17 マイペース
異世界での冒険は、僕なりのペースで。
モノカさんみたいに、国をどうこうしちゃうような大冒険は、ムリ。
アランさんみたいに、たくさんの奥さまたちとらぶらぶするのも、ムリ。
ネルコさんみたいに、異世界中にブームを巻き起こしたりするのも、ムリ。
憧れは、ロイさん、かな。
家族とのんびり、平穏な暮らし。
毎日ちょっとずつ体を鍛えたり、
こっちの世界のことを勉強したり、
知り合いのみんなの冒険話にわくわくしたり、
なんだけど、
ライクァさんの姪御さんの話をしたら、エルミナ様がご機嫌斜め。
「どうなさるおつもり」
どうするのかを、相談したいんだけどな。
「分かりました。 ひとつだけ、聞いていただきたいことが」
何なりと、お姫さま。
「これからは私のことを、エルミナさんとお呼びください」
僕のことをカミスさんって呼んでくれたら。
「カミスさん」
「エルミナさん」
「先は、長そうだな」
シスカさんが、なぜかため息をついたよ。
いいじゃないですか。
僕の異世界での大冒険は、僕なりのペースで。
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。




