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もしかしたら、俺は、最強なのかもしれない。

作者: 藻岩 憧

今朝〜ですね、はい、今朝でした。今朝に、あのぉ道を〜歩いていたんですね。


はい。えぇ、今日の朝に、道を歩いていたんですよ。一人で。そう、独りで。


あの〜寒い日でしょ?はい、寒くて、あの〜、秋用の服を着てて、えぇ、秋用の、今着てるコレ、えぇまぁ、寒いわけでして、そしたら、、棒がぁ、目についたんですよ。


あのぉ、目の中に入ったってわけじゃなくて、えぇ、ほら、目に物が入ったら、痛いじゃないですか、そうじゃなくて、目に飛び込むっていう、あのぉ、比喩でして、えぇ、比喩。つまりぃ、落ちていたんですよ、棒が。


えぇ、ちょっと折れ曲がっている感じの。なんか、あのぉ、堅そうで、えぇ、一度踏んでみたんですね、片足で。片方の端を。


まあ、折れないじゃないですか。折れなかったんですよ。やっぱり。そんで、もう片方の足も使って、両足で、両端を踏んだんですよ。


そしたらどうなると思います?そう!折れたんですよ!凄くないですか!?片方で!折れないのに!両方だと折れるんですよ。


もぅ、思い出しますよね、三本の矢の逸話。毛利なんとかが言ってたっていうやつ。すみませんね、興奮しちゃって。


で、え〜その後で、ちょっとテンション高まりながら歩いてたんですね。えぇ、そしたら、また見つけたんですよ。棒を。


今度のは、細くて柔らかい感じのやつで。えぇ。でまぁ、既に成功体験を持ってたわけじゃないですか、えぇ。


もちろん踏むわけですよ。両足で。でも折れない。まぁ、曲がっていたとはいえ、しなやかな棒ですし、折れるはずもない。


でも気づいたんです。限界なんじゃないかって。えぇ。棒が。


持ってるじゃないですか。傘。杖代わりにもなる。その棒の真ん中に引っ掛けて、引っ張ると、ちぎれたんですね。ちぎれ折れた。


まさに三本の矢!一本の足は弱くても三本の足は強い。ほら、スフィンクスも言ってるじゃないですか。朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足って。


もう僕は最強になってしまったんじゃないかって有頂天ですよ!




ここで気づいたんですよ。この世界って、小説じゃないですか。あっ、これ、象徴だなって。


今朝っていうのは一生の子供時代ですよ。そこで一人っていうのは、孤児を表す。寒いのは、孤独だから。孤独だから、秋用の服。ほら、秋ってまさに孤独の象徴でしょ?


ここで棒が目に入る。棒は、男性器だ。いや、男性そのものかな。


それが道端に落ちてるっていうのは、解釈が難しい。でも、小説家になろう、っていう背景で考えると、異世界の、奴隷とでもなるんじゃないかな。異世界転生であれば今朝、子供時代からきちんと認識できているのもわかる。


男を一本足で踏む。これは高くて買えなかったってことなんじゃないかな。ほら、足が出る、なんて表現もありますし。そうなると、両足で踏むことは購入を意味する。


では、棒が折れるとは何なのか、これは簡単なことで、つまり、服従とか屈服を表すんでしょう?


一本目は固くて折れない棒。これは強い獣人的なキャラクターが捕まったのなんかを想像できる。


二本目は柔らかくてしなやか。傘で引っ張ってちぎる。すると?

柔らかくてしなやかなのは、たとえば奴隷落ちした御曹司なんかが想像できる。


じゃあ、それが傘によってちぎれるのはどういうことなのか。折れるのは、服従屈服、なら、千切れるのは?両足で踏んで、つまりは普通に買っても屈服しない誰かを、屈服させた第三の足である傘は何なのか、解釈は分かれるはずだ。


私が思うに、愛なんじゃないか。孤児の転生者が、愛を知らない転生者が、初めはチートスキルかなんかで一財産を築き、奴隷を買い漁る。あるいは単純に労働者を雇いまくった社長になったのかも。


そうして出会った一人の奴隷。金だか契約だかで縛り付けるも虚しいだけ。どんどん入れ込んでいく。無情にも時間だけがすぎ、杖をつく三本足の晩年になるんだ。そうしているうちに心の変化に気がつく。


心が氷解していき、ついに人を愛せるようになっているんだ。


本当はこうなんです。そうあってほしいよなぁ。

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