とんこつの洗濯機
「ただいまでごじゃる」
夜11時を少し過ぎたとき、うんこは自分の家に帰ってきた。
「だれもいないのである」
缶とペットボトルで埋め尽くされた床をつまさき立ちで歩きながら、うんこは全ての部屋を見て回った。トイレにも、風呂場にも、人がいた気配はない。
「お腹がすいたのである」
いつものごとくコンビニに旅立ったうんこ。今日のこんだてを考えながらウキウキ気分で歩く。うんこは自然とスキップをしていた。
パッと正面が明るくなりうんこの姿を照らし出す。車がきたようだ。うんこはくるくる手をひろげくるくるまわる。
うんこを迂回するように走る車。車の中にいる人間はこちらをじっと見ていた。そしてそれを見ていたうんこ。
「みいいいいたああああなああああああ」
コンビニで豚骨味のカップ麺と千切りキャベツを買って家に帰ってきたうんこ。やかんを沸かしは始め食べるところを探す。
床は一面ごみばっかでとてもおけそうにない。掃除もめんどくさいし。うんこは洗濯機に目を付けた。
蓋が開いた洗濯機。中には脱いだ服が詰まっている。
「ボタンの部分にのせて食べられそうである」
うんこは洗濯機にカップ麺を乗せ先入れの粉を入れる。いくらか洗濯機の中に入った気がするがまあよし。湯を入れて五分まつ。
「うまい」
五分後、うんこはそこそこの幸せを味わっていた。麺を食べ終わったあとは千切りキャベツを入れスープごと平らげる。おいしかった。明日もこの組み合わせでいくか。
週末、仕事も終わり明日から休み。うんこは一週間ぶりに洗濯機を回した。
休み明けうんこは気づいた。乾かした衣服からとんこつのにおいがすると。
「いっかあ」
うんこの体はうんこの匂いがするとんこつに匂いが加わったとてどうせ人は近づかん。うんこは一週間とんかつうんことして過ごした。