。捕まらないから。
「良かった人じゃなくて」
私は牛に向かって。パンテオンを放った。牛はびくともしなかったが、私は別に構わなかった。
「私が口を隠す理由…?」
そんてん、そんてん、そんてん、アハアハアハ変な音。
「それはね…」
教えてやろう、私の忌み名。邪な姿。忌々しき黒を…。
「ウシノオモミ」
ウシは私に対し前蹴りを放った。私は死んだ。
死ぬ瞬間私は思った。
今日は…酒を飲もう…。
数ヶ月後、ぺちゃんこの死体からきれいな花が咲いた。その死体の顔は笑顔でだったという。ニコニコピエーん。酒旨。