第1話 夜間緊急呼出
『ブーッ、ブーッ』
AM2時、枕元でスマホが振動した。画面には『検査室』の文字が。
なぁ〜んだ、検査室から……か。 病棟じゃないんだ……。
少し安心して、軽く伸びをした。
病棟からの着信なら『緊急検査』の依頼が殆どだから、直ぐに病院に向かう必要がある。
しかし、検査室からの着信なら、大抵、看護師さんからの『血算装置が詰まった』って電話だ。
……あれ程、採血後は良く撹拌ないと血液が固まって詰まる……って言ってるのにな……。
ワイヤーで突けば、すぐ直る。
……一呼吸入れてから、電話に出た。
「はい……遥」
「夜遅くに悪い! 緊急なんだわ」……2階病棟の染谷師長だ。
師長なら絶対、詰まりじゃない! 私は起き上がり、ベッドの縁に座った。
「貧血ですか?」
「驚かないでよ! Hb3.2、ヘマト10!」
……3.2!!
Hb…血中ヘモグロビン濃度。 7.0以下なら緊急輸血が必要なのに、それが3しかない!
「直ぐに行きます」
緊急輸血は間違いない。
両親と兄貴を起こさないように、裸足で、忍び足で階段をおりる。
あっ…… ノーブラだけど……行っちゃえ!
……病院に着けばどうせ白衣に着替えるので、上着だけ羽織って自転車に乗り込み、病院に向かった。
【作者より】
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