02 シスカ
用意してくれた上着を羽織って、スリッパっぽい履き物を履く。
足、とてもあったかいですよ。
シスカさんと、スリッパもどきに、感謝。
少し落ち着いたので、気になっていたことを聞いてみる。
「さっきのおじいさんは」
「……亡くなったよ。 召喚儀式に耐えられなかったようだ」
あのおじいさんが召喚したせいで、僕は今こんなことになってるんだけど、やっぱり、哀しい。
「あちらの世界の子は、優しいのだな」
僕の表情を見て、シスカさんがつぶやいた。
「僕の名前は華三栖です。 たぶん優しくないです」
「私は騎士シスカ。 この国でのカミス殿の世話役、かな。 よろしく頼む」
シスカさんの笑顔、きれいだけど、少し寂しそう。
しばらくして部屋に、白い衣装を着た若い男の人が現れた。
名前も名乗らずに、僕を凝視してる。
「……お前の固有スキルは『信心』」
言うこと言ったら男の人は出ていっちゃったけど。
「ほう、『信心』か」
もしもしシスカさん、そんな感慨深げな表情してないで、僕にも分かるように説明してほしいんですけど。
「固有スキルというのは、個人が生まれ持つ特殊な能力、だな」
「『信心』は、かなりすごい能力、らしい」
詳しいことは分からないらしいけど、他の国で召喚された人が『信心』を使って大活躍している、とのこと。
異世界チートってやつなのかな。
僕でも何かすごいこと、出来るようになっちゃう、かも。