1話 ライブスタート
今日も推しがかわいい!
さいこー!!
そう思いながら僕はヘドバンしながらノリノリで推しの歌枠を楽しんでいた。
コーン
いい感じの音が鳴ったと思ったら、僕は意識を失った。最後に見たのは電柱だった。
ハッと目を覚ます。そしてすぐに気付く。
推しのグッズがない!! リュックサックも、アクリルキーホルダーも、タペストリーもない!!
周りの景色に見覚えがない。全方位が緑一色だ。断じて役満ではない。
もしかして:死
頭にそうふとよぎったので、体をペタペタと触ってみる。
うん。体はちゃんとあるし、胸もしっかりある。
胸もしっかりある!?
とりあえず立ち上がってみるとつま先が見えない。推しが言ってたやつだ!!
鏡がちょうどよく置いてあったので、自分の姿を見ると茶髪にうさ耳で胸のラインがしっかりわかるぴちぴちのTシャツ姿で、パンツは履いているがズボンは履いていない。後、顔がちょっとロリッぽ......げふんげふん、幼い。
恥ずかしっ。
何か着るものは......
ないっ!!
何にもないっ!!
と言うか、スマホがないから押しの配信が見れないじゃないか!!!!
いや、もしかしたら神が一回死んだ自分にチャンスをくれたのかもしれない。
でも、何もわからん!
「ふぉっふぉっふぉっフォッサマグナっ。お困りのようじゃなっ☆」
天井から誰かの声が聞こえる。後めっちゃ滑っている。そしてやはり誰!?
「わしはっ。神っぽいだけのおじちゃんじゃっ。だが、大体のことは教えるのじゃっ」
変な奴だっ。
「ここはっ。地下迷宮の深めのところっ。魔物は強いっ。人は少ないっ。頑張って生きるのじゃっ!」
めっちゃふわっとした説明で何も分からない。
「ステータスオープンって念じればほぼ分かるのじゃっ。じゃあのっ☆」
何も質問できずに謎のおじちゃんの声は聞こえなくなってしまった。
とりあえず物は試しに、ステータスオープン!!
目の前に青っぽい画面が現れ、そこにはいろいろな情報が載っていた。ポチポチいじってみて分かったが、音声ガイドがついてくれているらしい。
名前は、卯神サラ。うのかみ、と読むらしい。
体重とかスリーサイズも載っているが、必要ないと思う。
たくさんスクロールできるのでしていると、魔法の欄を発見した。
覚えている魔法は......
誘惑。魔物には効果がないことが多い。恥ずかしい。使用MP0
炎上。すごく燃える。使用MP500
MPって、マジックポイントだよな。って、僕のMP0じゃん!!
物理攻撃力も0だし。
ええい。なんかよく分かんないし、服もないし、武器もないし、とりあえず外に出ちゃえ!!
よく分からない緑の部屋から出ると、東京ドームみたいに広い場所で、結構明るい。
とりあえずふらふらと歩き回っていると、カチッと何かを踏んだ。
ゴゴゴゴと大きな音が鳴り、後ろを振り返ると、檻みたいなので、元来た方が閉ざされており、僕の周り一周檻でふさがれた。
もしかして:やばい
予想は的中したらしく、地面から激しいうなり声をあげて、ドラゴンがでてきた。
「音声ガイド、あいつは何?」
「あの魔物は地底竜。危険度A。ほぼ死にます」
外出た瞬間終わった感じか......
ってそんなこと言ってられない。多分一回死んだ身だ。また死んだら今度こそ推しの配信を見るチャンスがなくなる気がする。
「どうにかできないのか?」
「MPを使って魔法を打てばもしかしたらいけるかもしれません」
使える魔法......
誘惑!!
「うっふん♡」
グオオオオオオオ
ただ恥ずかしかっただけだ。穴に入りたい......
「MPがないんだけどどうするんだ!!」
少しキレ気味に言う。
「SCを溜めて、MPに変換してください」
「SCとは......?」
「スーパーチャットのことです。配信をすることで溜めることができます」
......は?
ステータス画面を開いて、急いでスクロールしてみる。
スキル欄に、よさげなものを見つけた。
駆け出し配信者。1日に一回、1時間の配信ができる。小さな配信部屋を展開できる。配信中、魔物に攻撃されない。
「このスキル使いたいんだけど!」
「では、ライブスタート、と言ってください」
配信をやったことはない。それに、この世界も、誰に配信するかも何も分からない。だけど、推しの配信から得た知識と、この容姿で絶対に生き残って見せる。
「ライブスタート!!」




