表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
130/137

第8話『満員電車』

 はっしーにCTと胸部(ブルスト)X-P(レントゲン)を撮像して貰い、ついでに『ABI(エービーアイ)(足関節上腕血圧比)』も測定してもらった。


『ABI』とは、両腕血圧・両足首血圧・心音を同時に測定して、動脈硬化の有無や血管年齢を推定する検査だ。


 私の血管年齢は『20歳未満』!


 院長が「こんな()()の無い()()()()(←ダジャレ!?)初めて見たよ! 遥さんは殺陣たて以外に何か運動やってる?」と聞いてきた。


 以前から何回か言っているが、私は私の表情から検査結果を読み取ろうとする患者さまの前で平静を装う練習のため『劇団あみ〜ご』に所属している。


 そこで文武両道の偉大な王女『カモミーユ』役を演じたことを言っているんだ。(このお話は、いずれまた)


「いえ……運動は全くやっていませんが、自転車通勤しております……」


(※作者注:後から知った事だが、私はお酒やタバコをたしなまない上、毎日、母の手作りご飯を食べている。 この栄養バランスがとても良かったらしい。 この場をお借りして、母に感謝の気持ちを伝えます。 お母さん、ありがとう!)


「そうかぁ〜、確かに自転車は良いね! 通勤で使っているなら、半強制的に運動させられているようなものだから尚更良い! わっはっは!」


『人が「頭が痛い」って苦しんでるのによく笑っていられますね! 』


 なんてことは思っていてもけっっっして口に出せない私は、ささやかな抵抗として院長の言葉には敢えて反応せず……


「あの……私の頭痛の原因って何なのでしょうか?」と聞いてみた。


「それね『ニコランジル』の副作用なんだよね」


 ふ、副作用〜!?


 以前説明したが『冠攣縮性狭心症』は、文字通り心臓自身に酸素や栄養を送る『冠動脈』が何らかの原因で収縮して血液が流れなくなる病気で、そのまま放置すると心筋が壊死してしまう危険がある。


『ニコランジル』は血管を拡張し、血流量を増やす作用があるので、流れが滞った冠動脈を再び拡げる為の第一選択薬とされている


 の だ が !


 血管が拡張すると臓器は膨らむ。


 特に、脳は周りを頭蓋骨で囲まれているので、血流が増えると脳圧が上がり、まるで満員電車に乗っているかのようになり、頭蓋骨に脳が押し付けられて猛烈な頭痛を引き起こしてしまうんだ!


 それに加え、院長が言ったように、私の血管は、まだ靭やかなので、血管拡張による膨隆が良好で、痛みが倍増してしまう……との事だった。


「暫くニコランジルの投与は続けなきゃならんから、頭痛薬出してあげるね。 それで様子見て」と言いながら、院長が電カルに、テレビCMで良く観る名前の頭痛薬を追加入力してくれた。


 八代さんとはっしーに、再びHCUに移送して貰ったのだが、はっしーが私をちらちらと見ながら、目を真っ赤に腫らしつつ、上着の袖で涙を拭っていた。


 確かに以前、私のもう一人の大親友『近江美緒みお』が緊急入院した時も驚いたっけ……。


 頭痛に加え、いつも明るいはっしーのこんな表情を見ているのが本当に辛くなり、 私は目を閉じて、心の中で何度も何度もはっしーに謝った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ