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第6話 救助要請
「検査、遥です」
……と内線に出ると
「検体、多過ぎ〜! 取りに来て〜」
……と、外来処置室の長谷看護師からのSOSだった。
検査室を出て処置室に向う。
……外来待合は、まだ人がたくさんだ。
今日は残業だな……。
検体ラックは、カラフルなキャップが付いたスピッツが山になり、入りきれずに輪ゴムで留めてある物もあった。
「うわっ」と、思わず声が出た。
「凄いわよね。 電話する暇無かったもん」
……ですよね……。
「取り敢えず、これだけ持って行きますね」
……と言って、ラックを手にして検査室に戻る。
「うわっ、凄っ」検査室で、深田先輩もボーイッシュに驚いた。
そして……
「遥……」
「はい?」
「トイレ」
「……は?」
「ト、イ、レ!」
「……あ、どうぞ、ごゆっくり……」
「違う! 尿!」
あ!
これだけ大量の採血があるって事は、尿検体も大量に提出されてるって事だっ!
尿ラックを手に、猛ダッシュで外来のトイレに向う。
「あたしも行く!」
……深田先輩も両手に尿ラックを持って、一緒に来てくれた。