04 抵抗
何とも、なりませんでしたよ。
真剣に相談すると、シスカさんは分かってくれました。
でも、そこまで。
シスカさんは、騎士としての実力は確かだけど実権は無い、とのこと。
僕が何かしでかしそうになったら叩っ切れという、お目付け役どころか処刑人だったそうです。
もちろん、指先ひとつでダウンしちゃいそうな僕なんかに、処刑もへったくれも無かったわけで。
エルミナ姫さまとシスカさんは、かなり親しいそうです。
「結局私ではどうすることも出来なかった。 姫様を、頼む」
いつも凛々しいシスカさんが、くやしそうにうつむいてます。
覚悟なんか出来るわけないけど、僕なりに、流されないようにしてみます。
そして、当日。
式とかは、無し。
召喚者は国秘蔵の秘密兵器なんで、秘密裏に王家とくっつけちゃって隠蔽しておけ、らしいです。
姫さま、不憫すぎるよ。
やたらとお風呂に入らされて、今は白い服一枚。
お城の隅っこの塔に連れてこられた。
どうやら、僕と姫さまは隔離幽閉される模様。
今の僕の気持ちは、あきらめ、じゃなくて、怒り。
僕のことがどうこうじゃない、この国の姫さまへの仕打ちがあまりにもひどすぎる。
確かに駄目召喚者の烙印を押されちゃったけど、僕にだって意地がある。
あいつらが子供を作れって無理強いするのなら、絶対に言う通りになんかしてやるもんか。
それが、僕に出来る、最後に残された、精一杯の、抵抗。
塔の、高いところにある一室、
僕が入ると、後ろで施錠の音。
部屋の中には、
ごめん、シスカさん。
抵抗、無理かも。